ピアノの面白い雑学6選。知るとためになる歴史や豆知識をご紹介

ピアノはとても身近でなじみのある楽器です。
幼稚園や小学校でも必ず一台は置いてありますよね。

そこで先生が弾いているのをみてあこがれていた、という方も多いかと思います。

しかし、実は意外と知られていないことが多く、調べてみるとおもしろい歴史や豆知識がたくさんあります。

今回はそんなピアノの雑学を6つ紹介します。

これからピアノをはじめる初心者の方、また、普段、楽譜や鍵盤に向かって練習してばかりでお疲れの方に、
ぜひ一息ついて読んでいただきたいと思います。

1.ピアノという名前


ピアノという名前は短くてシンプルですが、元はとても長い名前でした。

その名も「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」。

これはイタリア語で、日本語に訳すと「強弱がつけられるクラヴィチェンバロ」という意味になります。

クラヴィチェンバロとはピアノの祖先にあたる楽器で、最初は強弱がつけられなかったそうです。
その頃作曲された曲には強弱がつけられていません。

それがだんだん改良されていくうちに名前も略され、「ピアノフォルテ」などを経て現在の「ピアノ」になり、強弱など豊かな表現ができるようになったそうです。

その名残で、現在も、アンサンブル譜などで略して書く時に「pf」と記されることがあります。

2.音が出る仕組み

電子ピアノやキーボードは、電気の力を使って、鍵盤を弾くとボタンを押したように信号が伝わり、音が出るようになっています。

では、電池もない、コードもつながっていないアコースティックピアノ(グランドピアノやアップライトピアノ)は、どのように音が出ているのでしょうか。

アコースティックピアノにはたくさんの弦が張ってあり、そこを鍵盤につながったハンマーがたたくことで音が出ます。

それゆえピアノは鍵盤楽器でもあり、バイオリンやギターと同じ弦楽器とも、太鼓やカスタネットと同じ打楽器ともいうことができます。

弦の長さは音の高さによって違い、低ければ長く、高くなるほど短くなります。
グランドピアノのあの独特の形は、ただのデザインではなく、弦の長さによるものなのです。

アップライトピアノも、弦が縦に張ってあるだけで仕組みは同じです。

音楽の授業やピアノの調律の時など、機会があったらぜひ見てみてください。

ちなみにこの長さはピアノの種類によっても異なり、長いほど豊かに響く音が出るので、
大きなコンサートホールなどではとてつもなく奥行きの長いグランドピアノを見ることができます。
そのようなピアノは、もちろん値段もとてつもなく高いです。

3.鍵盤の謎


前述のように、ピアノには様々な種類がありますが、標準的なアコースティックピアノの鍵盤数は88と決まっています。

黒鍵が36、白鍵が52です。

なぜ黒と白なのか、違う色でもいいじゃないかと思ったことがある方もいるかもしれません。

確かに、本体の色は黒だけでなく白や茶色、電子ピアノでは赤などのおしゃれなピアノがあったりしますが、鍵盤だけはみんな白ベースで間が黒となっています。

実は、大昔、鍵盤の色は白黒逆だったことがあります。

当時白鍵には高価な象牙が使われ、黒鍵は象牙より軽い黒檀が使われていたそうです。

鍵盤数の少ないほうに象牙を使い安く作りたかった、黒鍵が多いほうが女性の白い手を際立たせるから、など理由はいろいろ言われていますが、
写真を見るとなかなか衝撃的です。

