指をかむ人の心理とは?噛み癖を克服するための5つの対処法をご紹介。

指をかむ癖が治らないという人は少なくないと思われます。

指をかんでしまう人は、やめたいと思ってもどうしてもやめられず、かみすぎてしまった結果指先や爪が荒れてしまいますが、それでもやめることができません。

そのような癖がない人からすると、いったいなぜやめることができないのか不思議で仕方がありません。特に、お子さんがこのような癖があり悩んでいるお父さん、お母さんは困ってしまうでしょう。

実は指をかむという行為には理由があります。なぜ指をかんでしまうのか原因がわかれば、対処法が見つかってきます。

この記事では指をかむ心理と、指をかむことをやめるための克服法を紹介していきます。

指をかむ心理

口唇欲求行動によるもの

ほ乳類の赤ちゃんには、本能的に母親の母乳を吸う欲求が備わっています。

オーストリアの精神分析などで知られるフロイトは、この口で吸うという欲求を満たしていく0歳から2歳くらいまでの時期を「口唇期」と名付けました。

この口唇期には、口で吸うという欲求を満たしていくこと、また母乳を吸うときに母親の愛情を感じ、安心感を得るといった課程を十分に経験することが必要で、これが不足するとのちに成長したときの性格や行動に問題が生じていくとされています。

口唇期に十分な欲求を満たすことができなかった人は、成長しても口への刺激を求めて「口唇欲求行動」を行います。

例えば唇を触る、タバコを吸う、ガムをかむなどがありますが、その中の一つとして指をかむというものがあるのです。

この「口唇欲求行動」は、緊張したとき、イライラしたとき、寂しいときなどストレスを感じたときに口を刺激することで安心感を得ようとするというもので、つまり指をかんでいるときは何らかのストレスが生じているということになります。

自傷行為によるもの

「リストカット」という言葉を知っている人は多いでしょう。精神的なストレスがあるときに、落ち着くために手首を切るというものです。

「自傷行為」というとこのリストカットを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、不安感を抑えるために指をかむということも自傷行為のうちに入るのです。

大きな傷が出来たり、血が流れたりしていないのに自傷行為と呼ぶことにピンと来ない方もいるかもしれませんが、気持ちを落ち着かせるために体に痛みを加えるということ自体が自傷行為なのです。

もしお子さんがかみすぎによって指を痛めたり爪がはがれたりしてもまだかむことがやめられないという場合には、お子さんにストレスがかかっていることがないか考えてみましょう。

大人の場合も、自傷行為としてかんでいる場合には必ずストレスを感じていますのでストレスの原因を探っていきましょう。

指をかむということ以外で気持ちを落ち着かせるための方法を見つけ、体を痛めつけなくてもストレスをやり過ごせるようにしなければ指をかむという行為はおさまらないでしょう。

自傷行為をして痛みを感じると、痛みをやわらげるためにエンドルフィン、エンケファリンという脳内物質が分泌されます。

このような物質は脳内麻薬とも呼ばれており、分泌されることによって快感を覚えることができるため依存性があり、さらに自傷行為を続けることによって物質に対する耐性もできてしまいます。

そのため、今はまだ指をかむことで済んでいますが、これを放置しているとさらに過激な自傷行為に発展する恐れもありますので「指をかむくらいなら大丈夫か」と軽く見ることはやめましょう。

暇つぶしのため

ここまで指をかむという行為の心理についてご紹介してきましたが、深刻な理由ばかりではなくただ暇つぶしのために指をかんでしまうということもありえます。

小さい子供であれば、特にやることがなく手持ちぶさたなときに一番手っ取り早いのが手遊びをすることです。

また、幼い子供は口にものを入れる癖もあるため、たまたま口に指を入れてしまったことが癖となり、指をかむのをやめられなくなるということもあります。

しかし、先に述べたように深刻な理由でやめられないということでもないですし、またこのケースの場合は成長とともに自然とやめられるということもあるため、本人が精神的に問題を抱えていない場合には今すぐやめさせないといけないと思いつめなくてもよいでしょう。

