子どもが不登校になってしまうと、何かと心配ですよね。ずっとこのままなのか、どうしてあげたら良いのか、落ち込んで良からぬ行動を取ってしまわないか……悩み、考え、親御様は情報を探されると思います。
高度情報化社会の今日、探そうと思えば情報は次々とヒットすることでしょう。しかしながら、ネットの情報だけではいささか不安ですよね。そこで、この記事では不登校に関する書籍を紹介していきたいと思います。
書籍を出版されている方々は現役のカウンセラーや臨床心理士の方が多く、読者目線では肩書きから信用できるのではないでしょうか。気軽に読むことが出来るネット記事も良いものですが、場合によっては専門家の話を聞きたいものですよね。
記事を読まれている方々が少しでも手に取りやすいように、王手ネット通販サイトAmazonで販売されているものの中からレビュー評価が高く、尚且つ内容の素晴らしいものをご紹介していきたいと思います。
今回ご紹介するのは、
- 『不登校は1日3分の働きかけで99%解決する』 森田直樹 著
- 『不登校になったら最初に読む本~親と先生と子どものための再出発へのヒント~』 小林高子 著
- 『不登校から脱け出す たった1つの方法』 菜花俊 著
- 『学校は行かなくてもいい ――親子で読みたい「正しい不登校のやり方」』 小幡和輝 著
- 『不登校・ニート・ひきこもりの家族に贈る 気持ちを切り替える力』 森薫 著
以下、各書籍について、具体的に取り上げていきたいと思います。
目次
『不登校は1日3分の働きかけで99%解決する』
スクールカウンセラーとして有名な森田直樹さんの書籍です。不登校で検索すると、かなり上の方にこちらの書籍が出てきますので、タイトルだけは把握していた方も多いのではないでしょうか。
子どもに積極的に働き掛けることの大切さについて触れている本です。特に、褒め言葉が届くと主張されています。
森田さんは「コンプリメント」という言葉で表現されていますね。別書籍ですが、『コンプリメントで不登校は治り、子育ての悩みは解決する:子どもの心を育て自信の水で満たす、愛情と承認の言葉がけ』という本も出されています。それだけ褒め言葉が不登校の子に響くということですね。
この本では森田さんの持論のみならず、実際の解決事例についても取り上げられています。どのように働きかけ、どのように解決へ向かっていったのか、その際に行った「トレーニング」の導入方法と、より実践的な内容となっています。
そのトレーニングのひとつが「電子機器の制限(親子共々)」なのですが、現代人としてはなかなか厳しいものがありますね……とはいえ、スマートフォンやゲームで遊んでいるうちに昼夜逆転し、そこからの不登校、というケースも多々ある現実を思えば、理に叶ったものであるともいえます。
そもそも不登校になってしまうと高確率で電子機器に依存してしまう傾向があるそうで、それを危惧しての制限なのだそうです。他にも、親からの過保護・過干渉に警鐘を鳴らす内容となっています。
非常に実践的で、分かりやすくまとまった文章で記された書籍です。不登校の責任を子どもや学校だけに押し付けてはいけない=親が協力的でなかった子どもは改善に向かわなかったという背景が見て取れますね。だからこそ、タイトルには「99%」という言葉を選ばれたのでしょう。多くの子ども達に手を差し伸べてきた、スクールカウンセラーとしての森田さんの経験を感じます。
過去どうであったか、ではなく、これからどうするのか。子どもへの対応に悩まれている保護者様に読んで頂きたい一冊です。
『不登校になったら最初に読む本~親と先生と子どものための再出発へのヒント~』
フリースクールの校長先生をされている小林さんが書かれた本です。
実際にご経験された内容を元に書かれた部分も多いので、学校紹介のように感じられる部分もあります。ですが、だからこその現実味が素晴らしい一冊ではないでしょうか。そのため、「こうすれば治る!」と強気な言葉が書かれていないのも特徴の1つです。逆に言えば、そういった要素が苦手な方には向かないかもしれませんね。
フリースクールの先生だからこその情報だと思いますが、不登校になりやすい子どもの特徴などにも触れられていますので、実際に不登校になる前に読んでみるのもいいかもしれませんね。
作者の小林さんは脳医学に関わっていた方でもあるので、ただ体験を元に書いているだけではなく、医学的・心理学的観点から不登校問題のアプローチをされています。
こう書いてしまうと難しそうだと感じられるかもしれませんが、端的で分かりやすく、読みやすい文章です。さらさらと頭の中に入ってくるので、読むだけで苦痛だと感じられることはないのではないでしょうか。
作者が学校の先生であるためなのか、不登校の子どもを前にした時のバイブルとして、学校関係者にも人気の高い一冊です。親が読むと分かりにくいのかと言えばそうでもありませんし、どちらかというと保護者目線の方が得られるものは多いと思われます。そもそも、保護者の方に送る言葉も多く込められています。
『不登校から脱け出す たった1つの方法』
作者の菜花俊さんはカウンセラーや校長先生……というわけではありません。ですが、ご自身が不登校経験者であり、さらにお子様の不登校も経験された方です。ですから、実際に不登校中だったり、不登校の子を持つ親の気持ちをよく理解された上で文章を書かれています。そのためなのか、非常に優しい文となっています。
「たった1つの方法」が何なのかを具体的に書いている本ではありませんので、究極の解決策を求めて本書を手に取るべきではないと思います。そもそも、様々な人間が世の中にいるのと同じように、不登校回復に確実な方法というものは存在しませんので、「何かヒントが欲しい」という考えで本を開くべきでしょう。これに関しては、本書に限らずどの本にも当てはまる話です。
この本では「目に見える範囲で答えを追い求めてはいけない」という大切なことを気付かせてもらえます。
