家計の見直しは何から始める?貯めどきはいつ?家計の立て直し方法やポイントを解説
「節約を頑張っているつもりなのに全くお金が貯まらない」
「毎月赤字で苦しいから家計の見直しをしたい」
「我が家の家計は適正なの?」
このような悩みをお持ちの方は大勢いらしゃいます。
家計の見直しといっても、具体的に何をどのようにすればよいのか、分からない方もいるはずです。
今回は、家計の見直し方法について、方法やポイントを紹介します。
目次
項目ごとの適正費用を知ろう
まずは、現状当たり前に発生していると思っている費用について、その相場を知っておきましょう。
ここでいう相場とは、収入に応じて適正な費用割合のことです。
以下、項目ごとの収入に対する適正割合の目安を紹介します。
※夫婦二人と、小学生以下のお子さんが1人いる家庭を想定しています。
- 住居費…25~30%
- 水道光熱費…5~7%
- 食費…13~15%
- 通信費…2~5%
- 保険料…5~8%
- 交際費、被服費、趣味費…5%
- 教育費…10%
- 貯金…10~20%
子どもさんの人数や年齢、親との同居有無などによって適正割合は変動します。
たとえば教育費ですが、子どもさんが高校、大学へと進学するごとにかかる費用が大幅にアップしますので、そのつど家計を見直す必要があります。
教育費がかかる時期は貯金の割合を減らしたり、交際費を控えめにしたりするといった工夫が求められます。
上記はあくまでも目安ですので、ご家庭によって適正割合は変わっていきます。
しかし、適正割合から大幅に外れている項目については、見直しできる可能性が大きくあります。
収入にみあわない水準の支出ということになりますので、支出を減らすか、収入を増やすのか、少なくともどちらかの対処が必要です。
収支を「見える化」する
項目ごとの適正割合が分かったところで、実際に自分の家庭の収支状況を確認してみましょう。
見直し以前の問題で、毎月の収入と支出はそれぞれどれくらいかかっているのかを、よく分かっていないご家庭は少なくありません。
意外とどんぶり勘定になりがちなのが、夫と妻で家計費を分担制にしている家庭です。
たとえば、夫が家賃などの固定費、妻が食費などの変動費を担当し、お互いの収入は把握していないようなケースです。
月の貯金額まで決めておき、夫婦それぞれが必要な貯金をしていることが分かっているのであれば問題はないのですが、お互いにいったいいくら貯金があるのか知らないというケースは危険です。
持ち家購入や子どもの進学の場面になったとき「夫がそれなりに貯金してあると思ったのにほとんどなくて愕然とした」といった話はよく聞かれることです。
家計に余裕がないのであれば、やはり夫婦の収支は「見える化」することが好ましいでしょう。
家計全体の収支が明らかになることで、自分たちの家庭で貯められない原因は何かを見つけることにつながります。
仮に、夫婦がお互いに収支を把握されたくない事情があるのであれば、貯金についても必要経費として項目に含め、毎月決まった額を貯めておく仕組みを整えておいた方がよいでしょう。
家計簿?アプリ?収支の把握方法
収支の把握方法としては、家計簿をつける、家計簿アプリを使う、すべての支出をひとつの口座にまとめて通帳をチェックするなどの方法があります。
「家計簿なんてつけるべきではない」「アプリが断然便利でおすすめ」といった言葉も聞かれますが、どの方法が絶対によいということはありません。
ストレスを感じる方法で収支の把握に努めても、結局は続かないからです。
自分にあったやりやすい方法を選ぶことが大切です。
ひとつお伝えするとするとすれば、頑張り過ぎて家計簿を1円単位で帳尻合わせをしようとすることはやめた方が無難です。
細かい計算が大好きというのであれば止めませんが、多くの場合では細かく計算し過ぎることで家計簿をつけること自体が面倒になってしまいます。
家計簿もアプリも、あくまでも現状を把握し、無駄を減らす目的を達成することが目的です。
細かく帳尻合わせをすることが目的のツールではありませんので、「ざっくり」でもよいのです。
家計の見直し方法
家計の見直しをするにあたり、大きくは「支出の見直し」「収入の見直し」の2つに分けられます。
支出の見直しとは、家計全体の出費を減らす工夫をすること、収入の見直しとは、家計全体の収入を増やす工夫をすることです。