指をかむのをやめるための対処法

ここまで、指をかむ心理についてご説明してきました。次に、どのようにすれば指をかむのをやめられるのか、その対処法についてご説明していきます。

指を保護する

指をくわえることに抵抗感を覚えられるように指先を保護することであっさりかむのをやめられることもあります。指先を保護する方法はいくつかありますのでご紹介します。

マニキュアを塗る

爪をかんでしまう人のために、口に入れても大丈夫な素材で苦い味がするマニキュアが売られていますので、使用することをおすすめします。

特に子供の場合、言葉で理解させようとしてもなかなか難しいですが、このように指先に細工をすることで指をかむことは良くないと理解することができるでしょう。

爪自体はかまないという場合でも、指をかんだときに爪に歯が当たりマニキュアがはがれますので、爪を見ることで普段どのくらい指をかんでしまっているか目で見てわかることができます。

マニキュアに抵抗がないという方はまずマニキュアを塗ってみることをおすすめします。

ばんそうこうや医療用テープを貼る

マニキュアに抵抗がある、またはマニキュアを買うことができないという場合には、ばんそうこうや医療用テープを指先に巻き、かめないようにしてしまいましょう。

どうしても指をかむことがやめられないという人でも、ばんそうこうや医療用テープをかみたいという人はほとんどいないと思われます。

また、ばんそうこうや医療用テープで指先を保護していれば、視覚的に「指は大事にしなければならない」という意識を持つことができます。

また、ばんそうこうや医療用テープの上からかむという行為は周りの人から見れば異様に見えてしまうため、本人も周りの視線を意識して人前ではかまないようにしようと気を付けるようになります。

ストレスを軽減させる

自傷行為として指をかむことをしてしまっている場合には、まずストレスを取り除くことが重要です。ストレスを自覚できていなくても、指をかんでいる時点で精神的にはかなりの負担がかかっています。

特に精神的な症状が見当たらない場合は、仕事が忙しい方は夜自宅でゆっくりする時間を作ったり、休日にショッピングに行ったりするなど自分にあった方法で気分転換をしてみましょう。

食欲がない、何もやる気がおきない、不安感が強いなど精神的な症状と思われるものがある場合には、精神科や心療内科を受診してください。また、そのときには指をかんでしまうということも伝えた方がよいでしょう。

いずれにしても、先ほども述べたように自傷行為は次第にエスカレートしてしまう恐れがありますので、早い段階での適切なケアが必要です。

記録をつける

ストレスといっても、いったい何にストレスを感じているのかわからないという方もいるでしょう。そのような方は、指をかんだときの記録をつけておくことをおすすめします。

記録については、指をかんでしまった日時や、そのとき気になっていること、嫌な気分になったことがあれば書いておきましょう。

データが溜まっていけば、自分がどのようなことでストレスが溜まり、指をかむという行為につながったかがわかるようになります。

日記は、自分がどのようなことにストレスを感じるかわからない方に特におすすめです。

今は何がストレスなのかわからなくても、あとから指をかんでしまった日時と照らし合わせることで、この出来事がきっかけでストレスが溜まったということがわかりやすいからです。

指をかむという行為は無意識にしてしまうことが多いですので、完璧に記録をつけるのはなかなか難しいでしょう。完璧にしようとしてもストレスがかかりますので、気付いたときに付けるようにしてください。

手や口を別のことに使う

先に述べたように、指をかむということには幼いころのなごりである口唇欲求行動や、手持ちぶさたで何となくかんでしまうといった理由があります。

指をかみたくなったときに別のことに口や手を使うようにすれば、これらの理由から指をかんでしまうということはなくなります。

例えば、指をかむ代わりにガムをかむ、あめをなめるなどして口を別のことに使ってしまいましょう。

もともと口唇欲求行動があるタイプの方は、ガムをかんだりあめをなめたりとその人なりの好みの方法で欲求を満たしています。

指をかむことを、ガムをかむことやあめをなめることに代えても口唇欲求行動は十分に満たせるということです。

手持ちぶさたのせいで指をかんでしまうという方には、ストレスボールというものがおすすめです。

ストレスボールとは、ゴムやウレタンなどの素材でできた手のひら大のボールで、握ることでストレスを発散させるというものです。

手持ちぶさたなときにはストレスボールを握っていれば、物理的に手がふさがってかむことがなくなります。また、ストレス発散にもなりますのでストレスボールは一石二鳥の方法であると言えます。

