ピアノのペダルの役割とは?仕組みや使い方のコツを詳しく解説します。

ピアノの鍵盤に向かって椅子に座ると、足元にペダルがついています。

主に三本ついていることが多いのですが、ピアノの種類によって用途や仕組みが違うことをご存知でしょうか。

ここでは、ピアノのペダルの名称や役割、仕組みや使い方のコツなどを解説していきます。

右側のペダル

ピアノのペダルの中で一番よく使われるのが、右側のダンパーペダルです。

これを踏むと、ピアノの弦を押さえているダンパーと呼ばれるストッパーのようなものが上に持ち上がり、解放された状態になります。

そのため、鍵盤から指を離しても弦が響き続け、ペダルが戻るまで余韻が残ることになります。

これを使えば、十本の指で十本以上の鍵盤の音を同時に響かせることができ、なめらかに流れるような演奏ができます。

電子ピアノで、一つしかペダルがついていない場合はこのペダルになります。

電子ピアノにはダンパーがついていないので、音を長く伸ばすという意味のサステインペダルとも呼ばれます。

このペダルは、バラードなどゆったりした曲の時に多く使われ、
どこで踏んでどこで上げるのか、細かく指示している楽曲もあります。

楽譜の下の方に、独特な筆記体で「Ped.」と略されて書かれているところでダンパーペダルを踏み、花のような、米印のようなマークが書かれているところで離します。

また、さらに略されて「P」とだけ書かれていたり、文字ではなく線だけで書いて表している場合もあります。

その楽譜や作曲家それぞれの表記の仕方をチェックしてみてください。

左側のペダル

次に使われるのが左側のソフトペダル(シフトペダル)です。

弱音ペダルとも呼ばれるこのペダルは、その名の通り音をソフトに、弱くしたいときに使います。

グランドピアノは一つの鍵盤に弦が二本または三本ついていて、それをハンマーがたたくことで音を出しています。

ソフトペダルを踏むとハンマーが一斉に横にずれ、一つの鍵盤に一本の弦しかたたかなくなります。

そのため、音がやや弱くなり音質も変わるので、必要な時はこれを踏んだまま演奏します。

アップライトピアノでは、このペダルを踏むと、弦をたたくハンマーが一斉に弦に近づき、
動きが小さくなるので、音を弱くすることができます。

ピアニッシモなど弱い音が多い曲の時、また強弱の差をより表現したいときに多く使われます。

また、はじめからこのペダルを踏むよう楽譜に指示している曲もあります。

「una corda」(一本の弦で)と書いてあるところでは、このペダルを踏んだまま演奏し、
「tre corde」(三本の弦で)のところで離します。

前述のダンパーペダルと同時に使うこともあるので、ダンパーペダルを右足、シフトペダルを左足で踏みます。

真ん中のペダル

最後に、真ん中のペダルは、グランドピアノとアップライトピアノで用途が異なります。

グランドピアノではソステヌートペダルと言って、残したい音の鍵盤を弾く直前に踏むと、その音だけ余韻が残り響きます。

これはピアノ経験者でもなかなか使う機会の少ないペダルです。

アップライトの場合は、マフラーペダルと言って、これを踏むとハンマーと弦の間にフェルト(布)がおりてきます。

その上からたたいて音を出すので、音がとても弱くなり、こもったようになります。

これは踏んで横にずらすと固定することができるので、
夜に練習するときや、マンションなどで小さな音で演奏したいときによく使われています。

電子ピアノではヘッドホンを使えば音を出さずに練習できるので、真ん中のペダルが省かれ、左右の二本しかないものも多いです。

ペダルの使い方

さて、ペダルの役割がわかったところで、今度は実際に使ってみましょう。

まず、右側のダンパーペダルに足をのせてみます。

その時注意したいのが、足のすべてをのせるのではなく、かかとは床にしっかりつけ、
親指側の、付け根のやや下から上の部分だけをペダルの先端部分にのせるようにします。

足の大きさや形にもよりますが、演奏中細かく踏みかえることが多いので、
何度も踏んでみて、踏みやすくかつ演奏もしやすい、しっくりくる位置を探してみてください。

踏みやすいよう椅子の高さを調整することもとても大事です。

使って演奏しているうちに、慣れてきて自然に足を置けるようになってきます。

同様に、ソフトペダルに左足をのせてみてください。

こちらは何度も踏みかえるというよりは、しばらく踏んでいることの方が多いので、踏む足の面積はやや広いほうがいいと思います。

ダンパーペダルと両方使う際は、重心がぶれないようしっかり座ります。

両手両足を使うこと、それによって全身のバランスを保つことも難しく神経を使いますが、練習あるのみです。

もちろん、ペダルを使わないときは足をのせておく必要はありません。

右足をペダルの近くに、左足はやや後ろに置くとバランスがとりやすいです。

この時もかかとはしっかり床につけるようにしましょう。

ペダルを踏むタイミング

ダンパーペダルを踏むタイミングをつかめるようになるには、耳できく力も必要になってくるので、苦労する方も多いです。

早すぎても前の音と混ざり濁った音になってしまうし、遅すぎると音が伸びずきれいに響きません。

コツとしては、最初の音の鍵盤を指で弾いた直後に、素早く踏むことです。

そして、和音が変わるごとに踏みかえると、きれいに響きます。

その際に注意したいのが踏む深さです。

すぐに踏み変えなければならないのに、下まで深く踏みすぎると、足首をたくさん動かさなければなりません。

それを繰り返すと足が疲れてしまい、タイミングが遅れてしまうことにもつながります。

一番下まで踏み込まなくても、ダンパーが少し浮き上がれば音はある程度持続します。

細かく踏みかえることが多い曲の場合は、浅く、半分ほど踏めば良いでしょう。

そして、長いアルペジオなど、たくさんの音を響かせるときには、一番下まで深くしっかり踏むようにしましょう。

ペダルを踏む深さは、音の響き方や全身の体重のかけ方にも影響してくるので、ぜひ研究してみてください。

まとめ

ピアノのペダルを初めて使うときは、手だけでも大変なのに足までなんて無理と、とても難しく感じるかもしれません。

しかし、少し使うだけでも曲の完成度が上がり、演奏レベルが上がったことを実感できると思います。

また、弾ける曲の幅も広がり、レパートリーもたくさん増やすことができるでしょう。

ぜひ、遠慮せず、怖がらずに、自由にペダルを使って演奏してみてください。

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