最近はマシになってきたとはいえ、以前として「100社受けて全部落ちた」だとか、「圧迫面接が続いて耐えられない」だとか、とにかくあまり良い話を聞かない就職に関する話。
就職は当然のことながら、不登校生徒にとっても決して無関係な事柄ではないのです。
- 普通に卒業しても就職難なら、不登校じゃどこにも行けない?
- 学校で躓いた子どもが、ちゃんと働けるかどうか……。
- このままニートになってしまうんじゃないかと不安。
不登校の子どもを持つ親御様は、大抵このように不安の声を発されます。
そもそも「子どもが不登校」というだけで不安を抱かれているであろうことは確かですので、それは無理もありません。
ただ、よく考えてみてください。『不登校』って、つい最近聞くようになった言葉でしょうか?
違いますよね。そう、不登校は昔からあるのです。しかし、大抵の子どもは無事に就職し、活動しているのです。そうでなければ、今頃もっと深刻な社会問題となって連日ニュースを騒がせていることでしょう。
不登校になってしまったからといって、必ずしも就職できないわけではないのです。
ですから、まずはご安心下さい。ただし、『特定の条件』を満たしてしまうと確かに厳しい面も出てきます。その点だけ念頭に置いた上で、記事をお読みください。
普通に卒業しても就職難なら、不登校じゃどこにも行けない?
企業面接。結局は面接時の意欲や態度に左右される部分が大きかったりします。
確かに数多の応募が殺到する大企業ですと、不登校経験が採用不採用に関わることもありますが、余程の大企業でなければさほど関係ないと言えるでしょう……そもそも、実は『高卒』ならばそこまで就職難でもないのです。
高卒は大卒と比べると初任給に差がありまよね? 近年の不景気によって「高い給与を要求される大卒よりも高卒を」という動きが多くの企業で見られ、実は大卒よりも高卒の方が内定を貰いやすい傾向が出ているのです。
ですから、極端に人気のある企業を選ばず、なおかつ高校さえ卒業出来ていれば、就職はさほど難しくはないのです。
むしろ、悲しいことに「就職を最終目標とするのならば、下手に大学に行ってしまうと目標が遠ざかる」とまで言われています。
不景気な今だからこそな部分もありますが、高卒というのは大切な勝負のカードと成りうるのです。
ただし高校を卒業できなかった、つまりは中卒である場合は難易度が跳ね上がってしまいますので、何とか高校は卒業しておきたいところ。
仕事を選ばなければ無くは無いのですが、非常に職種の幅が狭まってしまいますし、給与的にも不安定です。今後のためにも高卒という肩書きだけは最低限取得しておくことを推奨します。
最終学歴を中卒にしないために通信制高校に移り、そこで単位を取って卒業する・高卒認定試験に合格するといった手段もありますが、可能であればそのまま高校は卒業しておきたいところですね。
学校で躓いた子どもが、ちゃんと働けるかどうか……。
お気持ちは分かるのですが、これは、間違っても不登校の子ども『本人』には漏らしてはいけない不安ですね。言ってしまえば子どもは必要以上に気にしてしまい、就職活動自体を怖がってしまう可能性があります。
大抵の子どもは「自分が不登校である」ことを気にして、恥ずべきことと考えている傾向はあります。傷口に塩を塗りこむようなことをしてはいけません。
むしろ、子どもが「就職する」と言うのであれば素直に応援するべきです。
企業面接に行くときには笑顔で送り出してあげましょう。
不採用になってしまったり、はたまた運悪く圧迫面接を行う会社に当たってしまったりすることもあるでしょうが、そこで子どもが折れても「やっぱり無理だと思ったんだ」などとは言ってはいけません。
少なくとも子どもを支える大人は、子どもが受けた企業との縁が無くとも、子どもが嫌な面接官と当たってしまっても、「運が悪かったんだ」と流せる余裕を持つべきと言えるでしょう。
子どもは意外と親の顔色をよく見ていますので、親が落ち込んだり、憤ったりしていてはそれを感じ取って精神的に不安定になってしまうものなのです。
そもそも、学校はなかなか変えられないものです。不登校になってしまう程追い詰められた子の中には「学校以外に居場所が無い」と勘違いしていることも多いのです。
ですが、職場には人事異動というものがありますので、学校と比べると比較的置かれている環境が変わりやすく、不登校を経験していた子どもでも長期に渡って在職し続ける傾向があります。
特に人間関係のトラブルが理由で不登校になっていた子どもなら、そのトラブルを起こした相手と合わずに済む分、大した問題もなく勤め続けることが出来る場合が多いです。
そもそも仕事は「退職」という選択を、入学金諸々が関わってくる「退学」よりも選びやすいところがありますから、ある意味逃げ道があるようなものです。
学校よりも逃げやすいため、気持ち的にもきっと楽なのでしょう。
本当は学校生活においても「逃げる」という選択は可能な筈なのですが、不登校の子どもはやや視野が狭くなっている傾向があります。
逃げられないという絶望感のせいで、登校出来なくなっている可能性があるのです。
まだ不登校中の場合、「逃げても良いんだよ」と言ってあげることによって不登校が改善することもありますから、仕事のことを例に上げて話してみるのもひとつの手かもしれません。
このままニートになってしまうんじゃないかと不安。
確かに不登校からニート、という流れも少なくはありません。事実、不登校だった子どもは若干ではありますが、通常通りに学校を卒業した子どもよりも高い確率でニートになりやすい傾向があります。
しかし、100パーセントそうなると決まったわけではありませんし、割合で考えればニートになる可能性はそんなに高くはありません。むしろ、ニートの可能性は皆平等に持っているものなのだということをご理解下さい。
どちらかというと、子どもの今後が不安になって一方的に「ちゃんと働いてよ!」と言ってしまう方が何らかの悪影響を与える可能性が高いので、極力、何も言わずに見守り続けるべきでしょう。言いたいことは沢山あると思いますが、ぐっとこらえて下さい。
本当に怠惰傾向のある子どもの場合はそうだと言い切れない部分がありますが、基本的に不登校の子どもは将来のことを悲観しがちです。
放っておいても自分で考えているのです。そしてどんよりと落ち込んでいることだってあります。そこに親からの圧力が加わることは、決して良いとは言えません。
引きこもりがちで、外に出ることに強い恐怖心を持っているのであれば、まずはアルバイトやボランティア活動を勧めてみると良いかもしれません。
いきなり正社員および正社員採用されるための試験を受けることが厳しい状態の子どもでも、「アルバイトなら……」と前向きに考える場合もあります。
ボランティア活動の場合はほとんど金銭が動きませんので、アルバイト以上に前向きになるかもしれません。子どもの性格に応じて、どちらを勧めるか考えてみましょう。
どちらにせよ、家でダラダラする状態が続いているのはあまり良くはありません。怠けてしまう、というよりは余計なことまで考えてしまいます。
ですから不登校になり始めの一番危うい時期を乗り越えた後は、家事の手伝いだけでもするように促した方が良いでしょう。
身体を動かせば、気は紛れます。これは働くことにも通じますので、動くことの良さを実感し、外に出る意欲が生まれるかもしれません。余計なことは言わず、あまり深く考え込まないようにだけ注意して行動を促してみましょう。