コーヒー発祥の地と言われるエチオピア、しかし意外にもエチオピアのコーヒー飲んだことがない人が多いのです。今後人気が高まること間違いなしのアフリカ系のコーヒー、まずはエチオピア産から知ってみませんか?
目次
エチオピアコーヒーの栽培状況
世界第7位のコーヒー生産国、エチオピアのコーヒー栽培の基本情報です。
多様な種類
国土の大部分が2000m級の高地であるエチオピア、水資源が豊富な南西部にコーヒー産地が多くあります。
コーヒーノキの種類は1万種にも及ぶと言われており、まだまだ発見されていない品種も多いのです。まさにエチオピアのコーヒーは無限の可能性を秘めています。
エチオピアはコーヒー豆発祥の地
コーヒー豆が収穫できる樹木コーヒーノキは、エチオピア原産と言われています。また、エチオピアのカッファでコーヒーノキの果実をヤギに与えたところ、興奮して飛び回ったのがコーヒーを飲用する起源、というエピソードは有名です。
コーヒー生産国であり、消費国
世界有数の生産量を誇るエチオピアのコーヒーですが、その半分は国内で消費されるほどポピュラーな飲み物です。エチオピアの家庭では「コーヒーセレモニー」という習慣があり、家族でコーヒーを飲む時間を大切にしています。
エチオピアコーヒーの銘柄
エチオピアのコーヒーの代表的な銘柄は次の通りです。
イルガチェフェ
1990年代まではシダモ州の1地区であり、エチオピアでも最もコーヒー栽培の歴史が長い地域です。ここから世界中のコーヒー産地へ苗木が多く輸出されました。イルガチェフェの家の庭では野生のコーヒーノキが自生していることも珍しくありません。
エチオピアのコーヒー格付けの最上級G1の多くは、ヨーロッパに輸出されます。
カッファ
エチオピア南部に位置するカッファ地区のコーヒーです。爽やかな酸味があるエチオピアのモカのイメージとは違い、カッファ地方のものは優しい甘みがあるコーヒーです。
シダモ
シダモ農園のものは、政府が国賓を迎える時にふるまわれるほど最高級のコーヒー豆です。後に述べるウォッシュト式で精製されて、欠点豆がごくわずかなコーヒー豆だけを出荷しています。
エチオピアのモカとは?
エチオピアのコーヒーと言えば、モカが有名ですがどんなコーヒーなのでしょうか?またイエメンにもモカはありますが、どのような違いがあるのでしょうか?
イエメンで取引
エチオピア原産のモカ種は、イエメンでも栽培されました。そしてイエメンの貿易港・モカから出荷されています。
ヤギがコーヒー豆を食べて興奮して飛び回った、というエチオピアのエピソード当時は、眠気覚ましとして飲まれることが多かったのです。
嗜好品として飲用されるようになるのは1950年代、イエメンの宗教学者が「みんなでくつろいで飲む」スタイルを提案してから、つまりイエメンからコーヒーの飲用がはじまったのです。
次第にコーヒー豆の取引が増えるにつれて、自国の生産量では間に合わなくなり、エチオピア産のコーヒー豆も一緒にモカコーヒーを出荷するようになりました。
イエメン産との違い
同じモカコーヒーでも生産国が違うため、「モカ+産地名」が名前になっています。エチオピアのモカコーヒーは、モカシダモやモカハラー、対してイエメン製のモカはモカマタリが有名です。
モカマタリはフローラルな酸味でほんのりビター、モカシダモ、モカハラーは柑橘系の酸味が特徴です。
エチオピアコーヒーの格付け・等級とは?
品質は最高級のエチオピアのコーヒーですが、確固とした格付けがないのが現状です。
欠点豆の数で決まる等級
エチオピアのコーヒー豆は、形が不揃い、未成熟などの欠点豆がいくつ混じっているかにより格付けされます。
- G1 300gに、欠点豆が3個
- G2 300gに、欠点豆が4~12個
- G3 300gに、欠点豆が13~27個
- G4 300gに、欠点豆が28~45個
- G5 300gに、欠点豆が45~90個
コーヒー300gは豆の種類にもよりますが、200粒前後です。そのためG1の流通はごく一部であり、イルガチェフェG1 と言えば幻の豆と言われるほど希少価値があります。
ECXによる新しい格付け
生産も多く消費も多いエチオピアのコーヒー市場はその規模にもかかわらず、流通システムは未だ確立していません。2008年、ECXという取引所が開設して以降、新しい格付けを作るなどして開かれた市場を目指しています。しかしながら格付けは浸透せず価格が安定しないため、ECXを通さず直接取引をする企業が多く混乱しています。
あまりにも多くの人がかかわり過ぎているエチオピアのコーヒー、今後の課題は、格付けの確立のようです。
エチオピアのコーヒーはどんな味?
エチオピアのコーヒーは、「柑橘系のようなフレッシュな酸味」が特徴です。
甘味は控えめ
エチオピアのみならず、アフリカのコーヒー豆全体に共通することですが、甘味は控えめです。あくまで酸味を活かすことに重点を置いて栽培されています。
水洗式で高品質のものも
コーヒーの実から豆を取り出す精製は、自然乾燥して取り出す「ナチュラル」と実をむいた豆を水洗いして薄皮を取る「ウォッシュト」の2種類があります。慢性的な水不足であるアフリカにあるエチオピアはナチュラルが多く採用されています。
しかしフレッシュな酸味を持つコーヒー豆はウォッシュト式で精製すると、雑味がなくなりおいしいコーヒーになります。比較的水資源に恵まれているエチオピア西部の産地では、ウォッシュトに移行しつつあります。
深煎り
フルーティな酸味を活かすために一般的に焙煎は浅煎りが多いですが、一方で「ダークモカ」「モカフレンチ」という深煎りにされるものもあります。
浅煎りであればフルーティ、深煎りにすると酸味の他にも赤ワインのような香りになります。
おすすめの飲み方
最後にエチオピアのコーヒーのおすすめの飲み方をご紹介します。
使うドリッパーの種類
エチオピアのコーヒーは雑味の少ないクリアな酸味が特徴です。短時間で手短にドリップできる円錐型のドリッパーがおすすめです。香りが飛ばないうちに淹れたらすぐにできたてを味わいましょう。
金属製のコーヒードリッパーはコーヒーオイルも合わせて抽出します。水洗式の高品質なエチオピアコーヒーは、雑味が少ないのでオイルも上質です。ぜひ濃厚に抽出して味わって下さい。
モカはブラックで
甘味が控えめであるため、ミルクや砂糖との相性がよいとは言えません。できればブラックで飲む方が適しています。
コーヒーセレモニー
エチオピアでの伝統的な儀式、日本で言う茶道のような作法です。エチオピアの結婚前の女性は嗜むべきとされ、女性が中心となり家庭や儀式でコーヒーセレモニーを進行します。地域によって多少手順は異なりますが、コーヒーセレモニーで大事なことは2つ、「コーヒーの香りを楽しむこと」と「家族団らんの時間を大切にすること」です。
日本でも週末は手挽で豆を粉にしたり、ハンドドリップをして丁寧に淹れる時間を作る人はたくさんいます。エチオピアのように家族で集まってコーヒーをゆっくり飲む習慣も大切にしたいものです。
酸味系コーヒーに注目
現在エチオピアのコーヒーのほとんどはヨーロッパで消費されています。酸味系のコーヒーになじみがない日本でも今後、エチオピアをはじめアフリカのコーヒーの人気は徐々に高まっていくでしょう。