そして、今の色になったのも、白が基調のほうが見た目がいいから、象牙をたくさん使い財力を誇示したかったから、など理由は諸説あるようです。

世界中を探せば、色んな色の鍵盤を持つピアノがあるかもしれません。

4.3つのペダル


ピアノの椅子に座ると、足元に3本のペダルがついています。

これは飾りではなく、その一つ一つにきちんと役割があります。

一番よく使われるのが右側のダンパーペダルです。

鍵盤で音を出すときにこれを踏むと、鍵盤から指を離してもその音が長く響き、余韻が残ります。

これを使えば、十本の指で十本以上の鍵盤の音を同時に響かせることができます。

次に使われるのが左側のシフトペダル(ソフトペダル)です。

グランドピアノは一つの鍵盤に弦が三本ついていて、それをハンマーがたたくことで音を出しています。

シフトペダルを踏むとハンマーが一斉に横にずれ、一つの鍵盤に二本の弦しかたたかなくなります。

そのため、音がやや弱くなり音質も変わるので、必要な時はこれを踏んだまま演奏します。

アップライトピアノでは、このペダルを踏むと弦をたたくハンマーが一斉に弦に近づき、動きが小さくなるので、音を弱くすることができます。

最後に、真ん中のペダルは、グランドピアノとアップライトピアノで用途が異なります。

グランドピアノはソステヌートペダルと言って、残したい音の鍵盤を弾く直前に踏むと、その音だけ余韻が残り響きます。

これはピアノ経験者でもなかなか使う機会の少ないペダルです。

アップライトの場合は、マフラーペダルと言って、これを踏むとハンマーと弦の間にフェルト(布)がおりてきます。

その上からたたいて音を出すので、音がとても弱くなり、こもったようになります。

これは踏んで横にずらすと固定することができるので、マンションなどで小さな音で練習したいときによく使われています。

電子ピアノなどではヘッドホンを使えば音を出さずに練習できるので、ペダルが左右の二本しかないものも多いです。

5.ピアノを持ち込んだピアニスト

世界中で演奏会を開くピアニストたちは、基本的にはそのコンサートホールにあるピアノを使って演奏します。

バイオリンなどと違い、自分のピアノを持ち運ぶのは困難だからです。

同じピアノといっても種類は様々ですし、まったく同じ種類でも、使用頻度や調律の仕方、
またその日の温度や湿度によって、鍵盤の重さや音の出方が変わってきます。

ピアニストたちはリハーサルでそのピアノの感触をつかみ、音の響かせ方や強弱の付け方、ペダルの踏み加減など、微調整しなくてはなりません。

自分がいつも弾いている、お気に入りのピアノで弾けたらどんなにいいか、と考えるピアニストも多いのではないかと思います。

しかし、ホロヴィッツやミケランジェリのように、常識を覆し、世界各国へ自分のグランドピアノを持ち込んで演奏したピアニストがいました。

彼らは神経質だったり完璧主義者であったり、ピアノに対してのこだわりがかなり強かったようです。

それにしても、どのように運んだのでしょうか。
飛行機にはのせられないだろうし、船にのせるにしても港へ運ばなければならないし、
人手や費用の面でも、とても大変だったと思います。

6.ト音記号のト


最後は、ト音記号についてです。

ピアノだけでなく様々な楽譜に出てきますが、ト音記号の「ト」ってなんだろうと思ったことはありませんか。

「ト」とはずばり、ドレミファソラシドの中の「ソ」のことです。

ドレミはイタリア語で、日本語(和名)では、いろはうたのイロハを使ってハニホヘトイロハと表記します。
ハ長調、イ短調、など耳にしたことがあるかと思います。

ちなみに英語ではCDEFGABCとなります。

ト音記号をよく見てみると、五線の中の「ソ」の場所から、小さい円を描くように書かれているのがわかります。

ソの音(トの音)から書く記号、だからト音記号と名付けられたそうです。

英語ではGの音からなのでG clef、また高音域という意味のtreble clefとも言うそうです。

同じように、ヘ音記号はピアノでいう中央のドのすぐ下にあるファの音が基準になっています。

また、書く場所を変えることができ、基準になるところがドになる、ハ音記号というものも存在します。

ハ音記号は、ピアノではなく管楽器や弦楽器の楽譜で見ることができます。

まとめ

このように、ピアノや音楽について深く知っていくと、演奏や練習がもっと楽しくなってくると思います。

ここでは紹介できませんでしたが、今練習している曲がある方は、
作曲家や楽曲が作られた際のエピソードなども調べてみると、おもしろい事実が隠されているかもしれません。

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