高校生が不登校になる原因とは?将来の不安や家族ができる対応の仕方

不登校、と聞くと小学生くらいの小さな子どもをイメージする方も多いのではないでしょうか。しかし、高校生の不登校生徒というのも決して少なくはありません。

確かに小・中学生から不登校を引きずってしまっているケースもありますが、高校生というものは色々と精神的な負担を強いられる部分が多いものです。

  • そもそも義務教育ではない
  • 周囲の人間関係がガラリと変わり、地元から離れることも
  • 将来の進路を明確に決めなくてはならない

高校生が感じている負担は分かりやすいものだけでも、これだけあります。
見えない部分ではきっと、負担に感じる部分はまだまだ存在することでしょう。
ですから、「高校生にもなって不登校なんて……」ということは全くないのです。

それでも、子どもが不登校になってしまうと、やはり気になりますよね。
不登校になっている子どもへの対処は、どうしても根気がいるものですが、不登校のことを理解出来ているかどうかだけでも、状況はかなり違います。

不登校は決して「失敗」ではないということを念頭に置いた上で、この記事を参考にして頂けたらと思います。

高校生の不登校と、その原因とは?


小学生の不登校は家庭内不和によって引き起こされることが比較的多いのですが、高校生の場合は家庭外に原因があることの方が多いようです。
勿論例外はありますし、複数のケースが一緒になって発生している場合もあります。
ですが、主な原因としては、どのようなことがありうるのでしょうか。

具体的な理由を挙げていきます。

将来への漠然とした不安

高校の系統にもよりますが、高校では早々に進路を決めることを求められます。自分の進路選択によって、授業の構成やクラス編成に影響が出ることも多いです。

そのため、どうしても将来のことを意識させられ、「本当にこれで良いのか」、「自分は大丈夫なのか」と漠然とした不安を抱く子どもも少なくはありません。なかなか進路が決められず、周囲に急かされ、焦ってしまう子も多い筈です。

中には家庭の事情から望む進路に進めない子や、仲の良い子と離れ離れになり、高校生活を楽しめなくなる子も存在するのではないでしょうか。そして大学入試に挑む子どもの場合、思うように伸びない成績に絶望してしまうこともあるでしょう。

不安に押しつぶされ、学校にいくことが出来なくなってしまう……そんな子どもは、何年生であっても存在します。

人間関係での躓き


いじめに遭い、学校にいけなくなるパターンが1番分かりやすいのですが、高校生になると大人と大差ない複雑な人間関係を築くことも多く、いじめだけが原因ではなくなってきます。

中学生で対人関係に躓いてしまう子に多いのは、部活動などで先輩との上下関係を苦に感じる例で、これは高校生でも目立つケースです。高校生の場合は地元から離れて全く知らない先輩と1から関係を作っていくことになるため、むしろ高校生の方が顕著に見られるところがあります。

いじめとまではいかなくとも、友人との関係がギクシャクしてしまい、それを苦に感じて学校に行くことができなくなるケースもあります。また、教員との関係が悪くなるパターンも存在するのが事実です。

人間関係で躓いてしまった場合、辛い感情を押し殺してどうしようもないところまで抱え込んでしまうことも多いです。そのため、急に不登校になってしまった……という展開が多いのがこのケースです。

無気力

高校生の不登校で1番気になるケースがこの『無気力』です。
『燃え尽き症候群』とも呼ばれていますね。

何か不安があるだとか、嫌なことがあるだとか、何かしら理由があるわけではなく、何故かやる気が出ない……本人もどうして良いか分からなくなっている場合はこのパターンであることが多いです。

このケースは高校生の不登校のパターンでも比較的多く(全体の4分の1くらいです)、小学校・中学校で優等生タイプだった子どもが急に無気力になってしまうこともあります。

勿論例外もありますが、本人は怠けたくて怠けているわけでもないということを、忘れないようにして下さい。

高校生で不登校になることの問題点


高校生で不登校になった場合、実はいくつかの問題があります。
そのため、周囲が必要以上に焦ってしまい、状況が悪化してしまうケースが多いのも現状です。

高校は義務教育ではない

小・中学校からずっと不登校の生徒が直面しやすい問題でもあるのですが、高校は義務教育ではありません。ですから、どうしても『出席日数』が重要視される部分があります。

大半の高校は、授業全体の3分の2以上に出席していることが授業の単位を認める最低条件としています。そのため、授業を休みすぎてしまうと、学校側も単位を認めたくとも認められなくなってしまうのです。

ただし学校も不登校生徒について何も考えていないわけではなく、場所によっては課題や休暇中の登校指導といった救済措置を取ってくれることもあります

引きこもりやニートにシフトしやすい

高校の後は、就職もしくは進学です。
どちらを選び、そしてどのような場所に進むかは子どもが決定することになります。

ですが、高校を中退もしくは辛うじて卒業できた不登校生徒の場合、この進路設定が上手くいかないことが多々あるのです。
また、現在引きこもりになっている方の30%以上が10代の時点で不登校などの問題を抱えていたというデータも存在します。

小・中学生の不登校とは異なり、高校生の不登校にはこのような問題が見られることも見逃すことの出来ない事実です。

不登校の子どもへの接し方

上記の問題点を見て、尚更焦ってしまった方も少なくはないと思います。
ですが、意外と子ども本人はこのことに気付いていて、本人も何とかしようともがいていることが多いです。ですから、下手な行動を起こすことは避けた方が無難でしょう。

不登校生徒への対処として大切なことは

  • 親御さんだけに全てを背負わせず、学校や専門機関に力を借りる
  • 基本的には待つ。急かしたり責めたりしない
  • 周囲が先に折れないように気をつける

……といったことが挙げられます。
特に大切なのは1番下の「周囲が先に折れない」です。

不登校や引きこもりといった問題を抱えてしまうと、それを何とかしようと周囲、特に親御さんが焦り、しかし変わらない現状に心が折れてしまい、連鎖的に問題が発生するというケースが多々あります。
親子共々精神科へ、という状況も少なくはありませんし、無理心中など最悪の事態が発生する可能性も存在します。

不登校は、決して「教育の失敗」ではありません。ですから、積極的に外部に助けを求めていくことが必要なのです。
カウンセラーやサポート団体に助けを求めた結果、上手くいったケースも多々あります。

基本的には待ちの姿勢、そして状況に応じて登校刺激を与えていく。

状況は簡単には変わりません。ですから、まずは周囲が心を強く持つことが大切なのです。

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