全国の不登校生は、小学生に比べ中学生になると格段に増えていることが文部科学省のデータで証明されています。
不登校生数は小学生では250人に1人になのに対して中学生では35に1人とされ、小学校から中学校への環境の変化が大きく関わっているといわれています。
なぜ、中学生の不登校がふえるのか、今回はそんな中学生の不登校について考えていきます。
目次
中学生で不登校が増える理由
中学生で不登校が増える理由として具体的にどのようなものが挙げられるのでしょうか。大きく分けて次の2つのことが考えられます。
学校のシステムの変化
中学校になると、全校生徒も増え、1学年のクラス数、1クラスあたりの人数も増えます。
さらには部活なども始まり、横だけではなく縦のつながりにも気をつかわなければなりません。
そして中学校にあがるとルールもたくさん増えます。制服、髪型、身だしなみなど細かいルールが出来てきます。
好奇心旺盛でやりたいことがたくさん見つかるなかで縛られることも増えていくのがこの時期です。
また授業も、学級担任制から教科担任制へと変わり、先生との関係も大きく変化します。
小学校ではため口でも許されたものが中学生では敬語が必要になってきます。それ意外の細かい態度や振る舞いも大人へ向けて矯正されて行くのです。
そして勉強内容もさらに難しくなり、勉強時間も長くなるので負担はかなり大きくなります。
また中学生になると成績が数字で評価されるようになります。定期テストなどで学年順位が出たりするのでプレッシャーになる子もいます。
人間関係の変化
そして中学生になると親子の関係も変化していきます。
小学生の頃はあれこれと世話を焼いていた親も、中学生になると自立を促す場面もでてきます。それを急に親に突き放されたと感じてしまう子もいるでしょう。
また子ども自身も親に干渉されることを嫌がり、自分の意思で行動したり友達同士で行動するようにもなります。
さらに、みんなで仲良くしましょうという雰囲気から、自分の仲の良い子、気の合う子と長く一緒に過ごすようになります。
自分の持つ雰囲気と同じ空気を出している子や、趣味が同じ者同士でつながるようになるのです。
このように環境や人間関係の変化をたくさん受けるため、変化にすんなり適応できる子と難しい子が出てきます。
友人関係、恋愛、部活など多くの要因と本人の成長に伴う変化も合わさり、不登校につながるケースが多いのです。
不登校の中学生に親ができることとは
ここまで中学生で不登校が増える理由について考えてきました。では、そんな不登校の中学生に親はどんな対応をしていけばいいのでしょうか。
不登校のケース別に考えていきましょう。
不登校の理由がわからない
不登校の理由ははっきりと分からないけれど、学校に行けないケースは多くあります。
その際は無理に休む理由を問いただすのではなく、今学校に行きたくないという子どもの気持ちをまずは受け止めてあげましょう。
理由もなく休むという状況に親は混乱し「なんで行けないの?」「ちゃんと行かないとだめじゃない」という態度を取ってしまいがちです。
しかしそうすると子どもは「自分はおかしいんだ」と余計不安が増してしまいます。
親の不安が強いと子ども自身も不安の強い子になってしまいます。
そのためまずは親が落ち着いて、学校に行けない状況の子どもをそのまま認めてあげましょう。
「学校に行きたくないんだね。わかったよ。大丈夫だよ」そんな大きな気持ちで包んであげましょう。
そして学校に行くことを目標とするのではなく、現時点でお子さが取り組んでいること、好きなこと、得意なこと、興味を持っていることを認め、たくさん褒めてあげてください。
そして小さな成功や喜びを積み重ねる感覚を覚えさせてあげてください。
そうすることで自信が芽生え、不登校からの回復に多いに役立ちます。
体調不良が出ている場合
中学生の不登校生の中には体調不良を訴えるケースも多いです。
この場合はまずは内科を受診しましょう。
体に異常がみつからない場合は心の問題も考えられます。
診療内科の受診を検討してもいいでしょう。
もちろん子どもが受診を嫌がるときは「一緒に解決していこう」という姿勢で子どもを安心させてあげましょう。
安心すれば子どもも勇気を出すことができるかもしれません。
しかし、もちろん専門家でも解決できない場合もあります。
まずは家で子どもが安心して過ごせる環境が整っているのか、を考えてみましょう。
学校でのトラブルが原因の場合
教師とのトラブルやいじめなど明らかに学校での問題が原因の場合は、まずは学校に相談しましょう。
その際もはじめから学校に責任を押しつけるような話し方ではなく、子どもの学校での様子を一番理解してくれている教師や学校に協力を仰ぐという姿勢で臨みましょう。
担任の先生がきちんと時間を作って対応してくれない場合は、生徒指導の先生、教頭先生、スクールカウンセラー、教育センターなどの専門機関、などに相談してみましょう。
色んな人に相談するのは、色んな角度からの見方ができたり、色々な意見を聞けるのでおすすめです。
どうしても解決できない場合は転校などの方法も視野に入れて子どもと話しをしましょう。
子どもはどうしても自分の世界で行き詰まってしまったとき、他の選択肢が思いつきません。
そのため自ら命を絶ってしまう中学生もあとをたちません。
そのような悲劇を生み出さないためにも、「学校に行けないなら転校してもいい。引っ越してもいい」ということを子どもに伝えてあげましょう。
道はひとつではない、選択肢はたくさんあるということを教えておいてあげてください。
お母さんが一人で抱えないこと
中学生の不登校と親ができることについて考えてきましたがいかがでしたか?
色々な悩みや思いを抱えている中学生の不登校に特効薬はありません。
一歩ずつ進んでいく姿を見守り支えてあげられるのはやはり家族ではないでしょうか。
しかしお母さんが一人で抱えこまないことも大切です。
周囲の身近な人や不登校専門のカウンセリングなども賢く利用して、体と心をしっかり保っていきましょう。
親の不安が子どもに伝染するように、親が健康な体と心で過ごすことが不登校への一番の近道ではないでしょうか。