弓道を始めるために必要な道具一式の予算と、お手入れ方法を紹介

今回は、弓道の道具について、下記の項目に分けて簡単に紹介します。

上達具合や道場の方針によっても異なると思いますので、購入を希望する際は、まず指導者の先生に相談するのがよいかと思います。

それでは、さっそく紹介していきましょう。紹介している価格は税抜きです。

主要な道具

弓(ゆみ)
…和弓の特徴は、長さが2m以上あることと、持ち手が真ん中より下についている事です。

握る部分には鹿皮の握り皮が、その上は矢が通る箇所で削り藤が巻かれています。

普段は弦を外してしまっており、稽古の時に弦を張ります。弓の強さによって弦の太さも変わります。

材質は竹や木材、カーボン、グラスファイバーなどがあり、強度や振動の軽減のために複数の素材を合わせて使われています。

竹弓は湿気に弱く扱いが難しいので上級者用で、初心者には強度があり手入れが簡単なグラスファイバーやカーボン製の弓がおすすめです。

グラスファイバー製なら値段は25,000円くらいからあります。

初心者・初級者の方は購入する前に、必ず指導者の先生に相談してください。グ

ラスファイバーやカーボン製のものでも、弓のブランドによって離れの振動や弓の引きやすさなど癖が違いますし、同じブランドでも弓の個体一つ一つに若干の違いがあります。初心者が違いを見極めるのは難しいです。

また、弓具店へ行く前に、希望の弓のキロ数があるかどうか、電話等で在庫を確認した方が無難です。品薄の時に行ってしまうと、あまり良くない弓しか残っていない場合があります。

【手入れ】
使用前と使用後には、柔らかい渇いた布で拭くと同時に、傷や汚れ、大きな変化がないかチェックしましょう。道場では床に寝かすのではなく、所定の置き場に立てて置きます。また、外で持ち歩く際には肩にかけず手で持つようにしてください。長さがあるので、前後左右、上下にも気を配り、周囲の人や物に当たらないよう注意が必要です。

矢(や)
…矢もアーチェリー(洋弓)に比べると長く、鳥の羽を使っているのが特徴です。材質は竹やジュラルミン(アルミ)、カーボン製のものがあります。初心者にはジュラルミン製のものが、耐久性があり手入れもしやすい上、値段も手ごろでおすすめです。竹の矢は湿気や温度の変化により曲がりやすく値段も高いので、上級者向けになります。

矢には、羽の向きが違う甲矢(はや)と乙矢(おとや)があり、各々右回転、左回転にとびます。先に引く甲矢と後に引く乙矢で一手(ひとて)といい、2本1組として販売しています。試合では一度に二手(ふたて)、つまり4本使います。ですので、初めて購入する際でも予備を含め6本ほど必要です。

弓具店では、個人の腕の長さで矢束(矢の長さ)を調整してくれます。基準は左手を水平に伸ばした時の自身の右肩から中指の先の長さ+3cm~15cmです。初心者や成長期の方は+10~15cmにします。長くすればそれだけ矢が重くなりますが、短すぎると長さが足りず引き込んでしまい危険です。

矢はシャフトや矢羽根も色や模様など様々な種類から好きなものを選ぶことができるので、弓具選びの中でも一番楽しいです。価格は最安価なジュラルミン(アルミ)製1本2500円~(甲矢と乙矢で5000円~)からですが、矢の色や矢羽根の種類で値段は変わります。矢の長さでは値段は変わらなかったはずです。

また、巻き藁練習用には、巻き藁矢という行射用の矢より若干太く矢の根の形が異なるものを使用します。巻き藁矢は必ずしも羽がついている必要はないため、矢羽根があるものと無いものがあります。

【手入れ】
使用前後に乾いた布で拭き、シャフト、筈、矢羽根、矢の根(板付き)に傷やへこみがないか確認します。矢に泥や砂がついていると錆びますので要注意。また、極端に羽がなくなってきたら、羽の取り換えや矢の買い替えが必要です。指導者の先生や弓具店に相談しましょう。矢筈の欠け、矢の根(板付)の交換は、自身でも可能です。

弽(ゆがけ)
…馬手にはめる手袋のことを弽と言います。鹿皮で作られており、弓を引く際に右手を保護します。皮は水や湿気に弱いことから汗の付着を防ぐ方法ため、下弽(したがけ)という薄い布の手袋のようなものをはめた上に弽をします。

流派や弓の強さによって3本指(三ツ弽)~5本指(諸弽)用のものがありますが、3本指のものが最も多く使われています。また、初心者は柔帽子(やわらかぼうし)を使用し、ある程度上達し強い弓を引くようになったら堅帽子(かたぼうし)を使用します。柔帽子は親指の部分にあたる帽子と二の腰までが固くなっていますが、堅帽子は親指の下の延長線上の手首部分まで(帽子から一の腰まで)が固くなっています。そのため、柔帽子の方が親指を動かしやすい構造になっているのです。

