不登校の高校生を持つ親が一番心配するのは不登校であることが子どもの人生や将来に大きく影響を及ぼすということです。
文部科学省の調査によると高校生の不登校は68人に1人にものぼると言われています。
中学までと違い、高校は義務教育ではないので不登校に対しての先生の対応なども手薄で、回復に至らず中退してしまう場合も少なくありません。
さらに高校中退後も引きこもりとなり過ごしてしまう子どもはさらに多いとされています。
日本の高校進学率は大変高いため、高校に行かないことで将来の選択肢が狭まってしまうのが現実です。
そのため、高校生の不登校を持つ親御さんは、学校に行かせられないか、学校に行けないのならせめて外に出て社会とのつながりを持てないか、将来を見据えて今を生きてほしいと願っているはずです。
しかし実際の不登校生はスマホ、ゲーム、ネットなどへの依存度が高くなり家に引きこもってしまうケースも多いです。
そして親への反発心も大きくなる時期の為、親の言葉にも耳を貸さず、生活リズムも乱れていってしまう場合も少なくありません。
今回はそんな高校生の不登校について考えていこうと思います。
目次
高校生の不登校の原因
まずは高校生が不登校になる原因について考えてみます。
大人へと近づくことの不安
高校生になると10代も後半になり、大人として社会に出ることを強く意識しはじめます。
大人になるという漠然とした将来が目の前にあるのに、自分の中に具体的なイメージや目標が持てずに大きな不安を抱えています。
そして自分の中で様々な葛藤が生まれるのです。
環境の変化
環境の変化は小学校や中学校でも経験しています。
しかし無邪気な幼少期と比べると今は自尊心も高く、とても繊細な時期です。そんな時期に新たな人間関係築くのはとても難しいことです。
クラスに友達ができなかったり、学校の校則や雰囲気に馴染めないなどして、学校に行けなくなる場合があります。
勉強が難しい
高校生になると数学、物理、化学など学習内容がぐんと難しくなります。
中学までは成績が良かったのに高校に入って成績が思うように上がらず、勉強ができなくなった自分に落ちこんでしまうことがあります。
そして親の期待が大きい場合なども、子どもに過度のストレスがかかり不登校に至る場合があります。
義務教育ではない
日本の高校進学率は98%を超えており、高校くらいは出ておかないとという風潮があります。
しかし義務教育でないため、高校に通うことは自らの意思が大きく必要になってきます。
そのため、早く働きたい、勉強が嫌い、学校が楽しくないなど、高校に行く意味を感じていない場合は不登校になりやすいといえます。
また、高校生になりしばらくたつと、思い描いていた高校生活とのギャップに気づき、義務教育ではない高校生活に意味がないと考えてしまう場合もあります。
将来に対する不安
高校によって時期は異なりますが、文系コースか理系コースかを選択する時がきます。
その時期をきっかけに、将来自分がどんな仕事に就きたいか、何をして生きていきたいのかを真剣に具体的に考える必要があります。
しかしその答えはすぐに見つかるわけではありません。
大学進学を目指す場合は、志望校選択に頭を悩ませますし、就職を選んだ場合も同世代で一足早く社会に出る事の不安は拭えません。
何度も迷い、自問自答しながら将来を決めていくのです。
その課程の間で将来に対する漠然とした不安や、やりたいことがみつからない自分に気力を失い、不登校になってしまうこともあります。
受験のストレス
そして高校生は大学受験に向けて大きなプレッシャーを感じています。
受験に失敗することは自分の存在を否定されるものと考えてしまう子どももいます。
そんな中で勉強が思うようにはかどらず、志望校が厳しいという状況になると学校に行けず、引きこもってしまうことがあります。
不登校の高校生のための5つの対応
では次にそんな高校生たちに家族はどのような対応をすればいいのでしょうか。
まずはたっぷり休息を
学校を休んでしまう子どもには無理に行かせようとせず、休んでいいよと伝えましょう。
焦りや不安を抱えている子どもの頑張りを認めてあげ、安心させてあげるのです。
子どもの不安を理解する
学校に行きたくない理由や不安に思っていることをじっくりと聞いてあげる時間を作りましょう。
子どもの何でもない一言にも耳を傾けるようにしてください。
しかし、理由をうまく言えない子もいます。
そんな時は無理に聞き出すことはせず、ただ子どもが不安を抱えているんだということだけ理解しましょう。
あまり聞きすぎると本人は適当に親が納得しそうな理由を伝え、苦しんでしまうという場合もあるので注意が必要です。
不登校の理由がいじめの場合は確認が必要ですが、それ意外の場合は無理に聞き出す必要はありません。
子どもを肯定してあげる
不登校になると子どもは学校に行けないことで罪悪感を抱えて過ごすようになります。
生活リズムが乱れ、家族との会話を嫌があり、反抗的な態度をとることもあるでしょう。
しかしそんな場合でも子どもを責めるのではなくしっかりと子ども自身を肯定して、受け止めてあげてください。
子どもの持っている罪悪感を軽くしてあげてください。
そのためには「学校に行ってもいいんだよ。学校に行けなくてもいいんだよ」と伝え、不登校である子どもではなく、ありのままの子どもの存在を認めてあげてください。
そんな言葉を聞けば、子どもの気持ちはふっと軽くなるでしょう。
子どもが今できることを応援する
学校に行けないからといって、遊んでばかりいると責め立ててはいけません。
不登校の中でも子どもが興味を持ってやっていること、好きなこと、熱中できることをみつけたらたくさん褒めてあげてください。
家の中で役割を与えてみてもいいですね。
数々の成功体験や、褒められること、感謝されることが積み重なり自信へとつながります。
高校意外の選択肢を教える
今は色々な種類の高校もありますし、高校に通わなくても高校卒業認定試験を受ければ大学受験資格を得ることもできます。
通信制高校や定時制高校、専門学校、留学などさまざまな選択肢があることも教えてあげましょう。
もちろんある程度回復し、これからの話ができるようになってからで大丈夫です。
子どもにやる気さえあればどんな道でも開けているのだと教えてあげましょう。
家庭の中で抱え込まないで
不登校生を抱える家庭では、苦しむ子どもを見てお母さんやお父さんなど、家族が疲れてしまう場合も多いです。
心や生活が乱れてしまった子どもを目の当たりにするのは辛いものです。
そんな時は家庭で問題を抱え込むのではなく、周囲に相談してみてください。
現在は不登校を専門に扱うカウンセラーも存在しています。
そういった様々な人の力を借りながらお子さんの状況に応じて、回復までの道のりを歩んでいきましょう。