小学生の子供に自宅学習をさせたいけれど、具体的にどうすればよいのか分からない…。
このような悩みを抱えている親御さんは少なくないようです。
また、自宅学習ではなく、塾に通わせるべきかどうかを迷われる方もいるでしょう。
小学生の自宅学習には多くのメリットがあり、上手に工夫することで子供の自発的学習を引き出すことにつながります。
今回は、小学生の自宅学習におけるポイント、塾通いとの違いを紹介します。
目次
小学生は自宅学習と塾通い、どちらがよいの?
小学生の子供の能力を早く伸ばしてあげたいと、塾通いを検討されている親御さんもいらっしゃるでしょう。
一方で、小学生のうちは自宅学習の方にメリットが多く、実際に優秀な子供は自宅学習に力を入れていると言われるほどです。
小学生は自宅学習と塾通い、どちらがよいのでしょうか。
自宅学習と塾通いにはそれぞれメリット、デメリットがあります。
子供のレベルや進路、性格などによってどちらが適しているのかは変わってきます。
次項からは、それぞれのメリット、デメリットを挙げていきます。
自宅学習のメリット
宿題以外の学習を自宅でさせることを自宅学習をいいます。
自宅学習のメリットは、小学生の子供に必要な力を養うことができる点です。
具体的にはどのようなことなのでしょうか。
子供の力にあわせた学習ができる
塾はどうしても大勢の子供に対して指導しますので、子供のレベルにあった学習ではありません。
できのよい子供にとっては物足りないですし、反対についていけない子供もいます。
では、個別指導塾ならよいのかといえば、授業のカリキュラムが分かりにくい(生徒にあわせて対応するため)、講師のレベルに差がある、講師との関係性がだらけやすいなど、必ずしもよい面ばかりではありません。
この点、自宅学習であれば、子供のレベルや性格にあわせたオリジナルの学習をさせることができますし、親が関わることで何をどこまで学習しているのかが一目瞭然です。
自発的に学ぶ力が身につく
今の子供たちに必要とされているのは、与えられた学習をこなす能力ではなく、自発的な学びです。
自宅学習では自ら机に向かう習慣を身につけることができ、子供自身が興味をもって勉強に取り組むことができるようになります。
やる気のスイッチが入れば、親が驚くほど楽しそうに勉強することもあります。
勉強が楽しいと思える工夫ができる
小学生の子供は基礎を身につける時期ですが、それと同時にこれから勉強が好きになるか、嫌いになるかといった微妙な時期でもあります。
勉強が好きになってくれればよいのですが、勉強嫌いになると大変です。
とにかく苦手意識を持ってしまい、やればできる子供であってもそもそもやろうとしなくなります。
この点、後述しますが、自宅学習であれば勉強が楽しいと思える工夫を施すことができます。
自宅学習のデメリット
自宅学習にはデメリットがあり、工夫をしなくては上手くいかないことがあります。
「まぁいいや」と思いがち
自宅学習では見ている人は親しかいませんので、学習するかどうかは子供の気分に左右されてしまうことがあります。
子供自身に甘えが生まれてしまい、「今日はやらなくてもいいだろう」となってしまうのです。
小学生の子供に自宅学習をさせるときは、親がある程度見ていてあげることが重要ともいえるでしょう。
親が「勉強しろ」と言いがち
自宅学習をさせようと思っても、子供はそう簡単にやる気になってはくれません。
そのため、学習習慣が身につくまでは親が「勉強しろ」と口うるさく言ってしまうことが多くあります。
せっかく自発的な学びを促すための自宅学習なのに、親が強制させるような言葉をかければ、当然子供のやる気はそがれていきます。
嫌々机に向かうようになれば勉強嫌いにもなってしまうでしょう。
親の工夫が必要だということです。
親の負担がある
小学生の自宅学習では、親の関わりが必要不可欠ですので、忙しくて仕方がないという親にとっては一定の負担になります。
完全に子供任せにして自宅学習をやらせていては、そもそも自宅学習にするメリットが薄くなってしまうため、親がある程度管理しなくてはなりません。