お子さんの場合には、指を動かすタイプの遊びをするというのがおすすめです。手遊びはどんな場所でも気軽にできるため、なるべくお子さんが手持ちぶさたにならないようにこまめに手遊びを促すのがよいでしょう。

手遊びは保育園や幼稚園で教わるもののほかにもたくさんの種類があり、「手遊び」でインターネット検索すると多くの手遊びが紹介されています。簡単に始めることができるのでぜひ調べてみてください。

また、折り紙、粘土細工、あやとりなど、手遊びのほかにも指を使った遊びはたくさんあります。

手遊びばかりを頻繁にしていると手遊びに飽きまた指をかむ行為が始まってしまいますので、これらの遊びを組み合わせながら、なるべくお子さんが手持ちぶさたにならないようにしていきましょう。

周りの人が声がけをする

指をかんでしまってなかなか自分だけの意志ではやめられないという場合には、周りが協力することも必要です。

お子さんの場合には、なかなかお子さんの意志ではやめられないと思いますので親をはじめとした周りの人がお子さんを注意深く見てあげ、指をかみそうになったら声がけをしましょう。

このとき「赤ちゃんじゃないんだよ」「またかんでるの?」「汚いでしょ」など、お子さんの自尊心を傷つけ、また責め立てるような言い方は避けるようにしてください。

また、保育園・幼稚園内など周りに大勢の人がいるところでの注意もやめた方がよいでしょう。

注意する際は「かまないようにしようね」など優しい声がけが基本です。また、お子さんの指に優しく触れ、かむことについて直接言葉にしないという方法もおすすめです。

成人の場合には、「もう指をかまないようにするから、かみそうになってたら言ってね」など本人が周りに宣言するのがよいでしょう。

まず宣言をするということだけでも効果がありますし、周りの目があると意識することでかみたくても思いとどまれるようになります。

指をかむことの危険性を知る

指をかむとどのような危険性があるのか知ることで、指をかむことに抵抗感が生まれやめられるようになることもあります。

まず、指をかみ続けることで指や爪が変形してしまう恐れがあります。

また、爪もかんでしまうような人は前歯やあごに影響が出てしまうこともあることがわかっており、指をかむことは見た目に悪影響しか及ぼしません。

また、指をかむと指についていた雑菌が口に入ります。また、かんだときに指に傷ができると傷口から雑菌が入り、膿ができてしまうこともあります。

2018年には、イギリスで爪をかんでいた男性が傷口から雑菌が入り敗血症という病気になってしまったと報じられました。

男性は入院し処置を受け命に別状はありませんでしたが、最悪の場合には多臓器不全で亡くなる可能性もあったということです。

お子さんには自尊心を育てるために指をかむと「子供っぽく見られる」「不潔な人と思われる」などは言わない方がよいと思われますが、成人の場合にはこれらの周りに与える印象というものも強く意識した方がよいでしょう。

指をかむということには、メリットとしては安心感が得られるということくらいしかなく、デメリットの方がはるかに多いということを理解し、特に衛生的な観点からは今すぐやめた方がよいことだと言えます。

まずは心の問題に向き合ってみよう

指をかむ心理と、指をかむのをやめるためにはどのような方法があるのかについてご説明してきました。

指をかむという行為にはその人の心の問題があることが多いため、やめたくてもなかなかやめられずに悩んでいる方が多いと思われます。

しかし、本人の心の問題を解決することで、指をかみたくなる原因がなくなり気付けば指をかむ癖がなくなっているということもあるのです。

まずは心の問題と向き合ってみることをおすすめします。

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