「もっと指が長かったら! もっと手が大きかったら!」
ピアノを弾いていてこのように思ったことがある人は多いのではないでしょうか。
ピアノは難易度が上がるにつれて、指が長いもしくは手が大きい方が弾きやすい曲が増えていきます。
8度以上の和音や離れた間隔の広いアルペジオ。
手の小さい人がぶつかる壁はたくさんあります。
そこで今回はピアノを弾くためには指が長いもしくは手が長い方が有利な理由と手が小さい人でも難しいピアノを弾く方法を紹介します。
目次
ピアノを弾くのに指の長さは関係あるか?
「ピアノを弾くのに情熱さえあれば指の長さは関係ない」
と思うかもしれませんが、残念ながらピアノを弾くためには指の長さは関係あります。
ピアノの曲は単音の旋律だけではなく、8度以上の和音を使った曲も存在するからです。
むしろ、8度以上の和音が出てくる曲がほとんどといっていいかもしれません。
最低でも8度の和音を押さえることが出来る指の長さは必要です。
8度以上の和音が多く使われるような曲は、大人の男性や指が長い、または手が大きい女性じゃないと弾くことはかなり困難です。
ピアノを弾くのに指が長いまたは手が大きい方がいい理由
手が小さくてもピアノは弾けますし、難しい曲も弾くことができます。
けれど、ピアノを弾くためには指が長いまたは手が大きいほうが有利です。
ピアノの先生や女性の音大生にも「もっと指が長かったら、もっと手が大きかったら」と思う人はいます。
それだけ、ピアノを弾くときに指の長さや手の大きさは重要です。
なぜピアノを弾くのに指が長い方または手が大きい方がいいのでしょうか。
オクターブが弾きやすい
指が長いとオクターブが弾きやすいです。
なぜなら、オクターブを弾くためには8度の鍵盤を同時に抑えなければならないからです。
そのため、指が長いまたは手が大きい方が弾きやすくなります。
オクターブで音階を弾くなど連続してオクターブを弾く曲はたくさんあります。
そのような曲を弾くときは、親指と中指・薬指・小指を効率よく使って8度のオクターブを弾いていきます。
ドから次のドを親指と中指・薬指を使って弾くことを想像してみてください。
指が長い方が有利だと感じませんか?
指が長いとオクターブを多用するような曲でも弾きやすくなるのです。
アルペジオが弾きやすい
アルペジオとは分散和音のことで、和音を一音一音ばらして弾いていきます。
難しい曲になってくると、次の音までの間が広い鍵盤を弾くことも多いです。
そのため、小さい手よりも指が長く手が大きい方が弾きやすいくなります。
アルペジオはただ弾くだけではなく美しさや迫力など、音を表現することも大切な要素です。
ピアノを弾いて音を表現するときは、余裕をもって弾くほうが表現しやすいくなります。
指が長く、手が大きいとアルペジオを余裕をもって弾けるため、表現もしやすいです。
アルペジオを弾くときは指が長く手が大きい方が有利でしょう。
8度以上の和音を掴みやすい
指が長いと8度以上の和音を掴みやすいです。
ピアノ曲の中には9度、10度など大きく離れた音を同時に押さえて弾く曲があります。
手が小さいとこのような和音を同時に弾かずに1音ずつばらしてひくのですが、手が大きいとばらさずに弾くことができます。
そうするとより正確に曲を表現することができる上に音に迫力を出すこともできます。
これは手が小さい人では不可能なことです。
8度以上の和音がたくさん出てくるような曲を弾くときは、指が長いか手が大きい人の方が有利です。
クラシックピアノの曲のほとんどは西洋の男性が作曲している
クラシックピアノの曲のほとんどは西洋の男性が作曲しています。
西洋の男性は体格がいいため、手も大きい人が多いです。
クラシック曲の中には、大きい手を活かすような曲も多いため、手が小さいと弾くことは難しいです。
リストやラフマニノフの曲は大きな手を活かした離れた和音がたくさん出てきます。
そのため、指が長いか手が大きくないと弾くことが難しい曲が多いです。
手が小さい人でも弾いている人はいますが、そのためには多くの練習が必要ですし音をばらして弾くなど工夫をしなければなりません。
このように、クラシック曲は西洋の男性が大きな手を活かして作ったものが多く、指が長いか手が大きい方が有利なのです。
手が小さい人でも難しいピアノ曲は弾けるのか?