ただし、裏を返せば、自宅学習を見てあげることは負担なのか、という考え方もあります。
親子のコミュニケーションになり、子供のやる気を引き出す要因にもなるからです。
塾に通えば経済的な負担や送迎の負担があるうえ、子供を塾に任せっきりになり、どう転ぶのか分からない面があります。
このあたりは何をもって親の負担というべきかにもよるでしょう。
塾通いのメリット
続いて、塾通いのメリットを考えてみましょう。
プロの講師に教えてもらうことができる
塾に行けばプロの講師がいて、分からないことがあれば質問することもできます。
やはり塾通いはここが大きなメリットではないでしょうか。
よい塾講師に出会うことができれば、子供の成績がぐんぐん上がることもあります。
特に、中学受験を考えている小学生の子供は、中学受験専用の対策をしてくれる塾に通った方がよいでしょう。
ライバルがいて奮起する
塾に通うと他の子供たちもいますので、負けじと頑張れる子供もでてきます。
他の子供が一生懸命勉強している様子を見て、同じように頑張れる子供もいるでしょう。
子供のうちでも、コミュニティの中で自分がどのランクにいるのかは気になるものです。
ライバル心が芽生えて頑張れるという点ではよい方向に働くことがあります。
やらざるを得ない状況になる
塾は開講日も開始時間も決まっていますので、そのときは嫌でも机に向かうことになります。
塾を休むには親に理由を説明しなくてはなりませんので、休むハードルは高めです。
講師の存在は、子供からすると学校の担任や親以外から見られることになりますので、緊張感を持つことにもなります。
強制的に勉強できる環境になりやすいということです。
ただし、強制的に通うことと、勉強ができるようになることは必ずしも一致しない点にも注意が必要です。
実際、塾に通うことで勉強嫌いになり、成績が下がってしまう子供もいます。
塾通いのデメリット
小学生の子供に塾通いをさせるには、明確な目的が求められます。
何となく塾通いをさせてしまっても時間と費用の無駄になるだけでなく、子供が勉強と向き合う姿勢にも影響します。
慎重に考えるようにしましょう。
とにかく忙しくなり学校の授業をおろそかにしてしまう
塾は自宅学習のように1日10分、20分と少ない時間で済ますことができませんので、時間的な余裕がなくなります。
学校の宿題だけでなく、塾からも宿題がでることがあります。
忙しくなってしまい、学校の授業が身に入らなくなることも。
子供自身がストレスを感じるようにもなります。
さらに、学校が終われば他に運動や音楽、英会話などの習い事をさせ、子供は一体いつ遊ぶのでしょうか。
小学生のうちは学習の基礎を身につけることが大切で、それは遊びを通じた日常生活の中にも多くのことが含まれているのです。
友達の真似をして自分のペースを崩しやすい
友達と同じ塾に通う子供も多いですが、友達や子供の性格によっては悪い方向に働くことがあります。
友達があまり勉強をしていなければ、「自分もいいや」と、ペースを崩してしまうことになります。
子供は友達の影響を受けやすい点は覚えておくべきでしょう。
成績が悪いと周囲と比較して自信を失いやすい
塾に通えば勉強ができるようになると思っていたのに、成績が悪い…。
あるいは、少しレベルの高い塾に通うことで、学校にいるときは気づかなかった自分のレベルに気づいてしまうこともあります。
周囲と比較して自信を失い、勉強嫌いになってしまえば、塾をやめてしまうだけでなく、自宅学習すらやらなくなってしまうかもしれません。
塾が向いているかどうかは子供の性格にもよるといえるでしょう。
自宅学習か塾通いか迷ったときに覚えておきたい点
結局、自宅学習と塾通い、どちらがよいのでしょうか。
結論からいえば、小学生の子供には自宅学習をおすすめします。
ただし、一定の条件をもとに塾通いをすることも検討する余地があります。
ここでは、迷ったときに覚えておきたいポイントを紹介します。
中学受験をするのか、しないのか
まずは、小学生の子供に中学受験をさせるのかどうかがポイントです。
中学受験には専用の対策が必要ですので、よほど受験対策に詳しい親でなければ、自宅学習で網羅することは難しい面があります。
