そのままでもブレンドでもおいしく飲めるグアテマラのコーヒー豆
ブラジルやコロンビア程の知名度はなくとも、コーヒー好きなら一度は口にしているのが、グアテマラのコーヒーです。
日本人に馴染みのあるコーヒーや栽培状況を詳しく知って、グアテマラのコーヒーをもっと楽しみましょう。
目次
コーヒーの栽培状況
世界第9位の生産量であるグアテマラのコーヒーの栽培状況です。
高原地帯と山岳地帯で栽培
ほとんどのコーヒーは、グアテマラの国土を北緯16度で分けた南側で栽培されています。
その南側はさらに北側「高原地帯」と南側「山岳地帯」に分かれています。太平洋側に山岳地帯があるので赤道近くでありながら寒暖差、一定の降水量があります。
環境を活かしたコーヒー作り
シェードツリーを用いた日陰栽培が主流です。
山岳地帯と言えども、コロンビア国土は赤道付近にあるため日差しは強烈です。
強い日差しからコーヒーの木を守るため、日陰を作る木で日光を遮ります。
コーヒーチェリーから豆を取り出す加工、精製は発酵槽を用いた水洗(ウォッシュト)式が多く採用されています。
地下水が豊富なグアテマラでは河川の近くにウォッシュステーションが多く点在しています。
日本への輸出量第3位
グアテマラのコーヒーの輸出先はアメリカ、カナダに次いで日本に多く輸出されています。
レインボーマウンテンという缶コーヒーが有名ですが、これはグアテマラの高品質の銘柄レインボーマウンテンを使っています。
レインボーマウンテンは後にご紹介するANACAFEが認定する産地選りすぐりの豆を使ったブレンドコーヒーです。
グアテマラコーヒーの銘柄
グアテマラのコーヒーの代表的な銘柄は次の通りです。
アンティグア
グアテマラに留まらず、世界でも有数のコーヒー産地がアンティグアです。
中でも有名な農園はサンタカタリーナ農園です。アカテナンゴ火山、フエゴ火山、アグア火山の3山に囲まれた場所にあり、水はけがよい火山灰土質と地熱で温められた土壌は深い味わいのコーヒーになります。
名高いサンタカタリーナ農園の中でも、標高2000m付近の特別区画で栽培される「グランレゼルバ」というさらにプレミアムなコーヒー豆もあります。
ウェウェテナンゴ
標高1500~2000m級の山岳地帯で栽培される、グアテマラでも最も標高が高い場所のコーヒーです。
エルインヘルト農園のコーヒーはCOE(カップオブエクセレント)という格式ある品評会で優勝経験があります。
コバン
グアテマラシティ、シェラ、に続くグアテマラ第3の都市のコバンは、コーヒーやスパイスの栽培が盛んです。
カルダモンコーヒーというローカルドリンクがあるように、スパイスと相性がよいコーヒーの酸味がコバン産の特徴です。
アティトラン
世界一美しいと称されるアティトラン湖回りの急斜面に多くの農園があります。
火山に囲まれた湖ですので、周りももちろん水はけのよい火山灰土質です。また湖面を抜ける寒風が、コーヒー作りの好条件である気温の寒暖差を生み出しています。
グアテマラコーヒーの格付け・等級とは?
各国に先がげスペシャリティコーヒーのブランディングを確立したグアテマラには、どのような団体・格付けがあるのでしょうか?
ANACAFE
1969年にグアテマラ国内6.5万件のコーヒー農家の代表団体、ANACAFE(グアテマラ国立コーヒー生産者協会)が設立されました。
コーヒー機関紙の発行や研究所の設立などの活動を通して、グアテマラのコーヒー産業の発展に寄与しています。
ANACAFEはグアテマラの中でもとりわけ優れたコーヒー産地8つ(ウェウェテナンゴ、アティトラン、サンマルコス、アカテナンゴ、アンティグア、オリエンテ、コバン)をブランド認定しています。
APCA
ANACAFEが定めた8つの地域で最も評価の高いアンティグアのコーヒーは、次第に偽物が流通するようになりました。
そこでアンティグアのコーヒー農家は、APCA(アンティグア生産者組合)を設立して自らの商品の原産地呼称を始めました。
APCAが定めるアンティグア栽培・製法のコーヒーのみ、「Genuine Antigua Coffee(アンティグア原産コーヒー)」とラベルできます。
標高による等級
標高によって7等級に格付けされ、標高が高くなりにつれて高品質になります。
- SHB(Strictly Hard Bean) 1400m以上
- HB(Hard Bean) 1200~1400m以内
- SHB(Semi Hard Bean) 1050~1200m以内
- EPW(Extra Premium Washed) 1050~900m以内
- PW(Premium Washed) 900~750m以内
- EGW(Extra Good Washed) 750~600m以下
- GW(Good Washed) ~600
標高による品質ももちろんですが、高地からの運搬費も含んでいることも格付けに影響しています。
グアテマラのコーヒーはどんな味?
