近年「介護脱毛」なる言葉が知られるようになったことをご存じですか?
介護脱毛とは、40代、50代の中高年が、将来自分が介護される側になったときに備えて脱毛しておくことを指します。
早い人では30代から将来介護されることを見据えて脱毛を開始しているのだとか。
男女比率で言えば圧倒的に女性の介護脱毛希望者が多く、美容目的以外の脱毛需要が高まっているようです。
今回は、そんな介護脱毛について掘り下げて紹介していきます。
介護脱毛が広がった背景
介護脱毛をする人が増えた背景を見ていきましょう。
介護自体は今に始まった話ではなく、介護と毛の関係も介護経験者の中ではある意味一般的な話として聞かれていました。
ここにきて急速に介護脱毛を希望する人が増えたのには理由があります。
高齢化社会で要介護者が増えた
超高齢化社会と呼ばれる日本では要介護者が増え、両親や祖父母の介護にたずさわった経験を多くの方がもっています。
特に40代、50代になると家庭内でも中心的な役割を担うことにもなり、介護を担当する機会が増えてきます。
すでに親世代は介護の必要性がでてくる年代であることからも、自分自身に置き換えて考える機会が多いのでしょう。
自分の親を介護したのをきっかけに、「介護する側のことを考えて脱毛しておいた方がいい。」と考える中高年が増えているのです。
脱毛自体が身近になったから
一昔前に比べて脱毛自体が身近になったことも、介護脱毛の拡大を後押ししています。
20~30年前の脱毛業界はニードル脱毛と呼ばれる、高価で痛みが強く、時間もかかる脱毛方法が主流でした。
しかし現在は、光脱毛やレーザー脱毛に代表される、比較的安価な脱毛が主流となり、痛みもかかる時間も随分少なくなりました。
脱毛サロンやクリニックが、人気タレントを起用したテレビCMや広告を多数展開したこともあり、脱毛はもはやダイエットやスキンケアと同じくらい、女性にとっての当たり前となったのです。
自分に時間とお金をかけられるようになったから
家事育児と仕事との両立で忙しく、自分以外にかかるお金のために働き詰めだった30代を過ぎ、40代や50代になると時間とお金に少しずつ余裕が生まれてきます。
人によっては子供がすでに成人して自立し、自分に時間とお金をかけられるようになってくるでしょう。
昔は高いと感じた脱毛も、今のタイミングでなら「アリかも。」と思えるようになるのです。
情報社会となり脱毛の知識をもつ人が増えた
介護脱毛が急増した理由として、インターネットの発達にともない、いつでもどんな情報でも手軽に入手できることになったことも考えられます。
一昔前であれば電話で直接問い合わせる、知人の口コミを頼りにするなどしか得られなかった脱毛の情報も、スマートフォンが1つあれば簡単にアクセスできます。
特に、最近主流の光脱毛やレーザー脱毛は白髪に反応しないという知識を多くの人が備えることになったため、白髪が少ない40代、50代のうちに脱毛したいと駆け込み的に利用する人が増えたのです。
知っておきたい介護脱毛の基本と素朴な疑問
ここからは、介護脱毛の具体的な内容について紹介していきます。
介護脱毛ではどの箇所を脱毛するのか、費用はどれくらいかかるのかなど、介護脱毛にまつわる疑問点をピックアップしました。
介護脱毛で脱毛するのは主にVIOライン
介護脱毛に明確な定義はありませんが、主には介護される場合に備えてVIOラインを処理することになります。
VIOラインとは、デリケートゾーン周辺の箇所を指します。
Vラインはビキニラインのこと、Iラインは股の間のこと、Oラインはヒップの奥側、肛門まわりの部分を示すことが一般的です。
VIOラインを総称し、「衛生的」の意味がある「ハイジーナ脱毛」と呼ぶこともあります。
介護においては、VIOラインに毛があるかどうかで介護のしやすさや衛生面に影響を与えることになります。
ムダ毛でオムツが蒸れやすくなったり、排泄物が付着しやすくなったりといったデメリットがあるからです。
ワキも介護脱毛で人気
VIOラインのほかには、ワキも介護脱毛として希望する方が多い箇所です。
