幼稚園児の不登校も増えています。
幼稚園児など低年齢で起こる不登校の原因にはどんなものがあるのでしょうか。
この記事では、幼稚園児の不登校についてさまざまな角度から考えていきたいと思います。
母親と離れることに対する不安
まず幼稚園児の不登校で多くの原因となるのが母親と離れることに対する不安です。
家庭という安心できる場所から集団の中で過ごす幼稚園に行くということは、子どもにとって大きな冒険でもあります。
子どもが母親から離れる不安を「母子分離不安」といい、幼稚園児の不登校にはこの母子分離不安が大きく関わっていると言われています。
朝の登園時には母親から離れたがらず泣いて暴れて抵抗する子もいます。
最終的には幼稚園の先生に無理矢理抱きかかえられて母親と別れることになります。
一旦幼稚園に行ってしまえばすぐにお友達と遊び始められ楽しく過ごしている子も多いです。
しかし中にはずっと気持ちを切り替えられず泣いたまましばらく過ごすことになる子もいます。
行けば楽しく過ごせるのならと割り切って子どもを預けますが、毎朝大泣きしている子どもを、見ているのはつらいですよね。
こんなに嫌がっているのに子どもを預けるなんて、と罪悪感すら抱いてしまいます。
子どもは年々成長しています。
そんな中でついつい「もう年長さんなんだから」などと突き放すような言い方をしていませんか?
親としては子どもの自立面を考え、自分でできることは自分でしっかりとやってほしいという思いからそんな言葉をかけてしまうこともあるでしょう。
子どもは幼稚園に行く不安と自分の果たすべき責任を天秤にかけ、母親の期待に応えようと必死に頑張っている状態です。
しかし自分が幼稚園に行っている間に母親との距離が広がってしまうのではないか?という思いから、不安で不安で仕方ないのです。
対応
このような場合の子どもへの対応は、子どもの心に耳を傾けることです。
子どもの話を手をとめて聞き、受け入れてあげましょう。
子どもの感情をジャッジするのではなく、ただそのまま共感してあげましょう。
抱きしめたり、だっこしたり、おんぶしたり、スキンシップもたくさんとりましょう。
もう大きくなってきたからと心配する必要はありません。
子どもが望むまま甘えさせてあげてください。
子どもは母親に触れているだけで安心します。
手をつなぐ、指をにぎる、たったそれだけのことでも心が落ち着きます。
子どもが求めるときにしっかり対応してあげることで、子どもは安心し幼稚園に行くことができるようになります。
子どもと過ごすのに大切なのは時間の長さではありません。
一緒にいる時間が長いから大丈夫なのではありません。
どれだけ子どもと濃密な時間が持てるのか、子どもの気持ちを理解し安らぎを与えてあげることができるのかが大切です。
幼稚園が合わない
幼稚園も園により色々な方針があります。
お勉強に力を入れているところ、のびのびとした保育を方針としているところなどさまざまですね。
入園前に子どもにあった園を選んでいるつもりでも実際に入園してから分かることもたくさんあります。
先生の子どもへの関わりかたなどはその大きな例ですね。
中にはお絵かきも見本通り、モノづくりも見本の色や形そのままに作る必要があるというような園もあるそうです。
集団に馴染めない、みんなと違うことをして怒られることが増えると子どもは意欲をなくしてしまいます。
自分の好きな絵を描きたい、他のモノを作りたい、そんな思いが強い子にはその園は合わないでしょう。
対応
入園してみて子どもが園の雰囲気に合わないと思ったら転園を考えるのも一つの手です。
子どもが行き渋っているのに、無理矢理合わない園に通わせるメリットは何もないでしょう。
ますます大人に対する不信感が強まり行けなくなってしまうかもしれません。
しかし、ただ慣れていないだけですぐに転園というのも考えものですので、子どもの転園については子どもの状況をよく判断し、園の先生ともよく話し合った上で決めましょう。
子どもの困りごとに親身に対応してくれる園ならそこでもう少し頑張れそうです。
しかし、子どもに寄り添った保育をしていない園もあります。
そういう場合は転園をおすすめします。
色々な幼稚園を見学したり、実際に通っている方の話を聞く機会を持ち情報を収集するのが一番ですよ。
朝の慌ただしさについていけない
幼稚園より保育所に通うご家庭に多いのかもしれませんが、朝の時間の慌ただしさが原因の場合もあります。
朝は親も子どもも時間がありません。
朝起きて、寝ぼけ眼のままトーストを口につっこまれ、急いで着替えて、はい登園というご家庭も多いのではないでしょうか。
母親は自分の支度、朝の家事、子どもの支度の監督とさまざまな役割を一度にこなしています。
そんな中ではどうしても子どもを急かすことに気をとられ、子どもの様子を観察する時間もありません。
子どもは今から幼稚園に行くので朝の貴重な時間にたっぷり母親に甘えたいと思っています。
でもそれはかなわぬ夢です。
また、登園時間が比較的自由な場合、時間ぎりぎりに登園すると園での自由遊びの時間が少なくなってしまい、気持ちを切り替えられないため行き渋るという子もいます。
対応
30分早く起きてみましょう。
そして子どもが起きてくる前にすべての用事を済ませ、子どもが起きてからは子どもと一緒に朝のタスクをこなすようにしてみてはいかがでしょうか。
甘える時間を5分でも持てることで子どもの気持ちは安定します。
余裕があれば絵本を読んであげるのもいいでしょう。
その場合は短い内容のものを三冊ほど用意しておき、「朝の絵本」として選ばせましょう。
登園時間が自由な場合は、30分早く登園することで幼稚園に行ってからのスケジュールにも余裕ができ、子どもも落ち着いて一日をスタートできることになります。
とてもオススメです。
苦手なことがある
幼稚園で苦手なことがある場合も行き渋ることがあります。
給食や、運動、ダンス、劇、鍵盤ハーモニカ、制作など、何か自分の苦手なことがあるという日に行けないことがあります。
できなかったらどうしようという不安から、逃げてしまうのですね。
対応
担任の先生に相談して苦手なことを把握してもらうようにしましょう。
園では少しでもできたら褒めてもらうなど細やかに対応してもらうことで子どもは自信がもて、前向きに向き合えるようになります。
また、家での練習が可能なものなら自宅で一緒に練習してみましょう。
安心できる場所でできるようになれば、幼稚園でも挑戦してみようという気持ちが沸いてきます。
しかし無理のない程度にしましょう。
あまり親が熱心になりすぎてもうまくいきません。
体調不良
子どもは自分の体調不良について上手に説明することができません。
なんとなくしんどい、そんな不快感を「幼稚園行かない」という表現で表す場合もあります。
対応
そのため、子どもの様子がいつもと違う、ぐずり方や様子がおかしいと感じたら体調不良を疑ってみてください。
熱を測ったり便の様子を見るなど体調にくずれがないか確認してみるといいでしょう。
まとめ
幼稚園児の不登校について考えてきましたがいかがでしたか?
幼稚園児は自分でも気づかない不安やストレスと闘っています。
そんな中で幼稚園に行くということは、それだけでも立派なこと、子どもなりに頑張っていることだということを認めてあげましょう。
そして母親が笑顔で送りだすこと、子どもの気持ちに共感しながらペースを合わせてあげることで、幼稚園児の不登校は少しずつ改善していくのではないでしょうか。