エスプレッソのオーダー方法に、「ドッピオ」というものがあります。まだまだ日本での知名度は低いですが、イタリアでは誰もが知る方法です。
そんなドッピオの意味や味、飲み方まで詳しくご紹介します。
目次
エスプレッソのドッピオとは?
コーヒーの専門用語、ドッピオとはどのようなものなのでしょうか?
ドッピオとは?
ドッピオ(doppio)とはイタリア語で、「2倍」「ダブル」という意味です。
もとはイタリアでのコーヒーショップ・バールでのコーヒーのオーダー方法です。
注文の仕方
カフェでドッピオを注文する時の言い方は、「エスプレッソをドッピオで」です。
「ダブルエスプレッソ」も同じ意味ですが、海外では通用せず、日本でしか意味が通りません。海外では「ドッピオ」と言う言葉が使われるのが一般的です。
ドッピオ以外の注文方法
エスプレッソにはドッピオ以外にも種類があります。どれもイタリアで飲まれているエスプレッソです。
- ソロ 通常のエスプレッソのことです。
- リストレット イタリア語で「狭い」という意味、ドッピオよりも味が濃くなります。
- ルンゴ イタリア語で「長い」という意味、ソロの2倍のお湯で抽出します。
ドッピオの量
2倍という意味のドッピオは、何が2倍なのか地域や店舗によって異なるようです。
豆だけが2倍?
イタリアでは、ドッピオは湯量が同じでコーヒー豆だけが2倍、という考えです。
- ソロ コーヒー豆7g 湯量30ml
- ドッピオ コーヒー豆14g 湯量30ml
実際にエスプレッソを淹れる直火式エスプレッソメーカーのマキネッタは、湯量はソロもドッピオも同じでコーヒー豆の量を2倍にして作ります。
湯量が2倍のものも
あまり一般的ではありませんが、豆だけではなく湯量も2倍でエスプレッソドッピオを作る店もあります。
- ソロ コーヒー豆7g 湯量30ml
- ドッピオ コーヒー豆14g 湯量60ml
湯量を変えずにコーヒー豆だけを2倍にする場合は、ドッピオではなく「ダブルショット」と呼ぶ店もまれにあります。
値段も2倍?
ではドッピオはソロの2倍の価格なのでしょうか?
例えば、ソロが300円だとしたら、ドッピオが350円のように、2割増しの店舗が多く、単純に価格が2倍になるということはありません。
ドリップコーヒーとの成分量の違い
エスプレッソをドッピオで淹れると、コーヒーの成分量は変化するのでしょうか?
ドッピオの成分量
コーヒーの主な成分は、カフェインとポリフェノールです。
ドッピオに使う豆の量は14gで、普通のドリップコーヒーのコーヒー豆の量とほぼ同じです。
焙煎度合いによっても変わりますが、成分量は普通のドリップコーヒー1杯分と同じです。
大きく異なる味
成分量は同じでも、エスプレッソの味はドリップコーヒーよりも濃厚です。これは淹れ方の違いが大きく関わります。
ドリップコーヒーは上からのお湯を落としてポタポタと抽出させますが、一方でエスプレッソはコーヒー豆に蒸気を高速噴射して抽出するので、方法はまるで異なります。
90℃のお湯で抽出するドリップコーヒーに比べて、エスプレッソの蒸気は100℃以上になります。
より高温で抽出されるので、濃厚な味になります。
ドリップコーヒーの豆の量を増やしてもドッピオではない
抽出方法が違うため、ドリップコーヒーのコーヒー豆を2倍にしてもドッピオとは言えません。これは豆の量が多いドリップコーヒーであり、ドッピオとは別物なのです。
エスプレッソドッピオの淹れ方
エスプレッソのドッピオでの淹れる方法は2種類、直火式と機械式があります。
エスプレッソ用の豆
まずエスプレッソ用のコーヒー豆を用意します。エスプレッソに適している豆は直火式も機械式も、深煎りです。
ドッピオは2倍の豆の量淹れますが、深煎りの苦味がある方がエスプレッソらしいコクを引き出せます。
そして挽き方は極細挽きにします。こちらもエスプレッソのコクを最大限に引き出すためです。
マキネッタ
マキネッタは直火式エスプレッソメーカーです。ポットの上部のフィルターにコーヒー豆を、下部に水を入れて沸騰させて、蒸気の力でコーヒーを抽出します。マキネッタには1杯用から6杯用までありますが、2杯用以上のマキネッタのフィルターにコーヒー豆14gと水30mlを入れて作ります。これがドッピオです。
マシンを使う
エスプレッソマシンは、エスプレッソを入れる専用の機械です。ほとんどのエスプレッソマシンにソロ用のシングルフィルター、ドッピオ用のダブルフィルターが付属されています。
エスプレッソ挽きの豆をダブルフィルターにセットして、約20秒で抽出します。マキネッタよりもエスプレッソマシンの方が圧力が高いので、より濃厚なドッピオができます。
ドッピオの味
イタリアではなぜエスプレッソをドッピオでオーダーするのでしょうか?
