FXでは様々な用語が使われており、中には初めて見た時理解に苦しむような言葉もあるでしょう。
その言葉の一つとして、あまり見かける言葉ではない「股裂き」と呼ばれるものがあります。
言葉だけを見ると痛々しいイメージだけが伝わり、実際に見ただけでは意味が分からないトレーダーも多いでしょう。
では「股裂き」とはFXでどのように使われている言葉でしょうか。
目次
FXの取引における両建てについて
まず股裂きを理解するには、両建てという言葉を理解しておく必要があります。
FXでは注文をしてポジションを所持し決済して利益と損失が出る、これが基本的な取引の流れです。
FXの取引ではポジションを1つしか持ってはいけないというルールはなく、2つ以上持てます。
先に取引していた通貨ペアで追加で注文もできれば、他の通貨ペアに注文もできるでしょう。
実際に一つの通貨ペアに集中してポジションを持たせておくのは相場が変動した時のリスクを高くする行為です。
ポジションを分断させて持たせておくのは、リスク管理をする上では基本的な方法となっています。
ポジションを複数持つのは当たり前の話といえるでしょう。
そしてFXでは買いだけでなく売りからも入ることが可能であるポジションは買い、別のポジションは売りと注文もできるのです。
両建てはこの買いと売りの別々のポジションを同じ通貨ペアで持つ行為を指します。
無敵に見えて落とし穴のある手法、両建て
現に同じレートで買いと売りのポジションを別々に持てば、片方で損失が出ても片方では利益を出せるでしょう。
損失の方は途中で手仕舞いをし、利益の方が上がれば総合してプラスにできます。
これだけを見れば「両建てをすれば絶対に負けることはない」とまるで無敵の取引手法と錯覚してしまいます。
しかし実態としては無敵ではなく、使い方を誤れば損失を大きくする手法です。
取引でポジションを持ち、決済のタイミングをどうするか決めるのはトレーダーである人間となります。
既に取引に慣れて的確なタイミングで決済できるのであれば、両建ては正真正銘無敵の手法になるでしょう。
初心者の場合、どこで決済するかのタイミングがまだ掴めない為、両建てしたところで的確にできない可能性が高いです。
その結果マイナスの方に持っているポジションの損失が膨らみ、利益も反対に動いたところで決済して結果的にマイナスとなってしまうケースも珍しくないでしょう。
何よりポジションを2つ持つため、初心者だと管理が疎かになってしまうケースも考えられます。
無敵といえる程ではありませんが、両建てを上手く使えばリスクを抑えられるのは間違いありません。
しかしそれは取引の経験があるトレーダーに限られるため、初心者は手を出さない方がいいでしょう。
底と天井を同時に注文する鞘取り
複数ポジションを持つ時の言葉としては両建て以外にサヤ取りというものがあります。
こちらも股裂きの前に理解しておいた方がいい言葉です。
両建ては同じ通貨ペアで買いと売りのポジションを同時に持つ方法でした。
サヤ取りの場合は同じではなく別々の通貨ペアを買い、売りで注文する方法を指します。
単に注文するのではなく相場を見て買いの方は下がっている通貨ペア、売りの方は上がっている通貨ペアを狙って注文するのです。
基本的に為替相場はストレートに上がり続ける、下がり続けることはなく度が過ぎた場合は反発して戻ることが多いでしょう。
サヤ取りはその反発を狙った取引となります。
取引する場合は単純に通貨ペアを選ぶのではなく、2つとも関連している通貨ペアを選ぶのが基本です。
関連していることを相関性があると呼びます。
相関性のある通貨ペアは相場の動きが似ているため、離れたとしても一時的な物で同じ動きに戻ることが多いでしょう。
サヤ取りはその特徴を狙ったものであり、行き過ぎた2つの通貨ペアに注文を入れて戻りを狙うのです。
上手く行けば利益が多くなる、しかし失敗すれば…
実際にポジションを持った2つの通貨ペアが戻ってきたとします。
そうすれば買い、売りのどちらにも利益が出るため、一つだけ取引しているより多くの利益を得られるのです。
取引量を同じにして注文しておけば、単純に2倍の利益が得られる計算となります。
一方でどちらも戻らない場合、損失はその分多くなってしまうのです。
取引量を同じにして注文してしまえば単純に2倍の損失となる、と逆の計算結果になってしまいます。
読みが当たれば利益は多くなるが間違えれば損失が多くなる、サヤ取りはハイリスクハイリターンな手法なのです。
サヤ取りの失敗、それが股裂きと呼ばれる
先程サヤ取りは失敗すれば損失が多くなると書きました。
買いポジションと売りポジション、どちらもマイナスに進み損失が膨れ上がると悲惨な状態です。
この悲惨な状態こそが股裂きと呼ばれる現象となります。
つまり股裂きはサヤ取りの取引を行うことで起こる現象になるのです。
名前の由来は残念ながら不明ですが一方は上がり続けもう一方は下がり続ける、人間の足に例えると股裂きの指す意味が分かりやすくなるでしょう。