「不登校」は心に問題を抱えるケースが多いので「そんなこと分かってるよ」と言いたくなる方もいらっしゃると思います。しかしながら、本質はそこではないのです。心に問題を抱えた理由を、見えやすい場所に追い求めてはいけないと本書では語られています。
人は理解できないものを抱えることを嫌いますので、不登校問題が発生すると、どうしても「学校」だとか「友達」だとか「家族」といった分かりやすい部分に理由を追い求めてしまいます。それではいけないのだと、また、不安だからといってそれを表に出すのは良くないことなのだと、そんなことに気付かせてもらえます。
子どもが不登校になって、それを親が表に出して不安そうにしていると、それを子どもが感じ取ってしまって「こんな自分では駄目だ」と思い悩み、さらに不安定になってしまう、というケースがあるのです。あまり悩ませてはいけない、ということですね。
また、メールマガジンのサービス(QRコードが付いています)という珍しい取り組みもされています。本の内容を忘れないように、こまめに声を掛けて欲しいという方におすすめできる一冊です。
『学校は行かなくてもいい ――親子で読みたい「正しい不登校のやり方」』
タイトルからして「???」となってしまう方もいらっしゃるかもしれません。この本では、不登校を正当な手段として考えているところがあります。ですから、「何が何でも不登校を解決するんだ!」と意気込んでらっしゃる方だといきなり嫌悪感を抱かれるかもしれません。
ですが、そんな方にこそ本書を読んで頂きたいなと私は思います。この本は不登校を推奨しているわけではありません。その上で、「無理矢理学校に行く。本当にそれで良いのか」と疑問を抱かせてくれる、そんな本です。
作者の小幡さんは10年間もの不登校を経験された方です。不登校経験者でも、ここまで長い不登校期間を経験されている方はなかなかいないものです。ですが、10年間学校に行っていなくとも、こうして本を出すほどの方になっているのです。本を開かずとも、その事実だけで救われる方も多いのではないでしょうか。
学校に行かなければならない、行かなければ大変なことになる。行かない子どもは駄目な子どもだ、子どもを不登校にしてしまった自分は駄目な親だ――この本は、そんな固定観念を良い意味で破壊してくれる、そんな本です。
とはいえ、学校に行かずにダラダラとスマートフォンやゲームで遊んでいるようではよくありません。行かないなら行かないで、どうするのか。そこを考えるための参考書となり得るのがこの本です。
この本が提示してくれるのは、不登校の治し方、というよりは新たな選択肢です。前向きになることで不登校解決に結びつくこともありますし、不登校のままでも良い方向に向かうかもしれません。どうしようかと悩み始めた最初の段階で手を伸ばしてみると良いかもしれません。
『不登校・ニート・ひきこもりの家族に贈る 気持ちを切り替える力』
最後にご紹介するのは、Amazonレビューで非常に高評価の多い一冊です。作者の森さんは人生を楽にしてくれる、優しい本を複数出版されています。
この本も同様で、不登校だけでなくニートや引きこもりなどにも焦点を当てられています。当事者ではなく、家族の方に矢印が向いていますので、保護者の方としては手に取りやすい一冊なのではないでしょうか。
近年、不登校が増えているのは「努力・頑張りを認めてもらいにくい社会になっているから」で、それは保護者にも当てはまる話です。不登校の子どもを抱え、悩んでいても、誰も褒めてくれない――この本は、不安で押しつぶされそうになっている方に手を差し伸べてくれるような、そんな一冊です。
特徴は「誰が読んでも元気を貰えそうな本」であることです。不登校、ニート、引きこもりを抱える家族向けの一冊なのですが、人生を前向きに考えられるようにと書かれた文章は不思議とあらゆる人に届くものとなっているのです。
この本では度々「レジリエンス」という言葉が出てきます。森さんは「切り替える力」と表現されていますが、この単語は元々物理学用語で、元に戻ろうとする力のことを指していました。それが心理学用語となり、苦境・逆境に立ち向かう思い、立ち直ろうとする思いを指す言葉となりました。
何事も切り替えることが大切だということですが、これがなかなか難しいことだからこそ、人は悩み、落ち込むのです。その「難しいこと」をどうにかする力を貸してくれるのが、この本なのです。
親御様が子どもの不登校に酷く悩み、ご自分を傷付けてしまう勢いと化してしまっているのであれば、それは「子どもの不登校」という状況を必要以上に重く捉えているのかもしれません。
気持ちを切り替えたい時。そんな時に、この本に手を伸ばすと良いヒントを貰えるかもしれません。
「絶対」の解決方法は存在しません
あらゆる本に共通するのですが、「その子」に「絶対」に効く方法、というものは書いていません。そもそも、このようなことは不登校の子ども本人を見ていない第三者が分かるようなものではありません。
やはり、解決に導くのは本人の力であったり、本人の周囲にいる人々の働き掛けがあってこそなのです。それを忘れてはならないのです。
少なくとも確かなこととして挙げられるのが、親が協力的でなくてはどうにもならないという事実でしょう。今回ご紹介した本の中で、不登校を解決させる方向で書かれているものは全てに共通して親の協力・働き掛けが不登校解決に繋がるという記述が存在します。
親が放任的であったり、または高圧的であったりする場合、不登校は余計に悪化していく可能性が高いのです。どのように接するかは子どもの不登校をどのように考えるかにもよりますが、どちらにしても親が何もしない状態でいてはいけないのだということを肝に銘じておくべきでしょう。
ですが、具体的にどうすれば良いのか分からない時、不安でどうしようもない時、書籍が手を差し伸べてくることもあります。盲信し過ぎて折れてしまわないようにだけ気を付けて、解決のヒントを求めて本を開いてみるのもひとつの手段です。