ピアノの調律の仕方。普段からできるお手入れ方法をご紹介。

ピアノを大切に使うために・知っておきたいお手入れと調律

ピアノはとても身近な鍵盤楽器で、学校の音楽室や体育館、幼稚園の教室など、
一度は目にしたことがあるかと思います。

そんなどこにでもあるピアノですが、その構造は実はかなり複雑で、デリケートな楽器であると言えます。

手入れや調律を怠ると、どんどん音が変わっていき、劣化していってしまいます。

ここでは、自分でできる日頃のお手入れの仕方や、ピアノの扱い方、プロに頼む調律について、
初心者の方にもわかりやすいようまとめました。

ぜひ参考にしてみてください。

日頃のお手入れ

グランドピアノやアップライトピアノの普段目で見ることができる部分、手を触れる部分は、主に木でできています。

コーティングはしてありますが、水濡れに弱く、また、こまめに拭き掃除をしないと汚れが蓄積されていきます。

特に、一番手を触れる鍵盤は、注意が必要です。

まず、汚れた手で触らないよう手をしっかり洗って、十分に拭いて乾かしてから演奏するようにします。

しかし、どんなに手を清潔にしてピアノに向かっても、練習中に汗をかいたり、
また楽譜や自分の顔、髪の毛などを触ったりしてしまうので、どうしても汚れはついてしまうものです。

練習後は専用の布や柔らかい布でからぶきし、練習頻度にもよりますが
月に一回程度はクリーナーでふき取ると、常にきれいな鍵盤を保つことができます。

アルコールや市販の研磨剤を使うと、逆に傷んでしまう場合があるので、
楽器販売店などに売っているピアノ専用のクリーナーを使うようにしてください。

そして、演奏しないときは必ず鍵盤のふたを閉めるようにし、ほこりが被らないようにします。

楽譜たてがある部分も同様です。

自宅で演奏する際にピアノのふた(屋根)を開ける方はなかなかいないかもしれませんが、
そちらも使わないときは必ず完全にしめるようにし、専用のカバーをかけるかこまめにほこりをふき取ることをおすすめします。

ピアノはほとんどが黒色なので、ほこりがたまるとすぐにわかります。

また、すきまから中の複雑な構造をしている部分にまでほこりが入り込むと、
音質が変わってしまうことはもちろん、演奏や調律にも支障をきたす場合があります。

定期的に上蓋の中もチェックして、きれいな状態を保ちましょう。

電子ピアノの場合も、ふたやカバーを開けたままにしているとほこりが入り込み故障の原因となってしまいます。

当たり前のことかもしれませんが、使い終わったら電源を消し、ふたをして元の状態に戻すことで、劣化を防ぐことができます。

湿度に注意

前述のとおりピアノは水に弱いです。

しかし、カラカラに乾燥しすぎても木は変化してしまいます。

せっかく調律した音程が狂ってしまい、音の質や鍵盤のタッチなど、様々なところに影響が出てきてしまいます。

まず、部屋に正確な温度計と湿度計を置き、室温が20度であれば湿度は50%程度に保つことが理想です。

夏、特に梅雨のじめじめした時期はエアコンの除湿機能や除湿器を、冬は加湿器などを活用して、ピアノを快適に演奏できる環境を整えましょう。

また、寒冷地方にお住まいの方は、冬の結露にも注意が必要です。

ピアノの内部に水滴がついてしまうと、金属部分がさびてしまったり、木の部分が腐食してしまいます。

ピアノを置いている部屋は、音が漏れないようどうしても閉め切ってしまいがちです。

窓がある場合は、穏やかな天気の時に空気を入れ替えることも大切です。

窓がない場合は、練習の合間にしばらくドアを開けておくだけでも良いでしょう。

そのように湿度や部屋の空気に気を配ることは、ピアノを長持ちさせることにもつながります。

傷をつけないために

ピアノの表面は美しくコーティングされていますが、やはり木でできているので傷がつきやすくなっています。

そのため、金属製の指輪やアクセサリー類は外して演奏することをおすすめします。

高価なコンサートピアノを置いているホールなどでは、そのようなアクセサリー類は一切禁止、椅子と鍵盤以外に触ることも禁止、というところもあります。

ピアニストの中にはお守りとして指輪をつけて演奏する方もいますが、
結婚指輪など毎日しているものでも、演奏する際はやはり外しておくのが無難です。

また、ふたの上に楽譜や小物などをのせている方もいるかと思いますが、あまり重いものをのせたままにしておくと、ピアノに負荷がかかってしまいます。

傷がついてしまったり、音の響き方にも関わってくるので、あまり上に物をのせることはおすすめしません。

調律は年に一度

日頃のお手入れや湿度を保つことと並んで大切なのが、調律です。

これはプロの調律師に頼んでやってもらうしかありません。

料金はかかりますが、一年に一度調律してもらうのが理想です。

毎日弾いているとあまり気づかないのですが、調律直後は、一年間でこんなに変わってしまうのかと実感できると思います。

もちろん、弾いていて何か気になることがあれば、一年を待たず調律師にみてもらうのが良いと思います。

また、引っ越しなどで設置場所を変える時も、調律が必要になってきます。

調律とは

では、具体的に調律とはどのようなことをするのでしょうか。

主に音の高さを整えることを指しますが、その他にも音色や音質、鍵盤のタッチを調整したり、
必要があれば修理もする、いわゆるピアノのメンテナンスということになります。

チューニングハンマーと呼ばれるピアノ専用の工具で、弦が巻かれているピンを回し、音の高さを変え、整えていきます。

高さを変えるといっても、もちろんドの音をレにしたりするわけではありません。

同じドの音の中で幅があり、高めのドもあれば低めのドもあるわけです。

ピアノの弦はものすごく強い力で引っ張られて固定されていますが、音を出すため何度もハンマーでたたかれ、
時間がたつとどうしてもゆるんできてしまいます。

また、置かれている部屋の湿度や環境が悪いと、さらに状態は悪化してしまいます。

それを、一つの音でも、和音にしてもきれい音が出るよう、また余韻の音や共鳴して響く音などにも注意しながら、微調整していくのです。

一つの鍵盤に二本または三本ついている弦を、一本ずつききわけながら絶妙な力加減で合わせていく作業は、
素人からするととても気の遠くなるような職人技です。

一番はじめに調律されるピッチという音の基準があり、通常は中央のドのすぐ上のラを440Hzに、と決められています。

しかし、好みによって442Hzや他のピッチにしてほしい、など注文する方もいるそうです。

音色や音質も、明るくしてほしい、華やかにしてほしい、柔らかい感じにしてほしい、など、調律師と相談しながら、好みの音に決めていくことができます。

鍵盤のタッチ、弾き心地も同じように、打鍵の重さ、返ってくる速さなど、調整していくことができます。

そのような工程を経て、弾いていても聴いていても心地よいピアノになっていきます。

ピアノは大きな楽器なので、自分では気づかないところで何か問題が起きている場合があります。

プロに隅々まで見てもらうことで、安心して使い続けることができるでしょう。

まとめ

ピアノは生き物だとよく言われますが、大切に扱えば、一生同じものを使い続けることができます。

さらに、自分の子どもや孫など、その後何年も受け継ぐことができる楽器です。

日頃から適切なケアをして、心地よい演奏を楽しみましょう。

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