支出の見直しについては、主に次の3つに細分化できます。
- 固定費の見直し
- 変動費の見直し
- 臨時費用の見直し
次項から、3つの「支出の見直し」と「収入の見直し」について見ていきましょう。
固定費の見直し
家計の見直しで真っ先に取り組むべきなのは固定費の見直しです。
固定費とは、毎月必ずかかるお金のことです。
具体的には、家賃、光熱水費、通信費、保険料などがあります。
固定費のメリットは見直しによって大幅に支出を削ることも可能であり、それが継続する点です。
ここでは、主な固定費について見直し方法を紹介します。
住居費
固定費の中でもっとも大きい割合を占めるのが住居費です。
住居費を削ることができれば、他は何も考えなくてもよいというくらい、大きな節約効果が見込めるポイントです。
賃貸の場合は引越しも検討しましょう。
たとえば家賃10万円の場所から7万円の場所へ引っ越すと、これから何もしなくても毎月3万円は支出が減ることになります。
年間で36万円の節約になりますので、かなり節約効果が高いことになります。
現在本当に家計が苦しいという場合は、一時的に実家を頼ることも選択肢のひとつです。
子どもさんがいらっしゃる家庭では、実家の両親に子どもの面倒を見てもらい、働きにでることもしやすくなります。
「いい大人になって実家を頼るなんて」と思うかもしれませんが、借金をして首が回らなくなるよりはずっとマシです。
実家で住居費負担を軽減させてもらい、生活が安定してから自立されてもよいでしょう。
持ち家の場合は引越しができませんが、借り換えを検討することが方法です。
月々の負担を減らすことで生活の立て直しにつながります。
通信費
現代においては、スマホ料金、Wi-fi、インターネット回線など、通信費が家計を圧迫するケースが少なくありません。
通信費をゼロにすることは難しいですが、格安SIMに変えるだけで、スマホ料金が半分以下にはなります。
大手キャリアを利用されている方は解約手数料が気になるかもしれませんが、手数料を払ってもすぐにペイできるほど節約効果が高くなります。
現在のプロバイダを他社と比較して乗り換えることも、通信費を抑えることにつながります。
保険料
保険料の中でも、国民年金や健康保険料は節約という概念がありません。
ただし、失業中や所得が少ない世帯では減免措置が受けられることがありますので、本当に家計が苦しい場合は年金事務所やお住まいの自治体にある役所に問い合わせてみてください。
一方、民間の生命保険や自動車保険は、条件や会社を変えるだけで大幅な家計費圧縮に成功することがよくあります。
そもそも「その保険は必要なのか?」といった点も含めて考えることが大切です。
「保険貧乏」と呼ばれる家庭では、保険を手厚くし過ぎているばかりに、現在の生活を圧迫するという本末転倒なことが起きています。
固定費の見直しは絶対におこなうべき
固定費の見直しは、主に契約を見直す作業が発生するため、腰が重い人は総じて後回しにしがちです。
食費のように今すぐでも取り組める節約の方が取りかかりやすいとはいえるでしょう。
しかし、1度見直してしまえばあとは何もしなくても節約効果が続くため、結局は時間効率も高い節約となります。
家計費を減らしたい方は、固定費から見直すことが成功の秘訣です。
変動費の見直し
変動費とは、毎月いくらかかるのかが変動するお金のことです。
たとえば、食費、日用品費、被服費、交際費などがあります。
変動費の見直しは固定費とは異なり、1度見直して終わりとはなりません。
一定の自己管理能力が必要ともいえるでしょう。
ただし、変動費に対する考え方の「癖」を見直すことで、次第にコントロールが楽になっていきます。
食費、日用品費
食費や日用品費は100円単位でケチケチ節約しても、節約効果が薄いうえにストレスが溜まりやすくなります。
それよりも、買い物回数を減らす、食品廃棄物を出さないようにするなどの意識ひとつで、トータルで見ると月数千円ほどの節約が可能です。
節約をしようと思って、無理に頑張ってお弁当を作っていないでしょうか。
確かに外食より安く済ませることが多いお弁当ですが、光熱水費やお弁当を作る時間が発生しています。
豪華な食材を買えば結局割高になることもあり、たまには外食やお惣菜を利用した方が安くなることも。
