子どもが不登校になると、このまま一体いつになったら学校に行けるようになるのだろう?と親御さんは不安になることと思います。
不登校の数が増えているという調査もありますが、一方で不登校を克服し、立ち直ることができたお子さんもたくさんいます。
不登校を経験した方も現在は立派な社会人となり、幸せな人生を過ごされています。
そのため今子どもが不登校だからといって、悲観的になったり将来を諦める必要はありません。
この記事では、子どもの不登校と不登校の克服について考えていきたいと思います。
目次
不登校とひきこもりについて
不登校とひきこもりは同じような意味で使われることが多いですが、厳密には意味が異なります。
不登校
不登校とは学校に登校していない状態です。
不登校児童生徒とは何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいわ社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの
文部科学省が定める不登校の定義
ひきこもり
一方ひきこもりとは、自宅を中心として生活で就労、就学といった社会参加活動ができない、していない状態が6ヶ月以上続くこととされています。
不登校を経験しても8割が克服している
文部科学省の調査では「中学時代に不登校を経験した子どものうち約8割がその後就学、就労をしている」というデータがあります。
多感な思春期を過ごす子どもたちも、一定期間を悩み休息すれば、自分なりの答えや考えを確立することができ、不登校を克服できるのでしょう。
不登校やひきこもりの期間は子どもによりそれぞれ違いますが、大きなきっかけがなくある日突然「学校に行ってみようかな」という気持ちになる子どもも少なくありません。
そのため、不登校のお子さんを持つ親御さんも、今不登校だからといって先が見えない不安に焦ることなく、大きな気持ちでお子さんに安心を与えてあげられるように心に余裕を持って接してほしいと思います。
不登校を克服させるために親ができること
子どもが不登校を克服するために親はどのような面でサポートしてあげればいいのでしょうか。
ただやみくもに「学校に行こう」と働きかけてもうまくいきません。
不登校になる子どもが抱えている要因はそれぞれ違います。
しっかりと子どもの様子を観察しながら、お子さんに合った対応をすることで不登校克服への道は開かれていきます。
両親がコミュニケーションを増やす
子どもの発達には環境が大きく関わってきます。
不登校の理由として家庭環境の悪さがあげられることもあります。
夫婦仲の悪さや、子どもの前で激しい喧嘩をするということは子どもに深い傷を与えてしまいます。
子どもにとって両親は一番近い存在であり、大きな存在です。
そんな両親がうまくいっていないと、子どもも心を閉ざしてしまうことになりかねません。
そうならないためにも、両親はコミュニケーションをよくとり、子どもに安心感を与えてあげましょう。
家の雰囲気を明るくすることにより、学校で嫌なことがあっても家に帰れば受け止めてもらえるという気持ちになれば、子どもも頑張れるかもしれません。
また、不登校の問題は一番身近で子育てをしてきた母親に責任が向けられがちです。
そんな状況では母親だけが苦しむことになり、子どもにも悪影響を与えてしまいます。
両親が一丸となって子どもの不登校について話し合ったり考え、サポートする体制をつくることも重要だと思います。
子どもに役割を与える
不登校になる子どもは、小さな失敗が重なったり傷つく場面が増えることで自分に自信を失っていたり、居場所がないと思っている場合があります。
そんな時は子どもに家の中でしっかりと役割を与えてあげましょう。
家事のひとつを任せてみたり、買い物につきあってもらいましょう。
子どもが少しでも興味のあることや得意なことで役割を与えられればなお良いでしょう。
そして子どもがしっかりと役割を果たしたときは心から「ありがとう」「たすかったわ」とねぎらいの言葉をかけてあげましょう。
そうすることで子どもは家族の中で役に立っている、貢献できているという気持ちがわき、承認欲求が満たされます。
他者から認められるという日常の中の小さな積み重ねで子どもは自信を取り戻していきます。
子どもの気持ちに寄り添う
親御さんからすれば、子どもが不登校という状態はなんとしても解決したい課題といえます。
不登校が続き回復に時間を要することや、勉強のことなど、様々な不安から子どもをなんとが学校に行かせようと思ってしまいます。
「みんな学校に行ってるんだから頑張って行こう」「いつまで休むの?」など親の不安を子どもに押しつける問いかけをしても、子どもの心には届きません。
なぜかというとそれは親が自分の気持ちしか考えていないからです。
まずは子どもの気持ちに寄り添ってみましょう。
子どもがどんな不安を抱えているのかに耳を傾けてあげましょう。
漠然とした不安かもしれません。子ども自身にも理由がはっきりしない状態かもしれません。
そんな子どもの状態をありのまま把握し、受けとめてあげましょう。
子どもが自分の気持ちをうまく話せなくても、じっくりと待って、聞いてあげましょう。
子どもが心から親を信頼し、気持ちを吐き出すことで子どもにとっての課題が見えてくるかもしれません。
勉強できる環境を整えてあげる
学校に行けなければ勉強が遅れていきます。
そのために親は「早く復学させなくては」と焦ってしまうこともあるでしょう。
そんな親の気持ちのままでは子どもは学校に行けません。
不登校の子どもに親ができることは、家でもしっかり学習できる環境を整えてあげることです。
学校に行って学ぶことも多いですが、学校に行かなくとも学べることはとても多いです。
また、子どもがいざ「学校に行きたい」という気持ちになったとき、勉強の遅れがネックになり躊躇してしまわないことも重要です。
そのために、家庭教師を雇ったり、分かりやすい参考書を買い与える、集団が可能であれば塾に行かせるなど、子どもの状態に応じて学習方法を検討しましょう。
フリースクールを利用する
フリースクールは何らかの理由で学校に行けない子どもたちが通うことのできる学校です。
フリースクールの場合は、子ども一人一人に合わせた指導をしてくれるところも多いため、不登校生でも利用しやすいです。
しかし全国のフリースクールの数は少なく、フリースクール自体が足りていない現状や、公的支援がないため経済的な理由から不登校生の中でもフリースクールに通っている子どもは数パーセントにとどまるのが現状です。
不登校を克服した有名人たち
不登校や引きこもりというとどうしてもマイナスなイメージがつきまといます。
不登校な時期をおくることでその後の人生が台無しなるのではないか?親はそんな不安を抱いてしまうでしょう。
もしかしたら不登校生本人もそんな不安を抱えながら苦しんでいるのかもしれません。
しかし、不登校になる子どもたちはみな繊細で感受性の強いお子さんばかりです。
不登校時代を送ったことのある有名人もたくさんいます。
トーマス・エジソンが学校へ行かなかったのは有名ですね。
アインシュタインも学校嫌いだったと言われています。
その他現在活躍している芸能人の中にも不登校を経験している人は多数います。
マツコ・デラックス、演出家の宮本亜門、指原莉乃、芸人の千原ジュニアなど、不登校時代を克服して立派に活躍しています。
学校に疑問を感じる、学校と合わないことが少数派であるために問題視されがちですが、不登校だからといって能力がないわけでも無駄な時間を過ごすわけでもないのです。
不登校時代を克服したからこそわかる人の痛みもあるでしょう。
敏感に色々なものを感じ取る性格だからこそ、才能を発揮することもあるでしょう。
子どもたちの未来は多くの可能性を秘めています。
そんな子どもたちの存在や才能を信じて、今見守ることが、克服への第一歩ではないでしょうか。