弽の良し悪しは、親指の部分の帽子と中指が平行になっているかどうかが判断基準となります。この帽子は弦をかける重要な部分のため、この部分が自分の手に合うかどうかが射に大きく影響します。

弓具店では、自身の手の形に合うものが無ければ、手の形をとって自身にフィットする弽を作ってくれます。また使えば使うほど手になじんできます。ぜひオリジナルの弽を手に入れてください。価格は13,000円ほどからあります。

【手入れ】
皮ですので、水や湿気などに弱いです。使い終わったら、下弽をはずし、風通しの良い場所で湿気を飛ばしたり、袋にしまう場合はせんべいに入っているような除湿剤を一緒にいれておくとよいでしょう。

弓に付随する道具たち

右近袋、中袋(うこんぶくろ、なかぶくろ)
…弓袋や弓巻より先に弓を入れる袋です。防虫用にウコンを使って染めていたことから、右近袋と呼ばれた由来だとか。残念ながら、現在はただの黄色い布袋で、400円前後で販売されています。

弓袋・弓巻(ゆみぶくろ・ゆまき)
…弓を傷つけないよう持ち運ぶ時に必要なカバーとなる袋です。弓袋は一番下の部分が地面についてもよいように合成皮の石突がついており、上の方には紐がついています。弓巻は、弓の形に沿って巻いていく長い布のカバーです。石突はついていないので、別につけます。値段は1,200円~3,000円くらいです。

雨具(あまぐ)
…弓袋や弓巻ごと入れられる弓のレインコートです。幅が広く矢筒と弓を括り付けたまま入れられるビニールタイプと、弓巻をした弓だけを入れられる細いタイプがあります。弓具にとって雨は天敵です。雨の日には、必ず雨具に入れて雨を防いでくださいね。値段は400~600円ほどです。

石突(いしづき)
…弓巻を巻いた後、地面についてもよいように弓巻の下につける小さな皮の袋です。弓袋の下にはこの石突が縫い合わされているのですが、弓巻にはないので別につけることになります。値段は合成皮200円~です。

弦(つる)
…伝統的なのは麻ですが、現在は合成繊維製が主流です。弓の強さによって弦の太さも太くします。0号が一番細く順に太くなっていきます。弓の強さが~13キロまでは0号もしくは1号、13~16キロは2号、16キロ以上は3号が基準です。

1本または2本~3本組で販売しており、仕掛けの部分となる中仕掛けも入っています。値段は1本400円前後~あります。下の弦輪は完成した状態ですが、上輪は弓に合わせて自分で作らなければなりません。弦は切れることがあるので、仕掛け、弦輪を完成させすぐ使えるように調整した予備の替弦を持っておくことをおすすめします。

弦巻(つるまき)
…弦を巻く道具です。ドーナッツ型で藤製やプラスチック製のものがあります。プラスチック製のものだと600円~となっています。

握り皮(にぎりかわ)
…弓の握る部分の皮です。鹿皮で作られており、模様や色も様々です。弓を使っているとだんだんと擦り減っていくため、必要になったら購入し、自身で交換します。価格は1枚400円前後~です

筆粉(ふでこ)
…弓手の滑り止めです。藁や籾などの灰でできています。一袋160円です。

矢に付随する道具たち

矢筒(やづつ)
…矢を入れる筒です。矢束に合わせて長さを調整します。最近はカラーバリエーションや模様も増えてきたようです。入れる本数に合わせて、太さも様々なものがあります。値段は6本用で3,000円くらいからとなっています。

矢筈(やはず)
…矢の上部にあり、弦をはめる部分です。プラスチックや鹿の角でできています。欠けたり割れてしまった場合にはペンチで取り外し、細い中仕掛けを巻き隙間をふさぎ接着剤をつけてはめることで、交換することが可能です。プラスチック製で60円ほど~あります。

矢羽(やはね)
…矢の羽です。安価なものはターキー羽が使われているそうです。販売されているものは竹矢用が多くそれなりの値段がします。ジェラルミン製の矢は修理ができない場合、新しい矢を購入するのが賢明です。

板付・矢の根(いたつき・やのね)
…矢先の矢じりの部分にあたるものです。ペンチや火を使い、自身で交換する事もできます。アルミやステンレス製のものがあり1つ60円~です。

身に着けるもの関連

胸当て(むねあて)
…胸を保護するために使用します。合成皮やメッシュなどの素材があります。一般的に女性は使用していますが、強制ではありません。男性でも胸をはらってしまう人は安全のためつけた方がよいとされています。値段は400円~からあります。