反対に、中学受験をしない子供であれば、塾に通う大きなメリットを感じられない限り、自宅学習で十分だといえるでしょう。
塾に通えば勉強ができるようになるわけではない
塾に通わせると子供が勉強するようになり、勉強ができるようになるものだと、親も、子供自身も思ってしまうことがあります。
当然ながら塾に通うだけで勉強ができるようになるわけではありません。
むしろ、「高い月謝を払っているのに」と親のストレスが溜まり、子供にきつくあたってしまうリスクもあります。
小学生の場合、自宅学習をさせていた子供の方がむしろ成績がよいというデータもあります。
なぜ塾に通う方がよいのかが明確にならない限りは自宅学習も選択肢に入れておきましょう。
子供だけでなく親自身も続けられるか
優秀で子供の能力を引き出してくれる塾講師もいますが、そのような講師は人気があり、塾の月謝も高くなりがちです。
子供が継続して学習できることはもちろん、親自身も続けていけるのかを考える必要があります。
せっかくよい塾に入ることができても、途中で経済的な事情からやめざるを得なくなれば意味がありません。
送迎の手間もあります。
小学生の場合、塾以外にも習い事をさせているご家庭は多いでしょうから、費用と時間をあわせて考えた方がよいでしょう。
小学生の自宅学習におけるポイントは?
小学生の子供には自宅学習がおすすめですが、一定の工夫や注意点があります。
ここからは、小学生の自宅学習におけるポイントを紹介します。
自ら机に向かうようにさせる
小学生の子供に自宅学習をさせようと思うと、つい「親の腕の見せ所」とばかりに意気込んでしまうことがあります。
その分、子供が親の思うように学習しないとイライラしたり、怒鳴ってしまったりすることがあるでしょう。
しかし、自宅学習では、強制は厳禁です。
子供自らが机に向かうように仕向けることが大切です。
とはいえ、「そんな聞き分けのよい子供なら苦労しない…」と言いたくもなるでしょう。
そのときは、「今日は勉強の後に美味しいおやつがあるよ!」「今日のドリルは何分で終わるかな?」など、子供のやる気をくすぐるような言葉をかけてあげると効果的です。
また、親自身も好きなことを勉強するなどし、「勉強って楽しいものなんだ!」と子供が思うような行動をすることもよいでしょう。
いずれにせよ、「勉強しなさい!」「どうしてやらないの!」とばかり言っていても、子供は勉強しません。
根気がいるかもしれませんが、自発的な学習を促すようにしましょう。
子供自身に目標設定をさせる
小学生の自宅学習では、単に家庭内での勉強量を増やすという目的ではなく、子供が自分で目標を立て、それに向かって何をするのかを考え、実際に行動する力を養うことが大切です。
進学するにつれ、与えられた宿題をこなすのではなく、自分で学習計画を立て、苦手を克服していくことがさらに重要となってくるからです。
もちろん、その力は大人になって社会にでた後も、問題を見つけて解決する力となっておおいに役立ちます。
そのため、どの科目をどのくらいの量こなすのか、ドリルで何割以上できれば合格とするのかなど、子供自身に目標を決めさせるとよいでしょう。
月曜日は授業数が多くて帰りが遅い日、火曜日はスイミングスクールがある日など、子供にも予定というものがあります。
予定に沿った計画を立てるようにしましょう。
低学年でまだ決めることが難しい子供であれば、一緒に考えてあげるなど、親が手助けします。
達成した喜びを感じられる工夫を
子供のやる気がでないときは、苦手な科目ではなく得意な科目をやらせるようにしましょう。
新しい問題ではなく、すでに答えられる問題をだすことも効果的です。
子供自身が「できた」という達成感を持つことができるからです。
また、学習が終わった後には、市販されているご褒美シールや、「よくがんばりました」のハンコを押してあげるなどし、達成した喜びを感じられる工夫をすることもよいでしょう。
シールやハンコがなければ大きな花マルをつけてあげるだけでも子供は喜びます。
楽しくできる教材を厳選して選ぶ
学校や塾における学習は、使う教材は共通のものとなります。