グアテマラのコーヒーは甘い香りと強い酸味が特徴です。酸味と言うと敬遠されがちですが、果実を思わせるようなフルーティさです。
キャラメルのような香り
酸味と同時にキャラメルのような甘い香りが特徴のグアテマラのコーヒー、標高が高い場所で作られるコーヒー豆は糖分を多く含むためです。
次の世代のために糖分を残す生存本能のようなものと言われています。
コーヒー豆にとって過酷な状態が、グアテマラコーヒー独特の風味を作り出しています。
冷めてもおいしい
通常コーヒーが冷めると、酸化したような酸っぱい味になってしまいます。
ところがグアテマラのコーヒーは冷めてもクリアな酸味が残ったままです。まさに標高が高い場所で栽培されたコーヒー豆ならではの高品質であるためと言えます。
ブレンドコーヒーにも
高品質のコーヒー豆はシングルオリジン、つまり1種類の豆を楽しむのが通とされています。
シングルオリジンはもちろん、グアテマラのコーヒーはブレンドにも多く使われる人気銘柄です。飲みやすいブレンドコーヒーの引き締め役になっています。
おすすめの飲み方
グアテマラコーヒーの高品質な味を引き出す淹れ方や飲み方です。
使うドリッパーの種類
フルーティな酸味を楽しむために、円錐型のドリッパーを使って入れましょう。
円錐型のドリッパーはコーヒーの味をダイレクトに抽出します。フルーティな酸味そのままをコーヒーで楽しめます。
ストレートで楽しむ
キャラメルのような香り、フルーティな酸味を合わせ持つ味です、グアテマラのコーヒーはぜひブラックでお楽しみください。
一方で、ミルクを入れると酸味とケンカしてしまいます。酸味を抑えてマイルドに飲みたい場合は、カップ1杯にスプーン1杯の砂糖を入れて下さい。まろやかな酸味になります。
フレンチロースト
グアテマラのコーヒーのほとんどは浅煎りの豆ですが、一部深く焙煎した「フレンチロースト」で販売されることがあります。
本来酸味が特徴のコーヒーは浅煎りにしますが、これはグアテマラコーヒーならではの理由があり、それは「アイスコーヒーに適したコーヒー豆」であるためです。
スッキリとして香ばしさがあるアイスコーヒーが日本では人気があります。このニーズに応えるために、クリアな酸味を持つグアテマラのコーヒーを深煎りにしてアイスコーヒーが作られているのです。
相性がよい食べ物
香り高く、高品質なグアテマラのコーヒーには、どのような食べ物の組み合わせがよいのでしょうか?
りんご
フルーティな酸味が特徴のコロンビアのコーヒー、りんごと一緒に食べるとお互いの酸味が引き立ちます。他にも柑橘系の果物もおすすめです。
チョコレート
グアテマラはコーヒーの他に、カカオの名産地でもあります。
またアンティグアの至る場所にチョコレート工場があり、チョコレートとコーヒーを一緒に楽しむ文化があります。
アンティグア産のコーヒーは、グアテマラ最高級ならではのエレガントな味わいです。地元のならではの組み合わせも、ぜひお楽しみください。
ナッツ
グアテマラのコーヒーには、ナッツのコクもよく合います。
特にマカデミアナッツのような滑らかでリッチな味と相性が高いです。またグアテマラコーヒーのクリアな酸味が、ナッツの塩分をサッと引かせる後味のよさがあります。
様々な顔を持つコーヒー豆を楽しむ
栽培効率の悪い山岳地帯で育てられたコーヒー豆、その分複雑に織りなす味わいに仕上がっています。
おすすめはブラックですが、アイスコーヒーで飲んだり、チョコレートと合わせて、グアテマラコーヒーを様々な角度から味わってみて下さい。