白米だけ持参し、真空パックのおかずをつけるなどの「あわせ技」もよいでしょう。
いずれにしても、一般的に節約になると言われる方法が必ずしも節約になるわけではありません。
盲点となりがちな部分もありますので、ご家庭の状況に応じて臨機応変に対応しましょう。
交際費、被服費
交際費は付き合いに応じて何となく使ってしまいがちですが、月にいくらと決めておくことで、「今月は飲み会参加をやめておこうかな」など制御することができます。
被服費については、やみくもに欲しい服を買うのではなく、クローゼットの中にある服とコーディネートできるのか、今ある服を手放してでも欲しい服なのかといった点を考えるようにしましょう。
服を厳選するようになり、大切に使うことや、自分らしい服選びができるようになります。
このように、一定の管理能力が求められる変動費については、お金に対する根本的な考え方を見直すことで、節約効果が高まっていきます。
臨時費用の見直し
臨時費用とは、毎月発生するわけではないけれど、突発的に必要になる費用全般のことをいいます。
ご家庭によって異なりますが、冠婚葬祭費、医療費、年払いの保険料、固定資産税、子どものクリスマスプレゼント、お年玉、車の修理費など、実にさまざまなものがあります。
固定費や変動費に気をつけて生活していても、臨時費用が必要になることで「これまでの苦労が水の泡」となることが少なくありません。
ボーナスで何とか対応しているといったご家庭も多いのではないでしょうか。
臨時費用については、固定費に組み込めるものは組み込んでしまうとよいでしょう。
「突発的に必要になった」といっても、そのほとんどが、あらかじめ予想できる項目だからです。
本当の意味で臨時的に必要になるお金は、災害時にかかる費用、家電が突然壊れたときの購入費などでしょうか。
実はそれほど多くありません。
たとえば年払いの保険料や固定資産税は、単に年払いになっているだけで、12ヶ月で割れば月々発生する固定費と同じです。
毎月の収入の中からあらかじめよけておけば、支払月がきたときに慌てないで済みます。
冠婚葬祭費や医療費も、生きていればそのうち発生することが多い費用です。
毎月積み立てておく感覚でよけておくと、いざというときにボーナスや預貯金を切り崩す必要がありません。
収入の見直し
収入の見直しというのは、収入総額を増やすことや、収入源を複数もつことを意味しています。
支出を見直してもいっこうに楽にならない場合は、そもそも収入が低すぎる可能性があります。
それではいくらケチケチ生活を送っても家計を立て直すことは難しくなります。
- 給与が低いから仕方がないじゃないか
- 子どもが小さくて働きにでられない
- 長時間のサービス残業で副業をする余裕なんてない
こんな声は十分に理解ができますが、だからといって何もしなければ、家計は楽になりません。
- 週末だけネットの副業をする
- 週に1日だけアルバイトをする
- 自宅でできるネットビジネスを始める
- 会社の資格手当を得るために勉強する
この程度の努力でもよいので、できることから始めてみませんか。
余剰資金ができれば、株や投資信託なども検討し、手元の資金を増やすことも検討してみましょう。
どう考えても労働に見合った給与ではないのなら、転職も視野に入れましょう。
収入にあった生活を送ることが大切
収入の見直しと聞くと「それができればそもそも貯金ができている」と思われるかもしれません。
確かにごくシンプルに考えれば、収入が多い方が貯金はしやすい環境だといえるでしょう。
しかし、家計費については、もう少し複雑です。
年収300万円の家庭でも十分な貯金ができているケースもあれば、年収1000万円を超える家庭では家計が火の車といったケースもあります。
これは、「収入にあった生活を送る」という原則を無視していることで起こります。
つまり、収入を増やすことと同時に生活水準まで上げてしまうと、家計の見直しという点ではあまり意味のないことになります。
この記事の前半部分でお伝えした、収入ごとの適正割合を守るようにすることが最低限必要です。
収入を増やしながらも生活水準を変えないことで、貯金額が大幅にアップすることは言うまでもないでしょう。
家計の見直しにはよいタイミングがある?