ピアノを弾くためには指が長いまたは手が大きい方が有利です。
大曲や難しい曲には指が長くないと弾きにくいものがたくさんあります。
けれど、手が小さくても難しいピアノ曲や大曲を弾くことは可能です。
手が小さくても難しい曲を弾く人は普通にいます。
そんな人たちは指の長さや手の小ささをカバーするような弾き方をしています。
工夫次第で手が小さい人が難しいピアノ曲を弾くことは可能なのです。
手が小さい人が難しいピアノ曲を弾く方法
手が小さくてもピアノを弾くことは可能です。
けれど、手の小ささをカバーするためには工夫して練習をしなければなりません。
手の小さい人はどのように練習をすればいいのでしょうか。
ここでは、手の小さい人が難しい曲を弾くためのポイントをお伝えします。
真剣に教本に取り組む
手が小さい人が難しいピアノ曲を弾くために、真剣に教本に取り組みましょう。
教本には難しい曲を弾くための指づくりに欠かせないからです。
弾きやすい曲だけを弾きたい場合は教本に真剣にとりくまなくても弾くことができます。
けれど、難しい曲には連続オクターブや大きく離れたアルペジオを弾くものが多く、ある程度の基礎ができていないと弾きにくいです。
基礎をつくるためには教本に真剣に取り組んで指の運動能力を強化しなければなりません。
手が小さい人が難しい曲い挑戦するためには必ず教本に取り組みましょう。
弾きにくい個所を抜き出し練習する
手が大きくないと弾きにくい個所は手の小さい人にとって難関です。
弾きにくい個所があれば、そこを抜き出して練習しましょう。
抜き出し練習をすると、最初は上手に弾けませんが慣れてくるとスムーズに弾くことができます。
抜き出し練習をするときは
- ゆっくり弾く
- 弾きやすい手のポジションを確認する
ということがポイントです。
難しい個所はゆっくり弾くことで完璧に仕上げることができます。
弾きにくいところでも弾きやすいポジションは必ずあり、弾きやすいポジションで弾くことで指がスムーズに動きます。
このように、手が小さくて弾きにくい所は抜き出し練習をしましょう。
和音が続くところは連続で弾く練習をする
和音が続くようなところは、和音を連続して弾く練習をしましょう。
- ドミド
- レ♯ファレ
- ミ♯ソミ
というような和音が続く曲があるとします。
そのようなときは
「ドミド」を3回連続で弾いたら次は「レ#ファレ」を3回その次は「ミ#ソミ」を3回というように連続で弾きます。
この練習をすることで、連続する和音をスムーズに弾きやすくなります。
指が長い人や手が大きい人はこのような練習をしなくても和音が弾きやすいのですが、手が小さいと和音を掴みにくいです。
そのため、手が小さい人は和音を連続して弾くことで和音を掴むことに慣れていきます。
手を開かなければ弾けない個所を両手を使って弾いてみる
ピアノ曲には低い音の鍵盤から高い音の鍵盤まで駆け上がるようにスケールやアルペジオを弾かなければならないものがあります。
そのような旋律を片手で弾くことは、手の小さい人にとってはとても大変なことです。
そのため、両手を使うことが出来るような譜面であれば両手を使って弾きましょう。
親指をくぐらせる個所で弾く手を反対側に変え、追いかけるように交互に弾きます。
そうすると、片手で一気に弾くよりも流れるような音になります。
このやり方は片方の手がピアノを弾かないときなどに有効です。
いままで片手だけで弾いて苦労していた人は、両方の手を使って弾いてみましょう。
無理のない範囲で指を柔軟にする
手が小さくても難しい曲が弾きたちと思うときは、無理のない範囲で指を柔軟にしましょう。
手が小さい人が難しい曲や大きい手向きの曲を弾くとき、指に柔軟性があった方が弾きやすいからです。
指を柔軟にするためにはストレッチもいいですが、知識が無くストレッチをすると指を痛める可能性があるので十分に注意しましょう。
ハノン教本に取り組むこともおススメです。
ハノン教本には指が柔らかくなるような課題がのっているので、ピアノを弾きながら指を柔軟にすることができます。
指の長さに自信あり! そんな人に挑戦してもらいたい曲
指の長さや手の大きさは生まれ持ったものです。
ピアノを弾くことに恵まれた手を持った人は、その手を活かした曲を弾いてみてはいかがでしょうか?
指が長い人向けの曲は迫力満点でとてもカッコいいですよ。
ここでは指が長い人や手の大きさに自信がある人向けの曲を紹介します。
リスト ラ・カンパネラ
リストのラ・カンパネラは手が大きくないと弾くことが難しい曲です。
音大を卒業していても、手の小ささを理由に弾かない人もいるくらいです。
連続したオクターブや音が大きく飛ぶなど、大きな手を活かした曲となっています。
とても難しくて弾きにくい曲ですが、とてもカッコいい曲です。
我こそはと思う人はぜひ挑戦してください。
リスト パガニーニの主題による変奏曲
パガニーニの主題による変奏曲は冒頭の旋律がとても有名な曲で、様々な作曲家が変奏曲を作っています。
特にリストが作ったものは離れた音を何度も弾くなど、手が大きくないと弾けないことを痛感する曲です。
とても有名な旋律と超絶技巧は誰が聞いても迫力満点。
この曲を弾くためには手の大きさだけではなく技術も必要です。
手の大きさとピアノの技巧に自信がある人は弾いてみましょう。
スクリャービン ピアノソナタ5番
スクリャービンはロシアの作曲家です。
聞いたことが無いという人も多いかもしれません。
スクリャービンが作曲したピアノソナタ5番はとてもカッコいい迫力のある曲です。
カッコいいだけではなく、途中できれいな旋律や幻想的な旋律も登場します。
手が大きくないと弾きにくい個所がたくさんあり、高度なテクニックが必要とされる曲です。
あまり聞きなれないような旋律がたくさん出てくる上にとても難しい曲なので、興味がある人は挑戦してください。
ピアノは指が長い方が有利。手が小さい人は工夫をしよう
いかがでしたか?
ピアノを弾くためにはは指が長くて手が大きい方が有利なのは事実です。
けれど、手が小さくても様々な工夫をすることで指が長くないと弾きにくい曲も弾ける可能性があります。
手が小さい人は、指を柔軟にしたりピアノを弾きやすいポジションを探すなどピアノを弾くための研究を十分にしましょう。
特に難曲や大曲を弾くときはたくさんの練習が欠かせません。
手が小さいことはピアノを弾く人にとって悩みかもしれませんが、工夫と練習で悩みを吹き飛ばしましょう。