なぜコーヒー豆が2倍?
日本ではブラックコーヒーで飲むのが飲むのがコーヒー通のように言われていますが、イタリアを含め海外では砂糖を入れるのが一般的です。
イタリアをはじめヨーロッパではブラックでコーヒーを飲むことはほとんどなく、通常は砂糖を入れて飲みます。しかも砂糖の量はスプーン山盛り1杯入れて飲みます。
同じ砂糖の量でも、湯量が違えば味は全く異なります。砂糖を入れるからこそ濃厚なドッピオを楽しむようです。
苦味をきかせるため
イタリアではエスプレッソ以外のコーヒー、例えばカプチーノやマキアートなどのアレンジエスプレッソもよく飲まれます。どれもエスプレッソがベースで、フォームミルクを入れます。いつも飲んでいるアレンジエスプレッソよりも苦味を効かせたい時にドッピオをオーダーするようです。
ドッピオの飲み方
最後に知っておきたいエスプレッソドッピオの飲み方やアレンジをご紹介します。
イタリアでの飲み方
イタリアではエスプレッソは砂糖を入れて飲まれます。あまりかき混ぜず、砂糖が底に沈んだ状態でグイッと飲み干すのがイタリア流です。
例えコーヒー豆を多く使うドッピオであっても同じで、小さなカップに入った少ない量のエスプレッソをゆっくり時間をかけて飲むのは、はしたないとも言われるほどです。
すぐに飲む
イタリアでドッピオを飲み干す習慣があるのは、マナーだからというだけではありません。エスプレッソやコーヒーは淹れた直後から、香りや風味は徐々に減少していきます。つまりおいしいのは淹れたてです。淹れたてをすぐに飲みましょう。
ドッピオでアレンジエスプレッソ
イタリアをはじめヨーロッパでは、コーヒーをブラックで飲む習慣はなく、通常は砂糖やミルクを入れます。そしてアレンジエスプレッソは数種類あります。
ドッピオでのアレンジもおすすめです。苦味を楽しみつつ、アレンジをしてみましょう。
- カプチーノ エスプレッソにスチームミルクを入れたものです。
- コンパンナ ホイップクリームをのせます。
- ロマーノ 輪切りレモンを浮かべます。
例として「コンパンナ・ドッピオで」という風にオーダーします。イタリアではよく聞くオーダーですし、スターバックスなど大手コーヒーチェーンでもオーダーできます。
ホイップクリームをのせたコンパンナはドッピオの表面が空気に触れないので、長く風味を保てます。コーヒーは空気に触れる程風味が落ちますし、ドッピオは濃厚な分、特に味が変質しやすくなります。
カフェでゆっくりドッピオを飲みたい時は、コンパンナがおすすめです。
ドッピオでイタリアのコーヒーに親しむ
ドッピオについて詳しくご紹介しました。ほとんどの人がオーダーしたことがないと言われるドッピオですが、大手コーヒーチェーンではオーダーできます。
イタリアならではのコーヒーをぜひ味わってみて下さい。