医療系の大学で取れる資格とは?就職に役立つ資格を紹介します。

医療系大学で取れる資格

医療系の資格は、就職しやすい、安定しているなどの理由から、今も昔も人気です。この記事では、大学で取れる医療系の資格を紹介します。

        

  • 大学でなければ取れない資格
  • 大学と専門学校で取れる資格
  • 入学するときの難易度

医療系の資格は、基本的に学校で決められた内容を履修後、国家試験を受けるものがほとんどです。

その方面を目指して大学に進学すると、「国家試験に受からなければ行った意味がない」となりますので、大学進学後もかなり勉強時間を割く必要があります。

医療系の資格のほとんどが、業務独占資格です。

業務独占資格とは、その資格を持っている人だけが独占的にその業務を行うことができるというものです。

そのため、大学進学後も多くの知識を学ぶことが求められます。

また、生命に関わる資格ですので、学ばなければならないことが多く、カリキュラムもかなり密度が高くなっています。

こういったハードなカリキュラムに耐えることができるモチベーションを保って大学生活を送らなければならないので、進路決定には慎重さが必要です。

資格によっては、国家試験受験までのルートが複数ある場合もあります。

専門学校、短大、大学のいずれにも養成コースがある資格もありますので、やりやすいコースでというのも一つの手です。

ですがその職種の地位を上げるためには、はやり大学に養成コースがあるかないかで違ってきます。

となりますと、大学で学んでその資格を取った人が就職などで優遇される傾向は少なからずあります。

この記事では上に挙げた3つのポイントに焦点を当てて解説します。

医師・歯科医師

医師、歯科医師になるには、6年制の医学部、歯学部に進学しなければ国家試験の受験資格がもらえません。

つまり、6年制の大学進学以外に医師・歯科医師になる方法はありません。

医学部の数は多く、栃木、岩手、埼玉を除く全ての都道府県に国公立の医学部があります。私立大でもかなりの数の医学部があります。

医学部の特徴は、入学の難易度の高さでしょう。高校時代にかなりの学力を身につける必要があります。

一方で歯学部は国公立で12校、私立と合わせると、29校の歯学部があります。国公立の歯学部であれば、医学部と同様に高い学力が必要です。

薬剤師

薬剤師になるためには、薬学部への進学が必須です。

大学進学が必須というのは医学部、歯学部と同じですが、薬学部であっても、6年制に進学しなければなりません。

薬学部には、6年制と4年制の2つのコースを持つ大学があります。6年制は薬剤師養成、4年制は企業・研究機関で薬学研究に携わる人材育成が目的です。

気をつけなければならないのは、入学時点から6年制を選べる大学と、入学してから数年後に6年制か4年制か選ぶ大学があるということです。

6年制、4年制選択は希望調査をして行われますが、多くの場合は大学の試験の成績上位者の希望が優先されます。

大学での成績が下位だった場合、6年制、4年制への進学は選べない可能性があるということです。

6年制と4年制どちらに人気があるか?は、大学によって異なりますし、同じ大学でも、去年は4年制志望者が多かったが、今年は6年制希望者が多い、ということはよくあります。

確実に薬剤師になりたいのであれば、入学時から6年制コースに入ることのできる大学を選ぶことがポイントです。

看護師

日本の看護師養成は、看護専門学校、看護短大、看護大学、看護高等学校で行われています。

それぞれの修業年限が異なりますが、いずれの学校でも看護師国家試験受験資格が与えられます。

因みに、国立看護大学は文科省所管の大学とは異なり、厚労省所管の大学です(同じ系統に、防衛大学、海上保安大学校があります)。

大卒と同等扱い、ということになりますが、一般の学部卒業時に与えられる「学士」については学位授与機構への申請が必要です。

専門学校、短大、大学と看護師を目指すルートはいくつかあります。

2008年に高度医療に対応するため、看護師養成を大学に移管するべきという方針が示され、今後は大学での教育が中心になります。

今看護師を目指している方であれば、できれば看護大学に進学した方が、今後、待遇面で有利ではないかと推測されます。

すぐに大学はちょっと、という方であれば、専門学校などから大学へ編入という道もあります。

技師関連

臨床工学技士、放射線技師、臨床検査技師などの資格です。

臨床工学技士は生命維持管理装置の操作、点検が業務です。最近になって、集中治療室、手術室などに業務が拡大しています。

養成所は修業年限が1年の専門学校から、4年制の大学までありますが、待遇面で恵まれている機関への就職は大卒が有利です。

昇進は、大卒の方が有利という傾向はあるものの、実力主義の機関が多くなっています。

臨床検査技師は、専門学校、短大、大学いずれも修業年限は3年以上です。国家試験受験者は大卒が主流となりつつあり、大学院進学者も少なくありません。

臨床検査技師が対象となる、または資格要件に臨床検査技師であることが必要となる独占業務資格があるため、かなり人気のある資格です。

放射線技師は、専門学校、大学などで修業した人に国家試験受験資格が与えられますが、臨床検査技師と同様に高学歴化がすすんでいます。

今から目指すのであれば、就職、待遇面を考えて、大学での資格取得を考えた方がいい資格です。近年では、博士号取得者も増えています。

臨床工学技士、評者詮議し、臨床検査技師のいずれも、かなり特化した業種ですので、専門性が高く、今後は医療現場のみではなく、医療機器の開発などにも活躍の場が広がる可能性があります。