介護時に抱きかかえられた際、ワキ毛があると擦れてしまう、汗を拭きとる際にタオルに毛が絡まって痛いなどの理由から、ワキも人気のようです。
ワキに関しては若い世代の脱毛では一番の人気箇所。
そもそも女性には生えていないもの、といった認識をもつ方が多い箇所なので、見られると恥ずかしいという意味合いも強いのかもしれません。
VIOラインの価格相場と回数
VIOラインの脱毛にかかる費用相場は1回あたり13,000円~20,000円ほどです。
VIOラインのみの脱毛で考えると、脱毛サロンとクリニックで大きな差があるわけではありませんが、脱毛サロンの方がお得なキャンペーンなどで安く施術してもらえる可能性はあります。
ただ、ほとんど毛がない状態を目指す場合、脱毛サロンだと8~12回ほど回数を重ねる必要もあります。
クリニックの回数目安は5~6回と少なく済むため、ご自身の毛量やどこまでの仕上がりを求めるかによって、どちらのコスパがいいかは変わってくるでしょう。
ワキの価格相場
ワキに関しては、脱毛サロンやクリニックからすると、自社を知ってもらう広告塔的な役割をもつ箇所でもあります。
両ワキの価格相場は脱毛完了までで20,000円~35,000円ほどですが、これはあくまでも通常価格。
ワキは格安で脱毛が受けられるキャンペーンを実施しているケースが多いのが特徴です。
脱毛サロンの中には数百円という破格でワキ脱毛が受けられる場合もありますので、ワキのみを脱毛したいならキャンペーン利用は必須と言えるでしょう。
家庭用脱毛器で介護脱毛は可能なのか?
VIOラインやワキは、人から見られるのが恥ずかしいという理由で介護脱毛する人が多い箇所です。
ということは、そもそも脱毛に通ってスタッフの方に見られることも恥ずかしさがでてきますよね。
家庭用脱毛器なら誰にも見られることなく脱毛できるため、介護脱毛も可能なのかが気になります。
家庭用脱毛器に関しては、脱毛器によって脱毛できる箇所とそうでない箇所が異なります。
腕や脚、ワキは脱毛できることがほとんどですが、VIOラインに関しては注意も必要です。
特にIOラインは粘膜が近くにあることと、自分で見えにくい箇所であるためリスクがあります。
安全に介護脱毛をするという観点で考えると、脱毛サロンやクリニックでの施術がもっとも適していると言えます。
介護脱毛の恥ずかしさについて
VIOラインやワキを脱毛してもらうのが恥ずかしいと考えるのは自然なことですが、スタッフ側は慣れているので全く気にしていません。
VIOラインは専用のショーツで隠しながら脱毛してくれるケースも多く、少しずつずらしながら脱毛していきます。
スタッフにとってVIOラインは、慎重さが求められるうえに無理な体勢で脱毛しなくてはならない箇所。
脱毛に集中しており、局部を見て何かを思う余裕もありません。
ワキに関しても、事前に電気シェーバーで剃っておくことが基本なので、フサフサの状態を見られるわけではありません。
必要以上に恥ずかしがる方が、スタッフに気を使わせてしまって余計に恥ずかしくなってしまいます。
スタッフは仕事でやっているので気にする必要はないと思っておきましょう。
介護脱毛の痛みの有無について
脱毛で気になるのは痛みでしょう。
近年は痛みがほとんどないと言われる脱毛方法が増え、痛みを気にせず通える点もメリットとされています。
ただ、実は介護脱毛で利用されるVIOラインとワキは、全身の中では痛みを感じやすいと言われる部位になります。
特にVIOラインは濃い毛が密集しやすく、粘膜近くで肌が敏感であることから、痛いと感じる方が多い傾向にあります。
光脱毛かレーザー脱毛かによっても異なります。
脱毛サロンやエステサロンで受けられる光脱毛は、照射パワーが低めな分痛みが少ない方法です。
医療機関でしか利用できないレーザー脱毛は、光脱毛と比べても脱毛効果が高い分、痛みが強いとされています。
痛みが不安な方は光脱毛を選ぶか、レーザー脱毛で麻酔を使わせてもらうといった選択肢があります。
介護脱毛するならサロンとクリニックどちらがいい?
