職場の悩みについてもっとも多く聞かれる声が、人間関係についての悩みです。
比較的ドライな欧米と違い、日本の会社では職場の人間関係が重視される傾向があります。
よく言えば和を大切にすると言えますし、悪く言えば人の目を気にしすぎるとも言えます。
人間関係がスムーズであればよいのですが、一度拗れたり問題が起きたりすると、大きな悩みのタネとなります。
悪くするとストレスを抱え込み過ぎて、うつ病などの気分障害や心身症を引き起こしかねないとも限りません。
人付き合いは大切ですが、適切な距離感を持って職場の人と接するのが、快適に働くためのポイントとなります。
そこで今回は、人間関係をスムーズにするために大切な距離感について考えてみたいと思います。
目次
人間関係の悪化がもたらすデメリットとは
まずは人間関係の悪化がもたらすデメリットについて考えてみましょう。
職場の人と近づきすぎたために、関係が悪化してしまった例をいくつか紹介します。
関係が悪くなると悪評を立てられる
人と人は、親しければ親しいほど、相手のちょっとした態度や言動を気にします。
そして一度関係が悪くなると、親しかった分気持ちが逆転も大きく、必要以上に相手を悪く考えてしまいがちです。
最悪の場合は陰口をたたかれたり、いわれのない悪評を広められてしまい、会社にいられなくなってしまうケースもあります。
職場の人と親しくなるのは大変結構ですが、長く働き続けるためには、一定の距離感を保つのが大切なことを気に留めておきましょう。
関係の悪化は仕事にも影響する
少々職場に居づらいという程度であれば、仕事は仕事と割り切ってしまい、なんとかやりすごせるかもしれません。
ですが、関係の悪さが日々の仕事にまで影響を与えてしまっては問題です。
仕事を頼んでも受けてもらえない、情報を自分には回してもらえないなど、嫌がらせを受ける場合もめすらしくありません。
人間関係の悪化は、ひどくなると仕事にまで影響を与えてしまうのです。
精神的な負担は軽くない
人間関係の悪化による精神的なストレスは軽くありません。
プライベートであれば、距離をおいて付き合う方法もありますが、職場では毎日のように顔を合わせなければならいため逃げ場がありません。
親しくしていた関係であればあるほどショックも大きく、人間不信に陥ってしまう場合もあります。
また我慢しすぎてストレスが限界になると、うつ病などの気分障害や心身症を引き起こさないとも限りません。
身体を壊してしまえば、働き続けるのも難しくなりますし、復帰できるまで時間もかかります。
最悪の場合、仕事を辞めねばならない状況になってしまうかもしれません。
職場の人と適切な距離感を保つには
職場での良好な人間関係を保つためには、適切な距離感を意識することが大切です。
では具体的にどのような点に注意すればよいのでしょうか。
いくつか具体的な例を紹介してみたいと思います。
挨拶は笑顔を忘れずに
職場の人と距離を保つとはいっても、よそよそしい態度やそっけない振る舞いはいけません。
あくまでも適切な距離が大切なので、離れすぎてもいけないのです。
良好な関係を築くためには、挨拶が大切です。ポイントは笑顔を忘れずに、自分から挨拶をすることです。
気持ちのよい挨拶をしてくれる人に対しては、誰でもよい印象を持つものです。
プライベートまで親しくする必要はありません。日々の挨拶をきちんとするだけで良い関係が保てます。
感謝や謝罪の気持ちはしっかりと伝える
あれこれ親しく会話をする必要はありませんが、仕事に関するコミニュケーションはきちんととりましょう。
ですが仕事とはいえ、あまり事務的な口調では、相手に冷たい印象を与えてしまいます。
ほんの少しだけ感情が感じられるように伝えるのがポイントです。
特に仕事で助けてもらった時のお礼や、ミスや迷惑をかけた場合の謝罪などは、しっかりと自分の気持ちを伝えるのが大切です。
あなたの人間的な面が少し見えるだけで、周りの人からも共感が得られるでしょう。
プライベートに関しては聞きすぎず話しすぎない
ちょっとした休憩時間やランチの時など、複数の人間がいる場でプライベートに関してあれこれと話すのは控えましょう。
これは他人の話しはもちろん、自分のことであっても同様です。
自分のことなら問題ないと思うかもしれませんが、自分のプライベートをあれこれ話す人は、他人のプライバシーも大切にしないのではないかと思われてしまします。
重たい家族の事情や、恋人との深い恋愛話などは、公の場で話さないのが無難です。
もちろん他人のプライベートについてあれこれ詮索するのは厳禁です。自分からはあまり聞きすぎないように注意しましょう。
プライベートに関しては、聞きすぎない、話しすぎない態度を忘れないようにしてください。