日本で最大規模の生命科学系の学会である、日本分子生物学会では、これらの技師養成系学部からの研究発表が少なくありません。

ここ10年で一気に教育レベルが上がった分野ですので、医療系志望者のみならず、理工系に興味のある高校生はチェックしておいて損はありません。

リハビリ関連

理学療法士、作業療法士の資格を取るためには、3年制以上の専門学校、短大、大学への進学が必要です。

日本理学療法士協会、日本作業療法士協会では、職能地位を上げるために、4年制大学での教育を推奨しています。

社会の流れからも、これらの資格を目指すのであれば、大学で資格取得を目指すのがよいと思います。

養成学校、養成施設は2000年と2010年を比べると2倍くらいに増えています。

言語聴覚訓練士、視能訓練士も同様に、3年以上の養成学校、養成施設へ進学することが必要です。

これらリハビリ関連の職種は、今後ニーズが高まる職種と考えられていますが、養成学校も増えており、志望者も増えると思われます。

高齢化社会となると、これらの身体機能に関する職種への負担は増えます。忙しい職種になるとは思いますが、雇用は安定するのではないかと予想されます。

しかし、資格取得後も安定して就業、昇進するためには、個々の能力を高めることが必要な職種です。

救命救急士

新しい資格の一つで、養成ルートはいくつかあります。現時点では養成から就職までのルートが十分整備されているわけではありません。

消防機関では、救命隊員として規定の実務経験があると、辞令によって養成機関に入所して養成されます。

防衛省・自衛隊でも独自の養成システムを持っていますが、これらに入所するには、消防、自衛隊への就職が必要です。

専門学校、大学にもこの救命救急士養成コースを持つ学校はあります。いずれも歴史が浅く、2000年以降の開設です。

大学で資格取得を目指す場合、大学は私立のみで、現在は国公立大で救命救急士養成学部を持つ大学はありません。

新しい資格で、また運用には不安定な部分が多い資格です。元々は医療設備外で活動をする救急隊員、自衛隊員、海上保安庁職員の活動範囲を広げ、救命率を高めるために作られました。

一般社団法人として日本救急救命士協会が設立されていますので、この協会が中心となって、今後活動範囲、活動内容の整備がされていくと思われます。

安定した就職などを優先させるのであれば、一般大学から公務員試験で消防官を受験し、消防士となった後に救命救急士を目指すのがいいかもしれません。

消防官の試験は地方自治体で行っています。総務省に消防庁がありますが、ここでは消防士の募集はありません。地方自治体での公務員試験を調べましょう。

入学するときの難易度

これらの資格を取るために大学に入るための難易度は医学部が最も高く、高校時代に成績が上位でなければ入るのは難しい学部です。

歯学部も数が少ないので、難易度は高いと考えた方がよいでしょう。特に国公立歯学部であれば、中堅国公立(広島大、熊本大、金沢大、千葉大など)の理学部、工学部に入学できるレベルは必要です。

薬学部は、国公立私立を合わせると、難易度に大きな開きがあります。

つまり、“薬学部に入れればどこでもよいし、お金は多少かかってもよい”ということであれば、薬学部に入学することはそれほど難しくありません。

看護・技師・リハビリ関連の学部は、やはり国公立は人気で競争率、難易度も高めです。

しかし、“どこでもよい”ということであれば、薬学部と同様に難易度に差があるので医学部、歯学部と比べれば難しくありません。

これらの職種の将来

資格を取ったとしても、その後、その職種がどうなるか?は非常に気になるところです。

医師の場合は就職に困るということはまずないでしょう。医師不足の地域は多く、どこかには必ず就職ができます。

歯科医師の場合、就職できる病院は医師ほど多くありません。とはいえ、ある程度の就職口は確保されています。

そしてその他の業種の就職についてです。

医師、歯科医師の他の職種は、コ・メディカルという言葉で表されることがあります。

コ・メディカルとは和製英語です。医師、歯科医師の指示のもとに業務を行う医療従事者のことです。

英語にはparamedicという言葉があり、コ・メディカルと同じ意味として扱われることがありますが、正確に同じというわけではありません。

2010年に厚労省は、チーム医療の推進に関する検討会の報告をまとめ、コ・メディカルの活用推進を国の方針とすることにしました。

昨今ニュースで報じられている医師の残業上限などにあるように、医師の過剰な勤務実態が問題となり、コ・メディカルを活用することによって医師の負担を減らそう、という流れです。

医師と同様に、看護師の過酷な業務はよく知られている事ですが、これも他の職種との連携で解消させようとする動きが高まっています。

人材を供給すれば解決するのですが、少子化によって今後養成される医療従事者の数を簡単に増やすことはできないために、各職種の連携をもっとスムーズに、ということです。

これには、医師にあった権限を、コ・メディカルに移行させる、ということも含まれています。

もともと医師がやっていた業務を、臨床検査技師、放射線技師などに譲渡するという形で、多くのコ・メディカルが成立していった経緯もあります。

こういった流れで、今後、これらの医療関係の職種は今以上に必要とされるのは間違いありません。

また、多くの場合、大学卒の資格保持者が優遇されることが予想されますので、できれば大学進学で資格取得目指すのが将来的にはよいでしょう。

また、修士、博士といった学位の取得も推奨されています。

これらの学位を取得すると、現場だけでなく、教育養成機関に教員として勤務する可能性も出てきます。

これは最近文科省が推し進めている、「実務家教員」の充実です。

大学でも、ある割合で実務家教員を雇用することが求められ、将来はその割合によって大学への補助金額が変わりそうです。

国が求める割合で実務家教員を雇用すれば補助金がもらえるという仕組みです。

この実務家教員については、新設薬学部ができたときに、絶対人数が不足し、実務家教員ができる人は引く手あまた、という現象が少し前におきました。

実務家教員は大学に着任すると、基礎系教員と共同テーマを立ち上げ、テーマによっては世界の先頭を走る研究を展開することもあります。

国が進めている実務家教員増員の流れの中で、実務家教員の不足は予想されていますので、コ・メディカルの資格、さらに学位を取るという人は貴重な人材として扱われるでしょう。

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