【土偶】と【埴輪】の意味と違い、使い分けや使い方

テレビで古代の歴史番組を見ていると、必ず「土偶」や「埴輪」と呼ばれる、人間や馬などを模った粘土の人形のようなものが映されます。

粘土でできた人形と覚えてしまうため、両者を混同している人が少なくありません。

形の違いで言うと、土偶は女性の姿を現しており、大きな臀部や乳房を持っています。

一方、埴輪は人間の他、壺や道具、動物など様々なものがあります。

土偶の目的

土偶は狩りや漁が生活の中心だった紀元前の縄文時代に作られます。

土偶には男性や動物をモデルとしたものもありますが、ほとんどは女性をモデルにした豊満な体型のものが多くなっています。

それは、安産の祈りや豊穣の祈りとして作られているからです。

また、一部を意図的に壊されたものが多くありますが、怪我や病気を治すおまじないになっています。

埴輪の目的

埴輪は3~7世紀の古墳時代に作られたものです。

その時代は稲作が発展したことで共同社会が確立され、指示をする有力者が現れます。

埴輪の多くが古墳の周りに置かれているのは、有力者を弔うことが目的だからです。

また、埴輪の目的には聖域を囲む柵の役割も含まれています。

埴輪は権力の象徴でもあるため、人物だけではなく、馬などの動物や武器などを模ったものもあります。

発見場所の違い

縄文時代は人間が集団で暮らすだけの社会であったため、土偶が発見されるのはほとんどが生活の場であった集落跡です。

そして、土偶には自然や病気、ケガへの脅威を鎮めるための祈りが込められています。

一方、古墳時代になると組織という縦社会が構築されてきます。

そして、埴輪は有力者の権威の証として作られており、多くが古墳のそばにあります。

環境の変化

土偶は集団生活の中で作られ、埴輪は有力者の葬儀用の飾り物として作られます。

なお、土偶は単に焚火に土偶を入れて焼き上げる「野焼き」という方法で作られます。

一方、古墳時代になると、埴輪を作る職人が現れます。

そのため、埴輪を作る技術が発展し、「窯」の中で高温で焼き上げるようになります。

その結果、ススが付いていない埴輪が見られるようになります。

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