一方、自宅学習は子供と親が一緒に考えて選ぶことができます。
選択肢の幅があるという利点を活かし、楽しくできる教材を選ぶことで、勉強嫌いの子供でもスムーズに取り組むことができます。
たとえば、今の小学生はインターネットがごく身近にありますので、タブレット教材なら楽しくできる子供が多いようです。
学校の授業でもタブレットを取り入れているケースが増えているため、親しみやすいタイプの教材ともいえるでしょう。
ただし、1点注意するべきポイントが。
それは、あれもこれもと数を与えないことです。
自宅学習で使う教材は1つで十分。
1つの教材をボロボロになるくらい使い尽くすことが大切です。
本当は学校の教科書があれば済んでしまう話なのです。
学校の教科書を使って、親が楽しく出題できるのであればそれでよいでしょう。
親がなかなか一緒に見てあげる時間がなければ、市販の書籍やタブレットに助けてもらいます。
いくつも教材があった方が、たくさん勉強できて、覚えられることも多いような気がしますが、それは間違いです。
必要な項目をきちんと網羅できている教材を繰り返し解くことがとても大切です。
その中で、何回やってもできない問題を見つけ、きちんと身になるように復習していくのです。
机に向かわせるだけが学習ではない
鉛筆片手に一生懸命ドリルをやっている姿を見ると、親も「よしよし、頑張って勉強しているな」という気になるでしょう。
もちろんそれも大切ですが、何も机に向かわせるだけが学習ではありませんよね。
特に、子供のやる気がでないときは、机に縛りつけても勉強が嫌になってしまうだけです。
そんなときは、歴史漫画でもよしとする、親がだすクイズ方式にしてみるなど、楽しみながら学習できるようにしてみましょう。
週末など時間があるときは、水族館や博物館に連れていくのもよいでしょう。
帰宅した後は親と一緒に図鑑やインターネットで「今日見た魚だよ」などと、復習してあげると記憶に残りやすくなります。
どの教科においても礎となる「読解力」を養うためにはやはり読書も重要です。
読書のときに分からない言葉がでてきたら辞書で調べさせるようにすると、より効果的です。
学校で教えてもらったことは肯定する
小学生の子供の勉強を親が見てあげるとき、自分が子供の頃とは違う教え方をされていると気づくことがあります。
また、先生によって教え方のレベルに差があることも事実で、「なぜこんな教え方を?」と疑問に感じることがあるかもしれません。
しかし、子供が学校で教えてもらったことは基本的に肯定することが望ましいです。
教育方針や方法は時代とともに変化するものであり、親が正しいと思って生きてきたことが、必ずしも現代の教育において正解とは限りません。
何より、親が学校教育に否定的な意見を述べることで、子供も先生の授業を素直に聞くことができなくなってしまいます。
結果として能力の向上を妨げることになりかねませんので、よほどの事情がなければ否定するべきではありません。
基本的には学校教育に沿った方向で自宅学習をさせるようにしましょう。
自宅学習はリビングで
小学生の自宅学習をどこでさせるのかについて、場所的に難しい場合は別ですが、勉強部屋かリビングかで迷われている場合は、リビングで十分です。
テレビをつけると集中力が途切れますが、母親が調理している音など、多少の生活音があるとかえって集中できます。
何より、親が近くにいることで子供のやる気がアップし、見ていてくれていることの安心感もあります。
子供部屋に1人押し入れて学習させるよりも、ずっと子供が楽しく継続することができます。
小学生のうちはリビングで、1人でしっかり勉強できるようになる高学年~中学生になってから子供部屋にすれば十分です。
最後に
いかがでしたか?今回は、小学生の自宅学習におけるポイントについて、塾通いとの比較も含めて紹介しました。
小学生のうちは、自宅学習をさせることで自発的に学習する習慣が身につき、勉強に興味を持ってもらうことができます。
親が積極的に関わることが必要となりますが、コミュニケーションにもなるなどメリットは大きいものです。
親子ともに楽しみながら始めてみてはいかがでしょうか。