「占領」は、軍隊など一定の安定的な組織が主に武力によってある場所を独占することです。
したがってその独占行為は、合法とされる場合がほとんどです。
「占拠」は、個人を始めその延長線上の一時的な組織が、ある場所を何らかの手段によって独占することです。
その行為は不法であることが多いです。
つまり両者の違いは、合法であるか違法であるかだと言えます。
占領の意味
占領は、主に軍隊主導による国家的な独占行為を指します。
つまり政治的課題を解決する手段として、戦争の一環として行われます。
国土の一部や都市を占領する、というような場合です。
国土全てが占領される場合もあります。
「部屋を一人で占領する」のような言い方もときどきしますが、これは占領の本来の意味の転用としての使い方です。
占拠の意味
占拠は、一時的な組織が不法にある場所を独占してしまうことを言います。
その場合、独占は占領に比べて短期的になる場合がほとんどで、実行者は法的処分の対象となることも多いです。
人質立てこもり事件も占拠の一種と位置付けられます。
しかし、独占行為が違法な占拠であるか合法な一時利用であるかが争点となり争われるケースもあります。
占領と占拠の具体例
日本は、太平洋戦争終結後の数年間はアメリカ合衆国の占領下に置かれていました。
また逆に、日本が他国を占領していた歴史的事実も多数見られます。
日中戦争から太平洋戦争の時代の台湾、朝鮮半島、中国の関東州、南洋諸島が挙げられます。
日本での不法占拠の歴史的な例としては、全学連が東大安田講堂を占拠した事件、連合赤軍が浅間山荘を占拠した事件などが有名です。
占領行為と占拠行為の行方
占領も占拠も、長期短期の違いはあっても、いずれ解消されるべき状態であることは同じです。
占領された土地はいずれかの国家に正式に属することになり、占拠された場所は合法的に奪還され原状復帰されます。
占拠の実行者は、いずれは警察組織などによって排除されるか、説得・交渉などによってその場から自主的に退去します。
いわばどちらも、人間社会にとっては望ましくない状況であると言えるでしょう。
しかし、占領された地域はしばしばたいへん長期にわたって、あるいは二度と原状復帰が叶いません。
そのような状況をどのように評価するかは、その時代の社会が決定することであると言えます。