介護脱毛を検討している方にとって、脱毛サロンとクリニックのどちらを選べばいいのかも気になる点でしょう。
サロンとクリニックはそれぞれ利点が異なるため、どちらがいいと一概に言えるわけではありません。
ご自身が何を求めているかを掘り下げてみることで、適切な脱毛方法はどちらなのかが見えてくるでしょう。
以下、サロンとクリニックのメリット・デメリットをまとめました。
(サロンのメリット)
- 痛みが少ない
- 部位によっては格安で脱毛できる
(サロンのデメリット)
- 1回の効果が薄いので何回も通う必要がある
- 肌トラブルにすぐ対処できない
(クリニックのメリット)
- 1回の効果が高く回数が少なく済む
- 医師がいるため肌トラブルに対処してくれる
- サロンに比べて年齢層が幅広い
(クリニックのデメリット)
- 痛みが強い
- サロンに比べて高価なことがある
介護脱毛をしておくメリット
介護脱毛はぜひやっておきたいと考える方と、やらなくてもいいと考える方とに分かれますが、女性に関して言えばやっておきたいと考える方が急増しています。
それは、介護脱毛には大きなメリットがあるからで、介護される側と介護する側の双方について言えることです。
ここからは、介護脱毛をするメリットを紹介します。
若い人に見られても恥ずかしくない
将来自分が介護される立場になったとき、介護を担当するのは自分より若い人というケースが想定されます。
自分の子供だけでなく、息子のお嫁さん、若い介護士さんに介護されることもあるでしょう。
こうした人たちに毛を見られて恥ずかしい思いをしなくて済むというメリットがあります。
臭いや蒸れが軽減される
介護されるときは、自分でいつでもシャワーを浴びられなくなることを考えると、体の臭いや蒸れが気になります。
毛があることで汗や汚れをふき取りにくくなったり、オムツの中が蒸れてしまったりして不快感をもつこともあるでしょう。
介護脱毛をしておくことで、自分自身の不快感が軽減されます。
介護されるときに痛みを感じない
汗や汚れをふき取ってもらう際、毛があることでタオルと絡まって痛いと感じることがあります。
毛がない方が、ふき取りがスムーズで痛い思いをしなくて済むでしょう。
白髪が増える前にしておくと脱毛効果が高い
40代、50代という若さで将来介護されることを考えるのはまだ早いという意見もあります。
ただ、主流の光脱毛やレーザー脱毛は毛のメラニン色素に反応する性質をもつため、白髪が少ないうちに脱毛しておく方が、脱毛効果が高いのです。
今のタイミングで将来の介護を見据えて脱毛しておくメリットでしょう。
早いうちに脱毛すると美意識が高まる
脱毛効果は、何も将来介護される場面でのみ発揮されるわけではありません。
今脱毛をしておくと、美意識が高まり、日々の生活にもハリが生まれます。
40代、50代で美しい女性は一般の方でも大勢いますが、今を楽しむという意味でも脱毛するメリットはあるのです。
生理時の不快感が軽減される
30代、40代で介護脱毛した方の中には、生理の際の臭いや蒸れが軽減されて良かったと感じる方が大勢います。
生理時の不快感が気になっていた方にとっては、介護されることを目的にVIOラインを脱毛しておくと、今現在の生活にもいい影響がでるというわけですね。
介護脱毛をしておくと介護する側のメリットも大きい
介護脱毛は自分自身のメリットが大きいですが、実は「介護してくれる人が不快に感じないように。」と、介護する側のことを考えておこなう人が多いのも特徴です。
介護しようとする相手に毛がないことで、拭き取り際に痛いと言われなくて済む、衛生的でケアが楽になる、臭いで嫌な思いをしなくて済むといったメリットがあります。
人を一人介護するのは、体力がいり、精神的にも気をつかう大変なことです。
介護する側にとってみると、毛がないことで日々のケアが楽になるのはとても助かることでしょう。
介護脱毛にデメリットはない?
最後に、介護脱毛をするデメリットはないのかという話をします。
女性にとって毛の悩みはつきないもので、介護脱毛をして後悔したというケースはほとんど聞かれません。
ただし、それなりの費用がかかることと、脱毛完了までにサロンやクリニックに通う時間が必要になります。
ここはデメリットというより、あらかじめクリアしておきたい問題になりますので、今介護脱毛できる状態にあるのかは考える必要があるでしょう。
また、やっぱり毛が欲しいと思ったときに戻すことはできませんので、特にVラインに関しては慎重さも求められます。
介護脱毛に限らず、脱毛は基本的に長期契約になりますので、事前の下調べや契約書の内容をよく確認するといった冷静さが大切になってきます。
最後に
いかがでしたか?今回は注目の介護脱毛について紹介しました。
高齢化社会の日本における新たな需要として、脱毛人気は年齢を問わないものとなっています。
将来のこと、今の生活を楽しむこと、どちらを考えても脱毛はメリットが大きいと言えるでしょう。