損失が出ている状態で利益を出そうと反対のポジションを持てば、股裂きの状態で両建てしたことになります。
これを「股裂き両建て」というのです。
股裂きにならないためには
損失が膨れ上がる股裂きになるのは、リスクを抑えるのが重要なFXで避けたいところです。
股裂きを避けたい場合は以下の点を考えましょう。
両建て、サヤ取りをしない
一番安全なのはそもそも両建て、サヤ取りをしようとしないことです。
両建て、サヤ取りのどちらも2つのポジションを用いて行い、2つの相場を分析しなければいけません。
通貨ペアごとの相関性も理解しなければいけないため初心者トレーダーには敷居が高いでしょう。
適当に取引をしてしまえばビキナーズラックでもない限り、損失が大きくなるのは容易に想像できてしまいます。
リスクを抑えるために一つの注文で取引量を少なくし、ポジションを分散するのは間違っていません。
しかしその注文を両建てとサヤ取りにするのはやめた方がいいという話です。
初心者の場合は両建てとサヤ取りに拘らず個別に相場を分析し、別々に関連付けず取引していきましょう。
2つの相場を分析して状態を判断する
サヤ取りに限った話ではありませんが、行き過ぎた値動きが絶対に戻ってくるとは限りません。
もし相場が方向性の定まらないレンジ相場にあった場合、動いていた範囲を支えていたサポートラインを突き破る、ブレイクをして相場が変わった場合もあるのです。
突き破れば多くはトレンド相場となり、突き破った方向に動いていきます。
サヤ取りをするつもりでラインのブレイクしたところで取引すれば、行き過ぎた相場ではなく向かう方向が決まった相場でポジションを持ってしまうでしょう。
サヤ取りでポジションを持つ場合は、その前に相場を分析してどのような状態か理解しておく必要があります。
レンジ相場の場合は長い時間足も見てサポートラインを突き破る可能性があるかを確認しましょう。
トレンド相場の場合は動きを見てそろそろ転換するか、まだ進むかを確認するといいです。
どちらもポイントはサポートライン、抵抗線にあるためテクニカル分析を用いるか、自分で反発しているラインを探して線を引きましょう。
抵抗線を見つけて取引のタイミングを狙うのはFXにおいて当たり前のテクニックとなっています。
難しいと考えてしまう方はサヤ取りを控えた方がいいです。
相関性のある通貨ペアかを理解しておく
意外とやってしまいがちなミスが、相関性があると自分は思い込んで実は全く関係のない2つの通貨ペアで取引していたということです。
基本的に同じ通貨が使われていれば相関性のあると判断してしまいがちですが、相場の動きは通貨の組み合わせによっていくらでも変わってきます。
円が使われている通貨ペア全てが同じような動きをするとは限らないのです。
ドル円は穏やかに動いているが、ポンド円は激しく動いているのがいい例になるでしょう。
基本的に選ぶポイントは通貨がどの国で使われているかとなります。
基本的に相関性のある通貨ペアは、現実において同じ地域、近いところに存在しているケースが多いです。
ポンドはイギリスの通貨であり、イギリスはヨーロッパと深い関係にあるためユーロと相関性があります。
そのためサヤ取りをする場合はユーロ円、ポンド円を狙うことになるでしょう。
他には豪ドルはオーストラリアで、ニュージーランドドルはニュージーランドとどちらもオセアニアに該当する地域です。
そのため豪ドル円、ニュージーランド円は相関性があると判断できます。
実際取引する際には2つの相場を自分の目で確認し、同じような動きになっているか理解できるようにしておきましょう。
単に言葉だけでは経験が詰まれず、自分の目で見て理解できることもあるのですから。
1つのポジションによる取引量を抑える
上手くいけば利益は増えますが、失敗すれば損失が増えるハイリスクハイリターンな取引がサヤ取りです。
FXの取引ではリスク管理が大事であり、1回失敗すれば大きな損失の出てしまう取引は適切ではありません。
サヤ取りをする場合は、損失が大きくならないよう注文する時の取引量を少なくしましょう。
少なくすれば失敗した時の損失を抑えられ、逆に上手く行った時の利益を多くできると考えられます。
初心者は意識しなくてよい
両建てを始めとして複数のポジションが必要となる取引は初心者には敷居が高いものです。
まず初心者はチャートの分析から取引のやり方まで理解する必要があるため、サヤ取りや股裂きを覚える必要はありません。
pipsやlotとFXには他にも様々な用語があるため、別のを覚えるために余計なものを覚える余裕もないでしょう。
何より両建てとサヤ取り、どちらも手法の一つであり必ず覚える必要はないため、取引していく上で意識する必ず意識する必要はないのです。
興味があれば手法に対して調べ、なければそのまま意識せずに別の方向でFXの腕を磨いていきましょう。