稽古着・袴・帯(けいこぎ・はかま・おび)
…弓道の正式な服装です。稽古着の上は白、袴の色は女子の場合は紺、男子の場合は黒が一般的です。大会や審査に出るようになれば必ず必要になります。上の衣は半袖ですが、下にシャツなどを着ることができます。特に冬場の防寒対策には力を入れましょう。値段は、上着が3,000円~、袴が6,000円~、帯が1,500円~あり、仕立て代も合わせて13,000円くらいからの値段になります。

足袋(たび)
…白足袋が一般的です。市販されている足袋を使用して問題ありません。冬場は足が冷えるので少し大きめのサイズを用意するのがおすすめです。足袋ソックスを下に履き、靴下用カイロを入れて凌ぐとよいです。普段履き用であれば値段は1,000円くらいからあります。

ぎり粉(ぎりこ)
…馬手の滑り止めです。松脂を原料としています。主に堅帽子の弽で使用します。価格は160円です。(ぎり粉入れは600円くらい~。)

道具箱の中身

修理や手入れをするために必要な道具を入れた道具箱を常備しています。

【道具箱の中身】
ボンド・かまぼこ板2枚(道宝の代わり)・はさみ・カッター・ペンチ・中仕掛け・口入れ・ボールペン・鉛筆・

【道具の紹介】
中仕掛け(なかじかけ)
…弦を購入するとついてくる仕掛けを作る材料です。矢をつがえる位置に巻き、矢筈がはまるような太さに調整します。麻の弦の場合は切れた弦を煮てほぐし、しかけ麻として使用できるのですが、合成繊維の場合はできないためこの中仕掛けを使用します。

口入れ(くちいれ)
…先が三角になっているヘラのようなものです。弦の上輪や中仕掛けをしごいたり、握り皮を交換する際に押し込んだりして使います。あると大変便利ですが、なければ、切れにくいはさみの刃などでとりあえず代用できます。

道宝(どうほう)
…弦の仕掛けを作るときに必要な木片です。2枚の木片の片方を紐でつなぎバラバラにならないようにしてあります。価格は1組500円程度です。が、実はかまぼこ板や木片でも代用可能です。

弓道場にあるもの

下記の道具は個人的に購入することは少ないので、価格を省略いたします。

巻き藁(まきわら)
…藁を俵のように筒状に巻き束にしたもので、練習用に使います。

的(まと)
…霞的(かすみまと)、星的(ほしまと)、色的(いろまと)の3種類があります。一般的に使われるのは、白黒の円が交互の模様の霞的です。星的は白地の真ん中に黒い丸が一つの模様、色的は赤・黄色・青・白と色がついています。近的用は36cm、遠的用は50~1mと大きさが異なります。

合串(ごうぐし)
…近的で的を安土に固定する串です。木や竹、金属のものがあります。

的枠(まとわく)
…その名の通り近的用の的の枠です。これに新聞紙を張り、一番上に的紙を貼って的を作ります。曲げわっぱの底がないような見た目です。

購入時期と予算

My弓具の購入時期と最も安く見積もった場合の予想される金額をまとめました。ピンからキリまでありますが、初心者の場合は、高級なものを使えば上達するというわけではありません。初心者用のまとめとして、参考程度にしてください。

・見学・入門講座時(0円)
動きやすい服装、靴下でOK。特に専門の道具は必要ありません。

・入門講座終了後、継続する場合(3~5万円)
弽、矢一式(ジェラルミン矢6本、矢筒、巻き藁矢1本)、胸当て(女性のみ)

・道場内での稽古開始、大会・審査に出る場合(2~3万円)
袴一式(上着、袴、帯、足袋)、弦(予備用)

・ある程度上達したら(3~4万円)
弓一式(弓、弓袋、右近袋、石突、雨具)

・必要に応じて(60円~)
弦巻、矢筈、、ゴム弓、筆粉、ぎり粉、握り皮、口入れ、ボンド等小物類

まとめ

弓道で使用する一般的な道具を説明しました。欠かせないのは弓、矢、弽、稽古着、胸当てくらいですが、大体のものは貸出ていたり代用できものもあるので初心者もご安心ください。様々な弓具がありますが、弓具に共通するのは皮や竹などが多く、水や湿気に弱いことです。急な雨などには注意が必要です。

いかがでしたか?弓具の金額には万単位のものもあり驚きますが、弓や弽など一度購入すれば何年も使えます。道場で管理しているものも多く、いきなり全てをそろえる必要はありません。上達の段階によって、必要になったらそろえていけばよいのです。気負わずに道具集めも楽しんでくださいね。

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