薬剤師というと専門職というイメージがあり、就職先に困らない・女性の場合は結婚しても出産しても続けられる仕事として人気の高い職業と言われています。
恐らくこの先も病院やドラッグストアがなくなることはありませんから、将来的に見ても薬剤師という職業の前途は明るいように感じられます。
しかし実際には、薬剤師として働き始めてみたものの、「仕事の内容が想像していたものと違っていた」「もしかすると自分にこの仕事は不向きかもしれない...辞めたい」と感じる人が増えているようです。
そこで今回は、資格を持っていても薬剤師に向かない人の特徴や薬剤師を辞めたい人が急増している理由、加えて薬剤師を辞めたいと思った時の心の持ち方などについて解説していきます。
目次
資格を持っているだけではダメ!薬剤師に向かない人とは?
「薬剤師の資格を持っているのだから、自分は薬剤師として仕事をしていくことができる」と考えている人がいるとしたら、それは少し間違っています。
薬剤師の資格を持っていることと、実際に薬剤師として働くということはまったく別次元のことだからです。「薬剤師としての知識を持っていること」と、「実務に活かせること」はイコールではありません。
ですから、薬剤師という仕事に就いてみたけれど「自分には合わないから辞めたい」という人が減らないのです。では、薬剤師の仕事に向かない人とはどのようなタイプなのか、見ていくことにしましょう。
できるだけラクに仕事をしたいと考えている
どんな仕事でも苦労はつきものですが、特に薬剤師は誰にでも務まるような仕事ではありません。特に「少しでも手抜きをしたい・ラクをしたい」という考えを持っている人には間違いなく向いていません。
薬剤師には正確で的確な作業が求められますから、「なんとなくこなしていればいい」「とりあえずこれでOKかな?」といったあいまいな仕事は許されないのです。
ですから、「できるだけ苦労したくない」「あくせくしないで、のんびり仕事をしていきたい」という考えのもとで薬剤師になった人はすぐに「辞めたい」という気持ちに傾いて行くでしょう。
すぐに考え込むクセがある・ストレスを溜めやすい
何か失敗をするとすぐに考え込んでしまうクセがある、ストレスを溜めやすいという人も、早々に「辞めたい」と感じたり、薬剤師として活躍するのをあきらめたりする場合が多いようです。
というのも、薬剤師は休む暇もなく調剤を続けていく必要がありますから、いちいち考え込んだりストレスを溜めたりしていては心も体もボロボロになってしまうのです。
せっかくたくさん勉強をして薬剤師としてのスタートを切ったのに、経験を積む間もなく「これ以上は続けられない・辞めたい」という状況に陥ってしまうのは非常にもったいないことです。
薬剤師になりたいと思ったら、まずは自分の心のクセや適性などをよく理解したうえでチャレンジする必要があるのかもしれません。
人とコミュニケーションを取るのが苦手
薬剤師の仕事は、実はコミュニケーション能力が問われる職種でもあります。まず調剤室内では、調剤に間違いがないようにチームを組んで仕事をすることがあります。
また、調剤した薬について患者さんから質問を受ける・回答するという場面も多々あります。特にドラッグストアなどに勤める場合にはこの傾向が強く見られます。
ですから、「薬剤師は調剤の仕事だけしていればいい」「もくもくと薬と向き合う仕事だ」と考えていると、就職してから「こんなはずではなかった」「辞めたい...」という悩みを抱えることになるかもしれません。
実はつらいことばかり?薬剤師を辞めたい人が増えている理由
薬剤師は、基本的には医師の処方箋にもとづいて、患者さんの薬を調剤するのが仕事です。調剤する薬は人の生死に直結する場合もありますから、間違いは決して許されません。
また、医学の進歩や医薬品会社の努力などにより、薬の種類は日に日に増えています。ですから、それに伴って薬剤師も自己研磨を続けていかなければいけません。
ですから、薬剤師の資格を持っていればこの先もずっと安泰・仕事はなくならないと思ったら大間違いなのです。そのため薬剤師を辞めたいという人が増えているとも言われています。
では、薬剤師という仕事をもう続けられない・辞めたいと考える人が減らない理由について、もう少し詳しく探っていくことにしましょう。
覚えなければいけないことがありすぎる
薬剤師として働いていくのであれば、何千種類とある薬の種類や薬ごとの調剤可否、調剤薬局が使用しているシステムの使い方も覚えなければいけません。
薬剤師としての知識を持っていればそれでOKというわけにはいきませんから、覚えるのが苦手だという人にはつらい仕事であると言えるでしょう。
また、薬剤師として就職する現場によっては、新人に対する研修体制が整っていないところも少なくないようです。仕事量の多さに対して人手が足りていない現場も多く、仕事を覚える前に辞めたいと思う人もいるようです。