悪口に関しては明言を避ける
もっとも注意が必要なのは、話題がそこにいない人の悪口になった時です。
そのような時は、話しを聞きつつも自分からは同意も否定もせず、明言を避けるのが賢明な態度です。
その場にあわせようとして、「そうだよね」などと同調してしまうと、あなたも悪口を言っている人の一員となってしまいます。
もしその話しが悪口の当人や他の人に聞かれてしまった場合、あなたの人間的な評価も下がります。
人の悪口を言う人は周りから信用されません。今度はあなたが周りから疎外されてしまうかもしれません。
また悪口に対して明言を避けることで、あなたが一定の距離を保とうとしているのが周囲にも伝わりますので、不必要に相手が近づいてくるのを避けることができます。
仲の良い人を作ろうと無理してはいけない
会社はあくまで仕事をする場所なので、無理に仲良しの友達を作ろうとしてはいけません。
無理をして作った人間関係は、お互いに理解が不足していたり、どこか相手とズレを感じていたりして、長く続けるのが難しいものです。
仕事を続けていれば、お互いに信頼関係ができますので、自然と親しい間柄に発展していきます。
そのような関係はお互いを認め合うことから始まっていますので、無理をする必要のない気持ちいい距離感を保ったものになります。
無理に仲良くなろうとあれこれ誘ったり、プライベートな話題を話したりするのは避けなければいけません。
ときどきは飲み会にも参加する
職場の人間関係でよく聞かれる悩みが、仕事が終わったあとの飲み会の誘いです。
もちろん勤務外なので、まったく参加しなくても法律上は問題ありません。
特に最近の若い人は、そのような集まりに参加する人も少なくなっています。
ですが、義務ではないからと頑なに参加を拒んでいても、周りから少し浮いた人と思われてしまいます。
負担にならない程度に、ときどきは飲み会に参加するのがよいでしょう。
飲み会の場では、普段見えない相手の別の面が見えるよい機会です。
どんな人かがわかれば、その相手との適切な距離の取り方の参考にもなるでしょう。
あまり固く考えずに、たまには参加してみるのも、良好な人間関係を作るのに役立ちます。
どうしても人間関係の悩みが改善されないなら
先に述べた例を参考にして、適切な距離感を保てるようにしても、すでに悪くなってしまっている人間関係は改善されないかもしれません。
次に、すでに悪くなっている人間関係に悩んでいる場合に取るべき方法をいくつか紹介してみます。
信頼のおける人に相談する
人間関係の悩みは、ひとりで抱え込み過ぎてはいけません。
ひとりで考えても解決策が見いだせない場合が多いので、まずは信頼できる人に相談してみましょう。
相談したことが周囲に伝わって、変な誤解を受けないとも限りませんので、できれば職場外の信用できる人が賢明です。
人に話せば自分の悩みを整理できますし、客観的な意見が得られれば、具体的な解決策が見えてくるかもしれません。
どうしてもつらいなら異動を願い出てみる
努力しても人間関係が改善されず、どうしてもつらいようであれば、上司に異動を願い出るのも方法です。
新しい部署に異動すれば、覚えなくてはならない仕事も増えますが、転職よりはハードルが低いので、働きやすいかもしれません。
また同じ会社で仕事の幅が広がれば、将来的にもメリットがあると思われます。
付き合いづらい人とも距離ができますので、異動するだけで思ったより悩みが改善される場合もあります。
どうしても耐えられないなら転職も間違いではない
異動を願い出ても受いれてもらえなかったり、そもそも少人数の会社で異動する部署がない場合もあります。
努力してもどうしようもなく、つらい思いをしているのであれば、思い切って転職を考えるのも間違いではありません。
無理を続けて精神的なストレスが溜まってしまうと、そのうち心や身体を壊してしまう恐れもあります。
転職は今の仕事から逃げるのではなく、健康的に働き続けるための次のステップと前向きに考えましょう。
転職を考えるのであれば、まずは転職エージェントを利用するのがおすすめです。
転職エージェントは多くの求人情報をもっていますので、希望の職場を見つけられる可能性が高くなります。
転職活動に関しても、実践的で具体的なアドバイスが得られますので、不安も少なく力強い味方となるでしょう。
転職に向けて動き出してみる
今回は、人間関係をスムーズにするために大切な距離感について考えてみました。
今の職場で働き続けるにしても、新しい職場に転職するにしても、適切な人間関係を作るスキルは大切になります。
先に述べた例を参考にして、気持ちよく働ける人間関係を作るようにしてください。