薬剤師の収入は?勤務場所によって変わる年収を比較。

薬学部を卒業し、薬剤師となった場合に収入はどれくらいでしょうか?

薬学部を卒業すると、企業、公務員などの道もあり、卒業生の収入は様々です。ここでは、「薬剤師として」勤務した場合の収入について解説します。

4年制の時代から6年制になり、薬剤師になるために必要な学費も増えました。

現在では、国立大学進学で約350万円、私立大学だと1000万円以上が学費としてかかります。

となりますと、少しでも稼いで元を取りたくなります。しかも、現時点で有効求人倍率は高くなっており、売り手市場の職種です。

少しでも年収が高いところへ・・・・・。そんな方に読んでおいて欲しい情報です。

昔、薬剤師免許は「嫁入り道具」と呼ばれていました。

医療系の資格であり、ニーズはあるし、看護師のように夜勤があるわけではない。薬局で薬を出せばそこそこの給料がもらえていました。

育児などでフルタイム勤務ができなくても、パートタイムでまあまあの給料がもらえました。夫の収入と合わせれば、生活がだいぶ楽になったそうです。

ただし、昔の話です。

今は薬剤師の業務が増え、情報のアップデートをしなければならないので、ちゃんとやろうとすればなかなか大変な仕事です。

薬剤師として働く場所は?

病院、薬局が主な働く場所になります。

病院薬剤師、ということになると、当直がある病院もあります。薬剤師の当直と聞いてもピンとこないかもしれません。

薬剤師の当直は、緊急時の処方箋の調剤、緊急時の医療用麻薬の準備、医局からの問い合わせの対応などです。

当直手当がつきますが、これを見越して給料の基本額が安い病院もあります。また、当直分をあらかじめ含めて給料の基本額が設定されている病院もあります。

薬局の場合、大きく分けると調剤薬局とドラッグストアに分けられます。

調剤薬局は、医師が出した処方箋をもとにして、薬を調剤し患者に渡します。処方箋におかしな所があれば、疑義照会として、医師に問い合わせます。

ドラッグストアは、定義としては一般用医薬品(医師の処方箋なしで購入できる薬)や、日用品を売る店でした。

しかし最近では、欧米のドラッグストアのように薬剤師を配置し、処方箋を扱える調剤的な性質を持つ店舗が増えています。

一般用医薬品の中にも、薬剤師が常駐していない場合は販売ができない第一類医薬品もあります。

24時間営業のドラッグストアですと、このような第一類医薬品を売るために薬剤師を24時間配置しているところもあります。

薬剤師がいれば、処方箋が扱えるし、第一類医薬品を売ることができるわけです。

第一類医薬品と聞いてもピンとこないかもしれませんが、ロキソニンS、ガスター10、育毛剤のリアッププラスなどは第一類医薬品です。薬剤師がいないと売ることもできませんし買うこともできません。

薬剤師資格は独占業務資格ですので、薬剤師がいれば、できることも増えるし、売れるものも増えるわけです。となると年収も期待できそうですが・・。

薬剤師の収入はどれくらい?

薬剤師の平均年収はあちらこちらのサイトに載っていますが、あまり平均は参考になりません。

薬局を経営するオーナー薬剤師の収入もその平均に入っていますし、年齢、役職、経験、そして病院、薬局がある地域などでかなり幅があるからです。

一般的には、病院薬剤師よりも、薬局薬剤師の方が給料は高くなっています。

初任給は?

病院ですと初任給は18万円くらいから25万円くらい、調剤薬局ですと、20万円から30万円くらい、ドラッグストアで、25万円から30万円くらいです。

ドラッグストアが高いのは、薬剤師以外の社員もいるので、薬剤師には薬剤師手当が支給されるためです。

病院が低めに設定されているのは、当直があり、その分基本給を低くしてあるためです。

また、病院薬剤師となると、チーム医療によって最先端の医療に関わる事ができるので、給料は低くても学生から人気があります。

つまり、給料を高くしなくても就職希望者が集まるので薬局よりも比較的低くしているわけです。

また、公立の病院と、私立の病院を比べると、公立の初任給は18万円から22万円くらい。私立は、22万円から25万円くらいで私立の方が高くなっています。

最終的な年収はどれくらい?

最終的な年収とは、「その年収で頭打ち」となる額です。

ただし、管理薬剤師になったり、管理職についたりすることもあるので、かなりの幅があります。

調剤薬局ですと、500万円くらいから700万円、ドラッグストアですと、500万円から800万円です。

病院になると、450万円から650~700万円。やはりここでも病院は低くなっています。

公立、私立の分け方で病院を見ると、ここでは公立の年収が上になります。

それは、公立病院は公務員のように定期昇給があります。しかし、私立はある程度のところで昇級が停止するからです。

公務員の俸給表は、○級○号俸と示され、年度毎に号俸が上がります。役職が上がると級が上がります。

とはいえ、私立であっても待遇がよい病院もあります。求人票や公募書類をきちんと見ることが大切です。

地方では高給で募集しているところもある

地方では、薬剤師が不足しているところもあります。

薬科大学、薬学部が乱立する時期があり、なおかつ少子化で子供の数が減っているのに地方の私立薬科がつぶれないのは、その地域に薬剤師を供給するというニーズがあるからとも言われています。

地方では、高い給料で薬剤師を募集しているところが少なからずあります。

来てもなかなか定着してもらえず、離職率が高いなど、慢性的な人材不足である地方の薬局は、高給で来てもらうしかないわけです。

縁もゆかりもない土地、しかも地方で生活するのはなかなか大変なのですが、そういうことを気にしない人、また祖父母が住んでいるなどの縁がある場合は、考えてみてもいいかもしれません。

ただし、薬剤師の在宅医療を行わなければならないケースもあります。少しハードな勤務になりますが、高給を求めるのであれば一つの手段になり得ます。

派遣薬剤師はよく考えて

ネットでよく見る派遣薬剤師の広告には、年収700万円、定時帰りという文字が書かれています。

有効求人倍率が高いということは、人手不足であると言うことが言えます。となると、比較的短期の派遣薬剤師が年収700万円は当然かもしれません。

そうなりますと、派遣で働いた方が得、という考え方もできますが、落とし穴もあります。

まず、派遣薬剤師のままで、その薬局の管理職になる事はできません。キャリア的には不利になります。

また、ボーナス、退職金は基本的にないと思っておいた方がよいと思います。

結婚、出産などの人生の節目においては、派遣薬剤師という働き方はいろいろとやりやすいかもしれません。

しかし、出産・育児のためにいったん休職していた薬剤師にはブランクが生じます。

そういうブランクのある薬剤師を新規で雇用する薬局はそんなに多くないのではないでしょうか(この辺は、統計などのデータがあるわけではなく、話として聞いたレベルです)。

福利厚生は正社員と同様に受けられますし、給与面でも待遇は良いように見えます。

しかし、自分の今後の人生設計と相談して、あまり年収にこだわらない就職先を選んだ方が、最終的には上手くいくのではないでしょうか。

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