患者さんの役に立ちたいと思って薬剤師という仕事に就いたはずなのに、いざ就職してみたら「現場で役に立つことすらできない」のですから、やりきれない気持ちになってしまうのも無理はありません。
新人であってもミスは絶対に許されない
患者さんから渡された処方箋を正しく読み取り、正しい調剤・服薬指導をすることが薬剤師の使命です。万が一にも間違えるということがあってはいけません。
一般的には新人はミスをするものであり、失敗から学んでいけば良いという認識がありますが、薬剤師についてはこの一般論は通じません。
「薬剤師になったばかりの新人だから薬の調剤を間違えても多めに見てもらえる」ということは一切ないのです。こうした厳しさも、薬剤師になって間もなく「辞めたい」という人が後を絶たないひとつの原因なのでしょう。
長時間労働・サービス残業の日々に耐えられない
薬剤師の仕事は基本的に立ち仕事です。そして日々持ち込まれる処方箋やこなさなければいけない仕事の量は膨大であるのに対し、薬剤師の数が足りていません。
そのため、長時間労働やサービス残業が重なることもよくあるようです。プライベートの時間がどんどん削られていくことに耐えられず、「もう辞めたい...」と思い始める薬剤師も多いと言います。
「薬剤師という仕事を理想化していたわけではないけれど、もっとスマートな職場だと思っていた」「こんなに大変な現場だとは想像もしていなかった」という人もたくさんいるようです。
気持ちをうまく切り替えるためには?薬剤師を辞めたいと思った時の処方箋
薬剤師という仕事に夢を持っていたけれど、実際に現場に入ってみたら、待っていたのは厳しい現実だったということはよくあります。
日に日に辞めたいという気持ちが大きくなっていくけれど、せっかく苦労して取得した資格を活かさないのはもったいない...といって薬剤師の仕事を続ける決意をする人もいるでしょう。
それでは今度は、薬剤師を辞めたいと思った時にうまく気持ちを切り替える方法について、考えていくことにしましょう。
「つらいのは自分だけではない」と考える
薬剤師として働いているのはあなたひとりではありません。そして、新人の薬剤師として働き始めたばかりの頃は誰でも、今のあなたと同じように深く悩んだ経験があるかもしれません。
今この瞬間はつらくても、それはまだ経験の浅い新人だからこそであり、「学ぶべきことが膨大にあるというプレッシャーからくる苦しさ」である可能性もあります。
だからこそ、「つらいのは自分だけではない」「経験を積んでいくことによって、今の悩みは解消されるに違いない」と、自分を奮い立たせてみましょう。
患者さんに感謝された時の気持ちを思い出す
「薬剤師として勤務するのはもう限界」「すぐにでも辞めたい」という思いが強くなってきた時には、患者さんに感謝された時の気持ちを思い出してみましょう。
人の役に立つことができた、患者さんにお礼を言われたという事実は、薬剤師にとって何よりも嬉しいご褒美ではないでしょうか。
新米の薬剤師としてスタートを切ったばかり、右も左も分からないなりに努力しているのに、いつまでたっても報われないと考えるのはやめましょう。あなたはすでに患者さんの役に立っているのです。
薬剤師の仕事が嫌なのか?それとも職場が嫌なのか?
「この仕事を続けられる自信がない...」と感じた時に、ひとつ考えてみてほしいことがあります。それは、薬剤師の仕事そのものが嫌なのか、それとも職場が嫌なのかということです。
薬剤師という仕事を理想化しすぎていたあまり、実際の現場とのギャップの大きさに耐えられなくなってしまったのか、それとも職場の環境に耐えられないのか、どちらかによって対処方法は変わってきます。
もしも薬剤師という職種そのものが無理だというのであれば、もうどうしようもありません。しかし、職場に問題がある場合には、まだ希望があります。
薬剤師を求めている現場はたくさんありますから、あなたの求める条件で仕事ができる現場を探してみるようにしましょう。
「薬剤師を辞めたい」と感じたら!心を病んでしまう前に転職を考えるのがベスト
資格を持っていても薬剤師に向かない人の特徴や薬剤師を辞めたい人が急増している理由、加えて薬剤師を辞めたいと思った時の心の持ち方などについて解説してきました。
薬剤師という仕事は、華のある職種というよりは、どちらかというと地味で苦労の絶えない仕事です。そして向き・不向きがハッキリと出やすい仕事でもあります。
もしもあなたが薬剤師として働いていく中で、「どうしても仕事に慣れることができない」「辞めたい...」という気持ちが消えないのであれば、無理に仕事を続けることはありません。
自分の気持ちに正直に生きることも大切です。仕事のことで心を病んでしまう前に、なるべく早い段階で転職を考えてみるのも良いかもしれませんね。