家計の見直しは、しようと思ったそのときがもっともよいタイミングです。
「いつか見直ししなくては…」では、いつになっても実行に移すことができません。
とはいえ、確実に見直しておくことで貯金をしやすい時期が存在します。
子どもができるまで
いわゆる「貯めどき」です。
子どもがいない夫婦は二人ともフルタイムで働くことができ、子ども関連の費用もかかりませんので、確実に貯めておきたいところです。
「子どもができたら自由になるお金が少なくなるから…」と、ついつい外食や旅行など豪勢にお金を使いがちな時期です。
もちろん夫婦の時間を過ごし楽しむことも大切ですが、将来に向けた貯金もしておきましょう。
妻が妊娠すると休業しますので、家計収入が一気に減ることになり、その時点で慌ててしまう夫婦が少なくありません。
結婚したら、子どもができるまでの間に家計ときちんと向き合う癖をつけておきましょう。
その意味では見直しというより、家計の準備期間となります。
子どもが小さいうち
子どもが生まれた後も、子どもがいないときほどではありませんが、しばらくは「貯めどき」が継続します。
出産に関する費用のほとんどは出産一時金でまかなわれますので、必要な費用は実はそれほどかからないケースもあります。
子どもの衣服やチャイルドシートなども、お祝い等でいただけることがあるかもしれません。
幼児期は自治体から医療費などのさまざまな支援が受けられますし、中学生までは児童手当もあります。
とはいえ、このあたりは交友関係や親族からの援助などによっても異なりますので、お金がかかりやすい家庭とかからない家庭とに分かれる時期となります。
あまり援助が受けられず、お金がかかりやすい家庭では、このタイミングで一度家計の見直しをおこないましょう。
夫婦それぞれの趣味費や被服費などから減らしていくことが大切です。
子どもが生まれてからは、教育費についても考えておく必要があります。
学資保険に加入するのか、児童手当をすべて貯金しておくようにするのかなど、夫婦で考えておくようにしましょう。
子どもの自立後
子どもが高校、大学に通う間は、家計は我慢の時期です。
とにかく無駄を省き、夫婦の好きなことはしばらくお預けする必要もでてくるでしょう。
その分子どもに手がかかりませんので、夫婦そろってフルタイムで働くなどして収入を一定水準以上に保つことも大切です。
子どもの自立後は一気に家計が楽になります。
これまで教育にかかっていた費用を貯金にまわすことで、夫婦の老後の備えとすることができます。
家計に余裕が生まれることで贅沢をしたい気持ちにもなりますが、日本の年金制度の現状を見る限りでは楽観視できません。
晩婚のご家庭では子どもの自立と同時期にご自身の収入も減ることになりますので、そのときの状況を冷静に見つめるようにしましょう。
そのときの状況にあわせて見直すことが大切
人生の中で何が起きるのかは、ご家庭によって異なります。
家族に急な病気やケガが生じた場合、転職して収入が下がった場合など、人生における大きな変化が生じた時期はその都度家計を見直す必要がでてきます。
子どもがいないご家庭では、子どもにあわせて家計を見直す必要はありませんが、親の介護などの問題が起きることもあります。
いずれにせよ、そのときの状況にあわせて家計も柔軟に見直ししていくことが大切です。
家計の見直しが難しいと思ったら
保険にしろ、ローンにしろ、お金にまつわることは難しくてよく分からないと感じる方がいるかもしれません。
今はネットでいくらでも情報を得られる時代ですが、情報量が多いばかりに混乱してしまうこともあるでしょう。
そのときは、ファイナンシャルプランナーに相談する、家計のセミナーを受けるなどの方法もあります。
で相談できることも多いので、お金の勉強がてら、夫婦で参加してみてもよいですね。
分かりやすい書籍も多数販売されていますので、できることから始めてみるとよいでしょう。
最後に
いかがでしたか?今回は家計の見直し方法やポイントを中心に紹介しました。
家計の見直しは、現状を把握するところから始め、無駄がある項目について削っていくことがオーソドックスな方法です。
あわせて収入を増やしていくことで、家計が楽になり、貯金もどんどん貯めることができます。
何より大切なことは、「お金が貯まったらいいな」ではなく、実際に行動に移すことです。
できることからでよいので、動く癖をつけるようにしましょう。
行動力こそが家計を立て直す源となるはずです。